ディシジョンツリー

ディシジョンツリー(意思決定ツリー、決定木)とは、名前のとおり、意思決定を行うためのフレームワークのこと。
取り得る選択肢を全て樹形図の形で書き出し、それぞれの選択肢の効果などを比較検討したうえで、実際に取るべき選択肢を決定する方法である。

ディシジョンツリーでは、まず誰が意思決定者かを確認した上で、その意思決定者にどのような選択肢があるかを洗い出す。
次に起こり得る事柄をリストアップし、リストアップされた事象それぞれについて、その事象が起こる確率と期待値を決める。
確率については、ある選択肢内の合計が1(100%)になることを確認し、期待値については、企業の意思決定の場合はできるだけ金銭に置き換えるなど定量化する。

特に新規参入者への対応、新規事業における投資判断、提携交渉など、比較的短い時間軸の中で大きく方向が変わりうる環境下での意思決定に使われやすい。
中長期のシナリオプランニングなどにも応用されることがあるが、中長期では大きく環境が変わる可能性があるため、意思決定というよりはもう少し上段の大方針の整理をする際に使われる。

例えば新規参入者への対応の場合、新規参入者がどこまで踏み込んだ施策を打ってくるか、それによってどこまで自社にとっての脅威となるかは、いくつかのパターンが予測できるが、それぞれのケースで自社のすべきことが変わってくる。
新規参入者がそこまで大胆なシェア獲得を狙っているわけではない場合や、すみ分けが可能な場合等は、これまで通り事業を続けていけばよいが、もし多少の赤字を覚悟してでもシェア拡大にくるといった場合、自社も多少の利益低下を覚悟することが必要になるかもしれないし、ロビイングなどの手に訴えることを考える必要があるかもしれない。
このように自社の行動パターンを決定させる分岐点を明確に設定して自社の行動を分岐させる。
なおこうした場合、確度が高いと想定されるパターンをメインシナリオとして考えつつ、自社にとってのワーストケースをリスクシナリオとして持ち、メインシナリオ向けに対応できるようにしつつ、ワーストケースが来ても遅れをとらないように準備をするといったように使われる。

また提携交渉のような、自社側が主体的に戦局に影響を与えられるものにもディシジョンツリーは使われる。
提携候補A、B、CがいてAが最も望ましく、Cが3番手とする。
この場合最初の分岐点はAの提携意向であり、Aに提携意向がある場合の次の分岐はAの提携条件、Aに提携意向がない場合の次の分岐はBの提携意向といった形で展開していく。

ディシジョンツリーで難しい点は、起こり得る事象の確率や期待値を正確に算出することである。
そのため、ディシジョンツリーを積極的に活用している業界は確率や期待値を比較的推定しやすい業界に限られる。

ビジネスでは常に意思決定が求められるため、このようなフレームワークを活用することもある。
コンサルティングファームのケース面接などでは適切なフレームワークが使いこなせるか、という点も評価される。
受験を考えている場合は、ディシジョンツリーに限らず、幅広いフレームワークを押さえておきたい。

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