コンサルからの転職先大研究~ポストコンサルのキャリアパスを徹底解説

転職市場で高い評価を受ける「ポストコンサル」

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いま、積極的に経営幹部の採用を行うスタートアップ企業、大手事業会社、PEファンドの多くが「コンサルティングファームのからの転職を考えるポストコンサルを採用したい」と口を揃えます。これまでも、ポストコンサルは転職市場で高い評価を受けていましたが、それに拍車がかかっている状況です。

ポストコンサルは具体的にどのようなスキルが評価され、どのようなキャリア展開が可能なのでしょうか。本記事では、コンサルからの転職者が評価される理由や主要なキャリアパスについて徹底解説をしたいと思います。

コンサルからの転職者「ポストコンサル」が評価される理由

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「ポストコンサル」とはコンサルティングファームやシンクタンクのコンサル部門で従事した経験を持ち、コンサル業界から転職したビジネスパーソンのことです。現代の転職市場においてコンサルティングファームでの経験は、経営幹部に至る「キャリアの高速道路」とも言えるほど、高い評価を受けています。これは、出身ファームがマッキンゼーやBCGなどの一部の外資戦略ファームに限定された話ではありません。外資・日系の総合ファーム、FAS、シンクタンク、組織人事系コンサル、IT系コンサルなど、様々なコンサルティングファームの出身者が引く手あまたとなっています。

コンサルからの転職者であるポストコンサルが、転職市場において高い評価を受ける理由は「汎用性の高い問題解決能力」、「高度なリーダーシップ」、「高いプロフェッショナルマインド」の3つが主として挙げられます。以下、それぞれについて詳細にみていきましょう。

ポストコンサルが転職時に評価される理由 1:汎用性の高い問題解決力

一般的な大手企業では、20代で経営課題を解決するプロジェクトを担当することは稀でしょう。仮に経験できたとしても、自分が所属する企業の改革のみですので、他企業の改革にすぐに役立つ汎用的なスキルを培うのは困難です。

一方、コンサルタントは様々な企業を対象に経営者視点で専門領域の問題解決を行う経験を積んでいきます。そのため、固有の業界や企業に縛られない、汎用的な問題解決能力を培うことができます。また、日常的にこのような経営課題の解決を繰り返し行っているため、若くとも豊富な改革経験を持っています。これこそが、ポストコンサルが転職先の企業において、若くして事業会社の役員や事業責任者といったハイポジションに抜擢される理由のひとつとなっています。

ポストコンサルが転職時に評価される理由 2:高度なリーダーシップ

現代のコンサル業界では、問題解決のための提案だけでなく実行支援まで踏み込み、コンサル先のクライアントへ、具体的な成果をもたらすことを重視しています。そのため、プロジェクトの成功にはクライアント企業の組織や人、場合によってはクライアント以外のステークホルダーも巻き込んで動かすということが必要となります。しかも、会社内の上下関係や大企業の看板を使って、組織を動かしている訳ではありませんので、コンサルタントは高度なリーダーシップをもとめられます。

ロジック面の説得力だけでなく、感情にも配慮した高度なリーダーシップスキルを若いうちから磨いていること、これが転職市場においてポストコンサルの評価が高い2つ目の理由といえます。

ポストコンサルが評価される理由 3:高いプロフェッショナルマインド

コンサルタントは資格不要とはいえ医師や弁護士、会計士などと同様の専門職、プロフェッショナルです。自らの思考や提案のみが商品であり、困難な状況においても高額な報酬に見合うだけの価値のあるコンサルティングをクライアントに提供する「プロフェッショナルマインド」が必須となります。ギリシャの彫刻家フエイディアスが、「なぜ誰にも見えない背中まで彫刻を彫るのか」と問われた際に、「神々が見ている」と答えたという逸話があります。専門性の高いプロフェッショナルの仕事は、時にはクライアントが気づいていないことや、要望の枠を超えた点にも、踏み込んで考える必要があります。そこまで考え抜かなくても、コンサルプロジェクトの終了時、クライアントは満足してくれるかもしれません。しかしそれでは、中長期的にはクライアントの成功につながらない恐れがあります。コンサルタントの仕事は、クライアントを満足させるだけではなく、その先を見据えて全力を尽くすという“良心”に従うことが大切な仕事なのです。

