Big4
Big4とは
コンサルティング業界における「Big4(ビッグフォー)」とは、デロイト トーマツ コンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KPMGコンサルティングの4社を指す。
これらはいずれも、世界4大会計事務所グループに属し、監査・税務を中心に発展してきた専門組織を母体としている。経済のグローバル化とデジタル化の進展に伴い、企業が直面する課題は財務・会計の領域を超え、経営戦略、業務改革、先端テクノロジーの導入、リスク管理、M&A支援などへと広がっている。こうした変化を受け、Big4各社はコンサルティング事業を拡大し、現在では戦略立案からIT実装まで一貫して支援する「総合系コンサルティングファーム」としての地位を確立している。
成り立ちと発展
Big4とは、本来、世界四大会計事務所を指す表現である。20世紀半ば、欧米では複数の会計事務所が合併や提携を重ね、国際的な監査・会計ネットワークが形成された。その再編の結果、現在の四大会計事務所グループであるデロイト、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、KPMGに集約された。
1990年代以降、企業経営のグローバル化やIT化が進むなかで、財務領域にとどまらず、経営戦略や業務改革など、より広範な支援が求められるようになった。これに応じてBig4各グループはコンサルティング部門を強化し、経営課題を総合的に解決する体制を整えていった。こうしてコンサルティング分野にも「Big4」という呼称が定着した。
Big4が展開するコンサルティングの特色
Big4は、クライアント企業が抱える経営上の諸課題について、戦略立案から実行支援まで一気通貫のサポートを提供している。扱う領域も経営戦略や組織人事、財務、IT、サプライチェーンと幅広い。公認会計士や税理士、弁護士、ITエンジニア、デザイナーなど、各分野のプロフェッショナルを擁し、互いの強みや知見を掛け合わせながらプロジェクトを推進している点が特徴である。
加えて、Big4は豊富な資本力と国際的なネットワークをいかし、先端技術の研究開発や新たな事業領域への参入にも積極的に取り組んでいる。
近年では名門戦略系ファームを傘下に入れ、「上流」の戦略立案から「下流」の実行支援まで包括的にサポートできる体制を強化している。コンサルティング業界の境界が曖昧になる中で、Big4はさらに影響力を高めているのだ。
Big4各社の特徴と比較
Big4の比較データ
社名 | グローバル 売上高 |
コンサル部門 売上比率 |
本部 | 海外展開 | 日本法人のコンサル部門 社員数 |
---|---|---|---|---|---|
デロイト | 705億ドル | 45%程度 | ニューヨーク、ロンドン | 150以上の国・地域 | 5,111名 |
PwC | 554億ドル | 42% | ロンドン | 149ヵ国 | 5,130名 |
EY | 512億ドル | 30% | ロンドン | 150以上の国・地域 | 4,310名 |
KPMG | 384億ドル | 42% | アムステルダム | 143ヵ国・地域 | 2,116名 |
※各社公式サイトより。デロイトは2025年5月期、PwCとEYは24年6月期、KPMGは24年9月期。
デロイトトーマツコンサルティング
国内外の大企業を対象に、「経営戦略」「イノベーションマネジメント」「デジタリゼーション」を中心としたサービスを展開している。2013年にはグローバルファームの「モニター」を買収して戦略コンサルティング領域を強化する一方、デジタル分野のコンサルティングにも注力するなど、部門ごとに専門性を高度化している点が特徴だ。社員の幸福度を重視する「メンバーファースト経営」を掲げており、柔軟な働き方の実現に向けた制度づくりを推進していることでも知られている。
PwCコンサルティング
「人にやさしいコンサル」を掲げるやわらかな社風と、積極的なグローバル連携が魅力だ。2013年には世界的な戦略ファームだったブーズ・アンド・カンパニーを買収し、Strategy&として戦略コンサル部門を展開している。監査や税務、法務サービスなども同グループで提供できるため、部門を横断した案件遂行が実現している。また、サステナビリティ経営や経済安全保障といった先進的テーマにも深く取り組んでおり、社会課題解決型のプロジェクトをリードする力を高めている。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング
近年、大手ファームの実力派が集結し、急成長を遂げている存在である。EYとして監査法人を有しているものの、コンサル部門との分割案が出されており、グローバル規模で大きな再編が進む可能性がある。グループ全体としての機動力をさらに高めることで、より幅広い支援体制の構築が進むとみられている。2014年には名門の戦略ファーム「パルテノン」を取り込み、よりハイレベルな戦略提案ができる体制を整えている。
KPMGコンサルティング
「攻めのコンサルティング」と「守りのリスクコンサルティング」の両面に力を入れ、企業の経営全般をトータルで支援する方針をとっている。AIやブロックチェーンなど先端領域に特化した“KPMG Ignition Tokyo”を設立するなど、テクノロジーを基盤とした新事業創出を加速させている。
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