Snowflake
企業が保有するデータは、オンプレミスのサーバーや複数のクラウドサービスに分散して蓄積されていることが多い。こうした分散したデータを、どのように統合し、部門やパートナー企業を越えて安全に活用できるのか。この課題に応える形で成長を遂げてきたのが、Snowflake(スノーフレイク)である。
2020年には当時としてソフトウェア業界史上最大規模のIPO(新規株式公開)を果たし、近年は生成AIを活用したデータ分析機能の拡充にも力を入れている。データ戦略やDX(デジタルトランスフォーメーション:デジタル技術を活用した事業・業務の変革)推進を扱うコンサルティング業務においても、クライアント企業のデータ基盤を検討するうえで押さえておくべき企業の一つとなっている。
Snowflakeとは
Snowflake(スノーフレイク)という社名は、創業者らが冬季スポーツを好んでいたことに由来するとされる。同社は2012年7月23日、米デラウェア州で法人登記され、米オラクル(Oracle)でデータベース製品の開発に携わっていたブノワ・ダジュビル氏(Benoit Dageville)とティエリー・クルアネス氏(Thierry Cruanes)、データベース関連のスタートアップVectorwiseを共同創業したマルチン・ジュコウスキー氏(Marcin Żukowski)の3名によって設立された。
設立当初のCEOには、出資元であるサター・ヒル・ベンチャーズ(Sutter Hill Ventures)のベンチャーキャピタリスト、マイク・スパイザー氏が就任し、2014年6月には米マイクロソフト出身のボブ・ムーリア氏がCEOに就任した。その後、2019年5月にフランク・スルートマン氏がCEOに就任し、2024年2月27日には、生成AI戦略を主導してきたスリダー・ラマスワミ氏が新たにCEOに就任している。
Snowflakeは、データの保管(ストレージ)と計算処理(コンピューティング)の機能を分離したアーキテクチャを採用しており、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)のいずれかのクラウド基盤上で稼働し、利用したストレージやコンピュートなどに応じて料金が発生する消費ベースの料金体系でサービスを提供している点に特徴がある。従来型のオンプレミス型データウェアハウス(企業内のさまざまなデータを統合的に蓄積・管理するためのデータベースの一種)では、自社でハードウェアやソフトウェアの導入・運用・拡張を担う必要があったのに対し、Snowflakeはクラウド上でストレージとコンピューティングを柔軟に拡張できる仕組みを構築し、企業が必要な分だけ処理能力を利用できるサービス形態を実現した。
同社は2020年9月16日、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に新規株式公開(IPO)を果たし、株式コード「SNOW」で取引を開始した。1株120ドルで32,200,000株を売り出し、手数料控除後の調達額は37億ドルに達し、当時のソフトウェア業界における史上最大規模のIPOとなった。
Snowflakeは、クラウド型データウェアハウスとして発展し、SQLを用いた分析やデータ共有を強みとしてきた。一方、現在はAI・機械学習、非構造化データ、アプリケーション開発などにも機能領域を広げ、自社の呼称も「Data Cloud」から、データ・AI・アプリケーションを統合的に扱う「AI Data Cloud」へと更新している。
Snowflakeを理解する主要な特徴
| 特徴 | 概要 |
|---|---|
| ストレージとコンピューティングの分離 | データの保管(ストレージ)と処理(コンピューティング)を独立して拡張できるアーキテクチャ。消費ベースの料金体系で利用できる |
| マルチクラウド対応 | AWS・Azure・Google Cloudの複数のクラウドに対応し、企業のクラウド環境に応じて利用する基盤を選択できる(1つのアカウントはいずれか1つの基盤上で稼働する) |
| データ共有・コラボレーション(Snowflake Data Sharing) | データを移動・複製せずに組織間で安全に共有できる機能 |
| Snowpark | Python、Java、Scalaなどのプログラミング言語を使い、Snowflake上でデータ処理や機械学習などのコードを実行できる開発者向け機能群 |
| Snowflake Cortex AI | Snowflake上のデータを活用して、LLMによる分析や生成AIアプリケーション、AIエージェントなどを構築・利用できるAI機能群 |
具体例|日本国内での事業展開
具体例として、日本国内における事業展開が挙げられる。Snowflakeは2019年11月26日(米国時間)、日本法人を東京に設立したと発表し、同年12月には渋谷区にオフィスを開設した。その後、2020年にはAWS東京リージョンでのサービス提供を開始し、Microsoft Azure東日本リージョンにも対応した。
さらに2026年9月11日には、Google Cloud東京リージョンでのサポートを2026年度第4四半期(2026年11月〜2027年1月)から開始すると発表しており、日本国内でのマルチクラウド対応を拡大している。日本法人はこの間、西日本営業部の新設など営業体制も拡充しており、2025年8月には社長執行役員に浮田竜路氏が就任し、前任の東條英俊氏から経営体制が引き継がれている。
日本国内では、製造業や小売業をはじめとする幅広い業種の企業がSnowflakeを採用しており、複数のクラウドサービスやシステムに分散したデータを統合し、全社的なデータ活用基盤として位置づける動きが広がっている。
Databricks・従来型データウェアハウスとの違い
