アスエネ

アスエネ(Asuene)とは、企業のCO2排出量算定・削減・報告をはじめ、ESGデータ管理やサプライチェーン管理などを支援するAIサステナビリティプラットフォーム「ASUENE」等を展開する日本のクライメートテック企業である。

脱炭素経営が求められる中、自社のCO2排出量をどのように算定し、サプライチェーン全体でどう削減していけばよいのか。この課題に応える形で成長を遂げてきたのが、アスエネ株式会社(Asuene)である。

2019年の設立以来、CO2排出量の見える化から削減、報告・開示までをワンストップで支援するクラウドサービスを提供し、国内導入社数No.1の実績を重ねている。脱炭素経営やGX(グリーントランスフォーメーション:温室効果ガス排出削減と産業競争力向上を同時に実現する取り組み)を扱うコンサルティング業務においても、クライアント企業のCO2排出量算定・開示を支援するパートナーとして押さえておくべき企業の一つとなっている。

アスエネとは

アスエネ株式会社(英文社名:Asuene Inc.)は、2019年10月に設立された日本のクライメートテック(気候変動問題の解決に資するテクノロジーを扱う企業・技術の総称)企業であり、代表取締役CEOを西和田浩平氏が務めている。同社は「次世代によりよい世界を。」をミッションに掲げ、CO2排出量の見える化・削減・報告を支援するクラウドサービス「ASUENE」を主力事業として展開している。

「ASUENE」が算定・可視化を支援する対象は、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas、地球温暖化の原因となる二酸化炭素等のガスの総称)排出量の算定・報告に関する国際基準である「GHGプロトコル」が定める3つの区分、すなわち自社の事業活動による温室効果ガスの直接排出を指すScope1、購入した電気・熱・蒸気等の使用に伴う間接排出を指すScope2、そしてScope1・2以外のサプライチェーンにおけるその他の間接排出を指すScope3である。

環境省もこの区分に基づき、事業者向けにサプライチェーン排出量の算定方法を公表しており、アスエネのサービスは、請求書等をAI-OCR(人工知能を活用した光学的文字認識技術)で読み取り、こうした排出量算定業務を効率化する点を特徴としている。

同社はCO2見える化サービスに加え、企業のサプライチェーンにおけるESG(Environment・Social・Governance:環境・社会・ガバナンス)評価やサプライヤー管理の取り組みを支援する「ASUENE SUPPLY CHAIN」(旧称「ASUENE ESG」)、LCA(Life Cycle Assessment:製品のライフサイクル全体における環境負荷を算定する手法)・CFP(Carbon Footprint of Products:製品の炭素排出量)算定サービス「ASUENE LCA」、カーボンクレジット・排出権取引所「Carbon EX」など、脱炭素経営を支援する複数のサービスを展開している。

なお、アスエネという社名は、設立当初に展開していたクリーン電力サービス「アスエネ」に由来する。同社は当初、再生可能エネルギー由来の電力を供給する電力小売事業と、CO2排出量見える化サービス(当初は「アスゼロ」と呼ばれていた)を並行して展開していたが、その後のブランド刷新を経て、CO2排出量見える化・削減・報告サービスの名称を英文表記の「ASUENE」に統一し、現在はこのクラウドサービスを中心とするサステナビリティプラットフォームが同社の中核事業として位置づけられている。

アスエネの主なサービス

サービス名 概要
ASUENE(アスエネ) CO2排出量の見える化・削減・報告を支援するクラウドサービス。請求書等のAI-OCR読み取りにより算定業務を効率化する
ASUENE SUPPLY CHAIN(旧称ASUENE ESG) CSR・ESG、安全衛生などサプライヤーに関する調査を一括で収集・管理するサプライチェーンマネジメントプラットフォーム
ASUENE LCA 製品単位のLCA(ライフサイクルアセスメント)・CFP(製品別カーボンフットプリント)の算定を支援するサービス
Carbon EX(カーボンEX) カーボンクレジット(温室効果ガスの排出削減量・吸収量を取引可能な形にしたもの)の取引を仲介する排出権取引所
ASUENE VERITAS 温室効果ガス排出量等の非財務データに関する第三者保証・検証や、情報開示のアドバイザリーを提供するサービス
ASUENE CAREER(アスエネキャリア) サステナビリティ領域の人材採用を支援するAIプラットフォーム。ダイレクトリクルーティングやAI面接等の機能を提供する

具体例・ミニケース

具体例として、株式会社東京商工リサーチが実施した市場調査(2026年)によれば、「ASUENE」の累計導入社数は17,000社を突破し、CO2排出量見える化サービスの分野で3年連続の国内導入社数No.1を獲得している。製造業に限った累計導入社数も8,000社を超えて1位を獲得しており、サービス継続率は99%を維持しているという。あわせて、旧「ASUENE ESG」であるESG評価・サプライチェーン管理サービスも、累計導入社数2万社超で2年連続国内首位となったことを機に、「ASUENE SUPPLY CHAIN」へと改称している。