さらに、企業や社会の抱える課題は刻一刻と変化しています。日常業務の隙間時間や休日を活用して、最先端の知識やスキルを学び続ける“探究心”もコンサルタントには必須となるでしょう。残業代が出ないなら仕事に関することはしない、といった発想とは全く異なる環境です。活躍しているコンサルタントは、良い意味で公私混同をしていると言えます。鍛え上げた高度なスキルを用いて、自社や顧客、社会のために最後まで粘り強く全力を尽くす姿勢が身についていること、これこそがコンサルからの転職者であるポストコンサルが経営者から信頼され、転職市場において評価される3つ目のポイントです。

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2. コンサルからの転職者「ポストコンサル」のキャリアパスの特徴

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コンサルからの転職先にはどのような選択肢があるのでしょうか。様々なネクストキャリアがあることは先に述べた通りですが、経験領域や年齢、職階によって一定の傾向が見られます。

経験領域によるポストコンサルの転職先・ネクストキャリアの違い

▼コンサル出身者のキャリアパス

経験領域 事業会社での代表的なネクストキャリア
戦略コンサル経験者
戦略系・総合系・大手シンクタンクなど
CEO・COO・事業責任者などのCxOや経営幹部
事業会社の経営企画部門、
経営陣直下の特命チーム、幹部育成コース
専門領域コンサル経験者
IT系・組織人事系・財務系(FAS)
それぞれの専門領域に該当する部門
(IT企画部門、組織人事部門、財務部門)
CIO・CHO・CFO等の経営幹部候補

参考:『新版 コンサル業界大研究』(産学社)
コンコードエグゼクティブグループ/コンサルティングファーム研究会著
「ポストコンサルのキャリア論」より作成

戦略系コンサルティングファームや総合系コンサルティングファーム、大手シンクタンクなどの戦略コンサル部門の経験者の場合、特定領域における専門知識はやや薄くなる傾向があります。そのため、転職先企業からはCEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、事業責任者などのゼネラルなカラーの経営幹部として求められることが多くなっています。

一方、IT系コンサルティングファームや組織人事系コンサルティングファーム、財務系コンサルティングファーム(FAS)といった専門領域を持つコンサル経験者の場合は、それぞれの専門領域に該当する部門への転職がネクストキャリアとして有力です。最終的にはCIO(最高情報責任者)やCHO(最高人事責任者)、CFO(最高財務責任者)などの経営幹部を目指すキャリアパスを形成する傾向があります。

ポストコンサルの転職時の年齢や職階によるネクストキャリア

コンサルからの転職者のネクストキャリアは、転職時の年齢や職階によっても傾向が分かれます。

年齢(職域) キャリアパスの傾向
20代:若手コンサルタント
(アナリスト~コンサルタント)
・他のコンサルティングファーム
・PEファンド
・ベンチャー企業の経営幹部候補
30代:中堅コンサルタント
(シニアコンサルタント~
マネージャークラス)
・他のコンサルティングファーム
・ベンチャー企業の経営幹部
・外資系企業や日系企業のマネジメントポジション
・起業
40代~50代:エグゼクティブ
(ディレクター~パートナークラス)
・事業会社の社長、役員
・他ファームのエグゼクティブポジション
・現職に残りながらスタートアップへの支援や大学での教育活動など

参考:『新版 コンサル業界大研究』(産学社)
コンコードエグゼクティブグループ/コンサルティングファーム研究会著
「ポストコンサルのキャリア論」より作成

20代・若手コンサルからの転職先候補

20代の若手コンサルタント(アナリスト、コンサルタントクラス)のネクストキャリアとしては、他のコンサルティングファームへの転職や、PEファンド、ベンチャー企業の経営幹部候補への転職を選ぶ傾向が強くなっています。もちろん、日系の大手企業への転職を検討する方もいらっしゃいます。しかし、若いうちから経営者視点の仕事を任せられるチャンスは少なく、報酬面でも魅力が下がるために、転職先の候補には上がるものの、選択しないことが多いのです。