Snowflakeと混同されやすいのが、同じくデータ分析基盤を提供するDatabricks(データブリックス)や、オンプレミス型の従来型データウェアハウス製品である。いずれも企業のデータ活用を支援する点で共通するが、成り立ちや得意とする処理領域が異なる。
| 概念・製品類型 | 発展の起点 | アーキテクチャの特徴 | 主な利用場面 |
|---|---|---|---|
| Snowflake | SQLベースの分析・データウェアハウスを起点に、データエンジニアリング、AI/ML、データ共有などへ機能を拡張 | ストレージとコンピューティングを分離したクラウドネイティブなアーキテクチャ | データウェアハウス、データ共有、BIレポーティング、AI/ML |
| Databricks | Apache Sparkやレイクハウスを起点に、データエンジニアリング、DWH/BI、AI/MLなどへ機能を拡張 | Apache Sparkを基盤としたレイクハウス(データレイクとデータウェアハウスを融合させた)アーキテクチャ | データサイエンス、機械学習モデルの開発・運用 |
| 従来型データウェアハウス(オンプレミス型) | 自社内で完結するデータの蓄積・集計処理 | 自社でハードウェアやソフトウェアの導入・運用・拡張を担う必要がある | 基幹システムのレポーティング、定型的な集計処理 |
SnowflakeとDatabricksは、いずれもクラウドネイティブなデータ基盤を提供する点で競合関係にあるが、Snowflakeは元来SQLベースの構造化データ分析に強みを持ち、DatabricksはApache Sparkを基盤とした機械学習・AI開発に強みを持つという成り立ちの違いがある。
近年は両社ともデータエンジニアリングからAI/MLまで扱う統合的なプラットフォームへと機能を拡張しており、境界は必ずしも明確ではなくなりつつある。一方、従来型のオンプレミス型データウェアハウスとは異なり、Snowflakeは自社でのハードウェアの調達・保守を必要とせず、利用量に応じた拡張が可能な点に特徴がある。
コンサルティング業務における位置づけ
Snowflakeは、データ戦略やDX推進を扱うコンサルティングプロジェクトにおいて、検討対象の一つとなることがある。
論点設計(イシュー出し)
論点設計の段階では、「対象企業にとってSnowflakeの導入が適切な選択肢か」「既存のデータウェアハウスやDatabricks等の他社製品とどう使い分けるか」といった論点を切り分けることが出発点となる。対象企業が保有するデータの種類(構造化データが中心か、機械学習用途を含むか)や、既存システムとの親和性によって、検討すべき論点の粒度は大きく変わる。
現状分析(As-Is整理)
現状分析では、対象企業のデータ基盤の整備状況や、既存のデータウェアハウス・BIツールの利用状況を整理する。複数のクラウドサービスにデータが分散している場合、その統合にSnowflakeのような基盤が必要かどうかを見極めることも、この段階の重要な作業である。
施策設計(To-Be)
施策設計では、Snowflakeの導入範囲(特定部門への先行導入か、全社的なデータ基盤としての採用か)や、既存システムからの移行計画、社内人材の育成・外部ベンダーとの役割分担などを検討する。消費ベースの料金体系を含むコスト構造を踏まえ、コスト管理の仕組みをどう設計するかも、検討事項の一つとなる。
資料作成(スライド構造)
資料作成では、Snowflakeの機能構成を整理した図表、Databricksや従来型データウェアハウスとの比較表、導入前後のデータ活用プロセスの変化を示すイメージなどを、目的に応じた形式で整理し、経営層への提言につなげる。
コンサル採用面接で問われる理由
面接官がSnowflakeという企業名そのものを直接掘り下げて質問する場面は多くない。むしろ、データ戦略やDXをテーマにしたケース面接において、クラウド型のデータ基盤と従来型のオンプレミス型基盤を区別して論点を整理できるかどうかが、解答の骨格に自然と表れるという位置づけである。
ケース面接との接点としては、企業のデータ活用戦略を題材にした設問で、特定の製品名を挙げられるかどうかよりも、データの保管と処理を分離して柔軟に拡張できるという発想や、複数クラウドにまたがるデータ活用の課題を理解しているかどうかが、論点の網羅性に影響する。
思考法としての位置づけでは、機能を分離し、必要な分だけ柔軟に拡張するという設計思想が、データ基盤に限らず、業務システムやサービス設計といった論点整理にも応用できる。このような視点を持っておくと、ケースの論点を広く捉える際の参考になる。企業名や製品名の詳細を覚えることよりも、クラウド型データ基盤が従来型と何を変えたのかという考え方の骨格をおさえておけば、十分な知識基盤になるといえる。
FAQ
Q1. Snowflakeとは何か。
Snowflakeとは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど複数のクラウドに対応し、データの保管・処理・分析・共有などを行えるクラウド型データプラットフォームを提供する米国企業である。2012年7月23日、元オラクルのブノワ・ダジュビル氏とティエリー・クルアネス氏、Vectorwise共同創業者のマルチン・ジュコウスキー氏によって設立された。
データの保管と計算処理を分離したアーキテクチャを採用し、AWS・Azure・GCPのいずれかのクラウド基盤上でサービスを提供している。2020年9月にはニューヨーク証券取引所に上場し、当時のソフトウェア業界における史上最大規模のIPOとなった。
Q2. Databricksとの違いは何か。
SnowflakeとDatabricksの最大の違いは、発展の起点にある。Snowflakeは、SQLベースの構造化データ分析やデータ共有を強みとして発展してきたクラウド型データウェアハウスである。