30代・中堅コンサルからの転職先候補

30代の中堅コンサルタント(シニアコンサルタント、マネジャークラス)になると、20代のころよりも転職先の選択肢が広がります。他のコンサルティングファームやベンチャー企業からも引く手あまたなうえに、外資系企業や日系企業のマネジメントポジションに転身する人や、自身で起業する人もいます。転職・転身先の幅が最も広い年齢層と言えるでしょう。

40代~50代以上・エグゼクティブ層のコンサルからの転職先候補

40代~50代以上のエグゼクティブ層(プリンシパル、パートナーなど)になってくると、事業会社の社長、役員レベルのポジションへの転職・転身を検討することが多くなります。しかし、社会へ与える影響の大きさや働き方の自由度、報酬の高さなどを、事業会社とコンサルティングファームとで比較した結果、コンサルティングファームのエグゼクティブポジションの価値に改めて気がつくケースも少なくありません。そのため、他のコンサルティングファームのエグゼクティブへ転職したり、現職に残りながらスタートアップの支援や大学での教育活動をしたりする方が多い傾向があります。

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3. コンサルからの転職「主要な7つのネクストキャリア」

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様々な選択肢が広がる中で、コンサルからの転職先として主要なネクストキャリアをご紹介します。

コンサルからの転職先1:ベンチャー企業・スタートアップ企業(幹部ポジション)

~社会課題を解決するやりがいある仕事、優秀な起業家のもとでの成長機会

現在、コンサルからの転職を検討している人が最も注目しており、転職先として人気が急上昇しているのが、ベンチャー企業・スタートアップ企業の幹部ポジションです。昨今の良好な資金調達環境から、ベンチャー企業・スタートアップ企業の用意できる報酬水準が飛躍的に上昇し、ポストコンサルにとって魅力的な転職先となりました。

ベンチャー企業・スタートアップ企業の多くは、社会課題をテクノロジーやプラットフォームの力で解決するような社会的インパクトのある事業展開を志向しています。そのような社会的意義のある仕事で自身の力を発揮したいと考えるコンサルからの転職者を惹きつけており、有力な転職先となっています。また、優秀な起業家のもとでビジネス経験を積めることは、将来起業したいと考えるポストコンサルにとって、貴重な成長機会となります。このような観点からもコンサルタントのネクストキャリアとしてベンチャー企業・スタートアップ企業の人気が上昇しています。

コンサルからの転職先2:PEファンド・ハンズオンVC

~プロフェッショナルファームに所属し、高収入を得ながら、当事者として企業経営に参画できる希少なキャリア

「クライアントに提案したプランの実行に、最後まで責任を持って伴走したい」という望みを持つコンサルタントは少なくありません。そのため、企業に投資している株主の立場から経営に参画し、長いスパンで抜本的改革を推進できるPEファンドやハンズオンVCへの転職は、コンサルからの転職先として人気が高くなっています。

PEファンドへの転職の魅力は、事業会社の経営に参画しながら、プロフェッショナルファームとしての高い収入も得られる点にあります。しかも、担当企業が成功すれば、インセンティブボーナスでさらに大きな収入を得られる魅力もあり、収入にレバレッジを効かせることが可能です。また、ワークライフバランスの観点も見逃せません。投資するまでの意思決定や、投資後の事業立て直し期間は忙しいものの、事業が軌道に乗れば、モニタリング業務が中心となるため、日々の業務はコンサルティングファームに比べて忙しくない点も魅力のひとつと言えるでしょう。

また、社会課題解決に関心を持つポストコンサルの方もいるでしょう。昨今、ハンズオンVCの投資先には、ITやバイオなどテクノロジーを駆使して社会課題解決に取り組むスタートアップが増えています。そのような企業の成長に貢献できるという点も、大きな魅力です。PEファンドやハンズオンVCは、このように様々な魅力を持ちますが、選考のハードルが非常に高い業界としても知られています。実際、以前までは、これらの業界へ転職するのは戦略系ファームやFAS出身者が中心でした。しかし、投資先企業におけるDX推進やデジタルマーケティング強化に対するニーズが高くなったことを背景に、DX・IT系コンサルからの転職も可能となってきており、注目度はさらに上がっています。

コンサルからの転職先3:外資系企業へ

~給与水準の高さとワークライフバランスの良さ、専門領域でのキャリア形成

外資系企業は、ポストコンサルの転職先として、代表的なキャリアパスの一つです。具体的には、ファイザー、グラクソスミスクラインなどの製薬会社、Apple、Amazon、GoogleなどのIT企業、P&G、VISA、AIG、LVMH、ケリングなどのグローバルカンパニーが挙げられます。特に、高齢化を背景として安定的な経営が行われている医療・ヘルスケア業界の外資系企業への転職は人気転職先の一つです。また、事業の社会的なインパクトの大きさや、今後の事業成長を鑑みて、グローバルIT企業への転職を目指す人も増えています。

コンサルティングファームから外資系企業への転職の魅力のひとつは、給与水準の高さと勤務時間の長さのバランスの良さにあります。業界や企業によっても差が大きいため、まとめて記述することはやや難しいのですが、30代で外資系企業の日本オフィスのマネージャーやディレクターレベルに就けば、1000万円台半ば~2000万円程度という高い年収となるケースが多いでしょう。一方で、コンサルティングファームほどの長時間勤務にはならないため、ワークライフバランスを考えるコンサルからの転職希望者から人気の高い転職先となっています。

さらに、日系企業の総合職のように様々な職種をローテーションすることもないため、希望する職種で専門性を高められる点も魅力の一つです。
もう一つ特筆すべき点として、外資系企業はコンサルティングファームへ継続的にプロジェクトを発注している企業が多いことから、ポストコンサルを高いポジションで受け入れる土壌があり、社内の幅広い部門でコンサルからの転職者が活躍している点も魅力的です。

コンサルからの転職先4:大手日系企業へ

~日本を代表する大企業の意思決定に参画し、事業を舵取りできる

これまでは年功的な人事制度や、新卒一括採用中心のカルチャーがネックになり、ポストコンサルからの人気が芳しくなかった大手日系企業でしたが、昨今は転職先として徐々に注目を集めるようになってきています。
現在、多くの大手日系企業は競争環境の激化に伴い、M&AやCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)、DX推進など、今まで以上にダイナミックに改革していく必要に迫られています。そのため、企業の生き残りをかけた改革の担い手として、外部からポストコンサルを、魅力的なポジションで登用するようになってきました。

ポストコンサルにとって、日本を代表する大企業だからこそ実現できる、社会的インパクトの大きな事業に関わることができる点は大きな魅力です。例えば、総合商社で環境ビジネスや資源開発、交通インフラ事業に携わる、大手ディベロッパーでまちづくりに関わるといったような仕事は日系大手企業ならではの醍醐味と言えるでしょう。ただし、まだコンサルからの転職者の採用や活用に慣れていない企業が多いため、転職先として選定する際には注意が必要です。管理職における中途入社の割合や入社後の年収の上り幅なども確認しておくと良いでしょう。

コンサルからの転職先5:中堅企業・オーナー企業

~後継経営者の「右腕」となり、腰を据えて経営に携わることができる

中堅企業やオーナー企業への転職もコンサルからの転職先として根強い人気があります。ニッチだけれど需要のある分野においてトップの企業や、地元では優良企業として名高い企業などが典型的です。このような企業には実は熟練の技などがあり、グローバル市場において注目を集めるような特許を持っている企業も珍しくありません。そして、これらの企業が抱えがちな問題として「事業承継」が挙げられます。オーナー系企業では創業者のご子息が後を継ぐケースが多く、新体制になった際に、古参のメンバーがついてきてくれないという問題はよく見受けられます。