一方でDatabricksは、Apache Sparkを基盤とした機械学習・AI開発に強みを持つレイクハウス(データレイクとデータウェアハウスを融合させたアーキテクチャ)として発展してきた。現在は両社とも、データエンジニアリングからAI/MLまで扱う統合的なプラットフォームへと機能を拡張しており、現在の機能範囲だけで見た境界は必ずしも明確ではなくなりつつあるが、発展の起点の違いは今なお両社の特徴として語られることが多い。
Q3. Snowflakeはどのような機能で構成されているのか。
Snowflakeの主要な機能は、データの保管と処理を独立して拡張できるアーキテクチャ、データを移動・複製せずに組織間で共有できる「Snowflake Data Sharing」、Python・Java・Scala等でデータ処理や機械学習のコードを実行できる「Snowpark」、そしてLLMによる分析や生成AIアプリケーション・AIエージェントを構築できる「Snowflake Cortex AI」で構成される。
同社はこれらを統合し、自社のプラットフォームを「AI Data Cloud」と位置づけている。利用にあたっては、自社でサーバーを保有する必要がなく、AWS・Azure・GCPいずれかのクラウド上で、消費ベースの料金体系のサービスとして提供される。
Q4. コンサルティングの現場ではどのように扱われるのか。
コンサルティングの現場では、データ戦略やDX推進の支援プロジェクトにおいて、Snowflakeは検討対象の一つとして扱われることがある。具体的には、対象企業のデータ基盤整備状況の分析、SnowflakeやDatabricks等複数のデータ基盤ベンダーの比較検討、導入後の運用体制やコスト管理の設計支援などが挙げられる。
製造業や小売業向けのプロジェクトでは、複数のクラウドサービスに分散したデータを統合する基盤として、Snowflakeの導入を含む選択肢を整理する役割を担うコンサルティングファームも存在する。
Q5. Snowflakeに関するよくある誤解は何か。
よくある誤解の一つが、SnowflakeをBI(Business Intelligence)ツールと同一視する理解である。実際には、SnowflakeはTableauやPower BIのような可視化・レポーティングを主目的とするBIツールではなく、データの保管・処理・共有を担う基盤そのものであり、BIツールと組み合わせて利用されることが多い。
また、Snowflakeが特定のクラウド事業者から独立して動作するサービスであるという理解も誤解である。Snowflakeのアカウントは、AWS・Azure・Google Cloudのいずれか1つのクラウド基盤上で稼働する仕組みであり、企業は自社のクラウド環境に応じて利用する基盤を選択できる、という点が正確な特徴である。
まとめ(実務整理)
Snowflakeは、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど複数のクラウドに対応し、データの保管・処理・分析・共有などを行えるクラウド型データプラットフォームを提供する米国企業であり、Databricksや従来型のオンプレミス型データウェアハウスとは異なる成り立ちと特徴を持つ。両者の違いを整理しておくことは、データ戦略やDX推進を検討するコンサルティング業務において、論点整理の土台として参考になる。
日本国内での事業展開の状況を理解しておくと、クライアントへの説明にも役立つ。採用面接との関係では、企業名や製品名の詳細を暗記する場面は多くなく、クラウド型データ基盤が従来型と何を変えたのかという考え方の骨格をおさえておけば十分であるといえる。
出典
- 米国証券取引委員会(SEC)EDGAR「Snowflake Inc. Form 10-K附属注記(設立日・IPO詳細)」
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1640147/000164014721000073/R9.htm - 米国証券取引委員会(SEC)EDGAR「Snowflake Inc. Form 8-K(2024年CEO交代に関する届出)」
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1640147/000164014724000033/snow-20240227.htm - Snowflake公式プレスリリース「Sridhar Ramaswamy Named Chief Executive Officer of Snowflake」
https://www.snowflake.com/news/sridhar-ramaswamy-named-chief-executive-officer-of-snowflake/ - Snowflake公式プレスリリース「Snowflake Announces Japan Office Opening」(2019年11月26日付、日本法人設立・東京オフィス開設の発表)
https://www.snowflake.com/?p=72730 - Snowflake日本公式プレスリリース「Snowflake、社長執行役員に浮田 竜路が就任」
https://www.snowflake.com/ja/news/press-releases/snowflake-appoints-ryuji-ukita-as-president-and-CEO-japanese-subsidiary/ - Impress Watch「Snowflake、Google Cloud東京リージョンでのサポートを2026年度第4四半期に開始、データの国内管理を可能に」(2026年9月14日付)
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/2140271.html
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