そこで後継経営者の「右腕」となって活躍してくれる、経営に精通した人材を採用したいというニーズは後を絶ちません。戦略系ファームや総合ファーム、シンクタンクなどで戦略コンサルの経験をもつポストコンサルは最適です。さらに昨今では、M&Aを積極的に行う中堅企業やオーナー企業も増えてきており、FAS出身者にも高いニーズがあります。

事業会社で腰を据えて経営に携わりたいという意志をもつポストコンサルにとって、若手の後継経営者とタッグを組んで事業経営を推進できる環境は大変魅力的と言えるでしょう。ただし、オーナーである経営者と良好な関係を維持することは、マストとなってきます。オーナー経営者は大株主である場合が多く、さらに数十年に渡りトップとして会社をリードしてきた存在であるため、組織内における権限の強さは通常の大企業の社長とは比較にならないほど大きいことがほとんどだからです。

また、ポストコンサル採用に不慣れな会社では、ポストコンサルを一般社員と同じポジションに位置付けようとすることがありますが、そのような形態での入社はリスクが高くなります。現場に配属された場合、ベテラン社員と比べ、知識や経験の違いがあります。そのため、ポストコンサルは真価を発揮することが難しくなってしまう場合があります。オーナー系企業への転職時には、“幹部(幹部候補)”として入社することがおすすめです。

コンサルからの転職先6:コンサルティングファーム

~自身の志向や希望を満たすコンサルファームへの転職で仕事の満足度向上

現在所属しているコンサルティングファームから、他のコンサルティングファームへと転職する「コンサルtoコンサル転職」を選択する人も多数います。なぜ、わざわざ同業界内で転職するのだろうかと疑問を感じるかも知れませんが、実はそこには様々なメリットがあるのです。

コンサルタントとしての経験をフルに活かしつつ、自身の志向や希望が叶う転職を実現できるのがコンサルtoコンサル転職の魅力です。しかも近年では、コンサルティング業界が急拡大する中で、即戦力となるポストコンサルには、従来以上の好条件が提示されており、その魅力が増しています。

    コンサルtoコンサル転職は、「領域シフト型」「ポジション向上型」「ワークライフバランス型」「営業リソース獲得型」の4つに大別されます。

  • 領域シフト型:戦略系などのゼネラル領域を扱うファームから、財務や組織人事系など専門領域を扱うファームへの転職や、その逆となる専門領域型からゼネラル型への転職を目指す場合などがあります。領域シフト型の転職は、若手~中堅のポストコンサルが多くなります。
    ポジション向上型:各ファームが組織を拡大している昨今、即戦力となるポストコンサルを高いポジションで抜擢するようになってきています。そのため、同領域のファームに転職し、より高いポジションと収入を目指すコンサルタントも増えてきています。
  • ワークライフバランス型:業務内容や年収を維持しつつ、より働きやすいコンサルティングファームへ転職する場合もあります。昨今は、コンサルタントのリテンションのためにワークライフバランスに配慮しているコンサルティングファームも珍しくありません。育児や介護などをしながら働きたい場合には、職場を変えるという選択肢もあるのです。
  • 営業リソース獲得型:営業活動にかかる負担を軽くし、プロジェクトに専念したいと考えるエグゼクティブ層のコンサル出身者は、案件受注力を持つコンサルティングファームへ転職をすることで、コンサルとして活躍しやすくなります。

コンサルからの転職先7:起業する

~より良い社会に向けて、大きなやりがいと経営の意識決定権が魅力

起業はポストコンサルにとって、すでに身近なキャリアの一つとなっています。コンサルポストコンサルが起業したベンチャー企業の成功事例も多く、エムスリーやオイシックス、ラクスルなどがよく知られています。

起業には、コンサルタントとして培った経営に関する見識や、問題解決能力を活用しつつ、社会的にインパクトのある事業を推進できる魅力があります。「より良い社会をつくりたい」という想いをもつ人にとって、大きなやりがいとなることは言うまでもありません。さらに、自分自身で経営の意思決定を行うことができ、事業がうまくいけば非常に高い報酬を得ることができる点も魅力的です。

ただし、一般的にコンサル時代に培ったスキルと起業家に求められるスキルにはややギャップがある点には注意が必要です。例えば、実際に事業を推進していく際には、起業する領域における業務知識やネットワークが重要になります。しかし、業務知識やネットワークを軽んじていたコンサル出身者が、起業後にトラブルに巻き込まれて苦労するケースは珍しくありません。そのため、コンサルティングファームを卒業した後ですぐに起業するのではなく、関心のある分野の企業で経験を積んだり、ベンチャー企業へ転職して小資本のビジネスを運営する経験を積んでみたりすることも有力なキャリア設計となるでしょう。

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4.コンサルから転職する際は「キャリアビジョン」が鍵を握る

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これまで見てきたように、ポストコンサルには、幅広い業界の経営幹部・幹部候補として、あるいはプロフェッショナルとしての魅力的なキャリアパスが広がっています。しかし、転職先としての選択肢の幅が広いからこそ注意が必要です。コンサルティングファームに勤めていると、さまざまなヘッドハンターからのスカウトを受けるようになります。提案される待遇の魅力や、企業の知名度に惑わされると、自分の望む人生から離れてしまうことにもなりかねません。

転職したいと思った際には、まずは自分が何を成し遂げたいのかという軸となる「キャリアビジョン」を持つことをおすすめしたいと思います。そのうえで、キャリアビジョンの実現に向けて、どのようなキャリアを積み重ねていくべきかという「キャリア戦略」を考えてから、業界や企業を選択していただくと良いでしょう。キャリアビジョンやキャリア戦略は、一朝一夕に固まるものではありません。スカウトを受けてから慌てて考えるのではなく、日記やキャリア・コーチングなどを通じて、日常的にご自身の価値観や問題意識と向き合い、時間をかけて掴んでおいていただくとよいかと思います。

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コンサルからの転職についての詳細は、下記の記事も参考になります。ご確認ください。
記事:ポストコンサル転職の基礎知識
ポストコンサルの求人情報はこちら


著者/監修者

blankコンコード キャリアガイド編集部(著)

ビジネスリーダーのキャリア支援に豊富な実績を持つコンコードのコンテンツ編集チームです。独自のナレッジやキャリア設計法、転職市場の最新情報を、わかりやすくご紹介します。

blankコンコードエグセクティブグループ 代表 渡辺 秀和(監修)

「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』『未来をつくるキャリアの授業』は東京大学におけるキャリア設計の授業の教科書に選定。『新版 コンサル業界大研究』は東大生協本郷書籍部で第1位を獲得。

ポストコンサルの転職体験談Story

ポストコンサルの
転職支援実績Track Record

  • 33歳 (男性) 東大卒

    外資戦略系ファーム

    シニアコンサルタント

    1400万円

    AI・デジタル系ベンチャー

    役員クラス

    1600万円+SO
  • 37歳 (男性) 有名私大卒

    戦略系ファーム

    シニアコンサルタント

    1200万円

    製薬会社

    幹部候補コース

    1300万円
  • 30歳 (男性) 東大卒

    業務・IT系ファーム

    マネージャー

    1000万円

    総合商社

    海外事業開発

    1300万円
  • 37歳 (男性) 有名私大卒

    総合系ファーム

    パートナー

    2500万円

    AI・IoT系ベンチャー

    役員クラス

    2000万円+SO
  • 26歳 (男性) 慶大卒

    戦略系ファーム

    コンサルタント

    800万円

    外資投資銀行

    アナリスト

    900万円+賞与(50-100%)
  • 34歳 (男性) 一橋大卒

    総合系ファーム

    マネージャー

    1200万円

    PEファンド

    ヴァイスプレジデント

    1400万円+賞与
  • 50歳 (男性) 海外大卒

    戦略系ファーム

    パートナー

    5000万円

    総合系ファーム

    パートナー

    7000万円
  • チーム移籍

    総合系ファーム

    ディレクターなど

    2000万円

    戦略系ファーム

    ディレクタークラスなど

    2400万円
  • 40歳(男性)一橋大卒

    シンクタンク

    マネージャー

    1500万円

    中堅サービス会社

    子会社社長

    1800万円
転職支援実績一覧へ

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