また同社は、2024年6月末時点で、GHG排出量算定に関する分野において業界最大級となる150件の特許を取得・出願しており、サプライチェーンとのデータ連携や、AIを活用したCO2排出量の算定・削減機能に技術的な強みを持つ。2023年にはシンガポールと米国に海外現地法人を設立し、国内にとどまらずグローバルに事業を展開している。

資金調達の面では、経営陣のほか、大手金融機関の投資部門や事業会社のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC:事業会社が自己資金でスタートアップ等に出資する投資形態)など、幅広い株主から継続的に出資を受けている。同社の公式発表によれば、2026年7月時点の資本金は83億円に達しており、株式会社リコーがCVCファンドを通じて追加出資を行うなど、事業会社との資本業務提携も重ねている。こうした資金を基盤に、製品開発や海外展開、特許取得などへの投資を進めている。

監査法人・ERPベンダーのGXソリューションとの違い

アスエネと混同されやすいのが、コンサルティングファームが提供するGXアドバイザリーサービス、監査法人等が提供する第三者保証・検証サービス、大手ITベンダーが提供するERP(Enterprise Resource Planning:企業の基幹業務を統合的に管理するシステム)のサステナビリティ管理機能である。いずれも企業の脱炭素経営を支援する点で共通するが、提供する価値の性質が異なる。

概念・提供主体 提供する価値 主な形態 主な対象
アスエネ等のクライメートテックSaaS CO2排出量の算定・可視化・報告に必要な機能をクラウドサービスとして提供 SaaS型ソフトウェアの導入・利用 中堅・中小企業から大企業まで幅広い規模の事業会社
コンサルティングファーム 脱炭素戦略の策定や情報開示支援等、経営課題に踏み込んだ助言 プロジェクト単位の助言サービス 上場企業を中心とした大企業
監査法人等の第三者保証・検証機関 算定された排出量データの信頼性を担保する第三者保証・検証 個別案件ごとの保証・検証業務 情報開示に第三者保証を要する上場企業等
ERPベンダーのサステナビリティ管理機能 基幹システムに組み込まれた形でのデータ収集・管理機能の提供 既存の基幹システムの一機能としての導入 既に当該ERPを導入している大企業

なお、アスエネ自身も「ASUENE VERITAS」を通じて第三者保証・検証や開示アドバイザリー領域へ事業を広げており、算定SaaSと第三者保証を別々の主体が分担するという整理だけでなく、一社で複数の機能を提供する動きも見られる。

アスエネは、CO2排出量の算定・可視化に必要な機能をクラウドサービスとして提供し、企業の算定・報告業務を支援する点に特徴がある。一方、コンサルティングファームは経営戦略に踏み込んだ助言を、監査法人等は算定結果の第三者保証・検証を、それぞれプロジェクト単位で提供する点で異なる。基幹システムに組み込まれたERPベンダーのサステナビリティ管理機能とは、既存システムとの統合のしやすさという観点で異なる選択肢となる。

コンサルティング業務における位置づけ

アスエネは、脱炭素戦略やGX推進を扱うコンサルティングプロジェクトにおいて、検討対象の一つとなることがある。

論点設計(イシュー出し)

論点設計の段階では、「対象企業のCO2排出量算定業務を、どの範囲まで自動化・効率化すべきか」「アスエネのようなSaaSサービスと、監査法人による第三者検証をどう組み合わせるか」といった論点を切り分けることが出発点となる。対象企業の規模やサプライチェーンの複雑さによって、検討すべき論点の粒度は大きく変わる。

現状分析(As-Is整理)

現状分析では、対象企業のCO2排出量算定業務の現状(手作業でのExcel集計が中心か、既にツールを導入しているか)や、Scope1〜3のうちどの範囲まで算定できているかを整理する。取引先からのデータ収集体制や、開示要件(有価証券報告書、CDP等の外部イニシアチブへの回答等)を踏まえた優先順位づけも、この段階の重要な作業である。

施策設計(To-Be)

施策設計では、アスエネのようなクラウドサービスの導入範囲や、既存の基幹システムとの連携方法、社内の推進体制などを検討する。算定結果を用いた削減目標の設定や、カーボンクレジットの活用を施策に含めるかどうかも、企業の削減方針や事業特性に応じて検討事項となる。

資料作成(スライド構造)

資料作成では、アスエネの提供サービスを整理した図表、監査法人・ERPベンダー等との比較表、CO2排出量算定から報告・開示までのプロセスイメージなどを、目的に応じた形式で整理し、経営層への提言につなげる。

コンサル採用面接で問われる理由

面接官がアスエネという企業名そのものを直接掘り下げて質問する場面は多くない。むしろ、脱炭素経営やGXをテーマにしたケース面接において、CO2排出量の算定・開示という実務プロセスを具体的にイメージできるかどうかが、解答の骨格に自然と表れるという位置づけである。

ケース面接との接点としては、企業の脱炭素戦略を題材にした設問で、経営戦略レベルの議論だけでなく、Scope1〜3の算定という実務的な工程を踏まえて論点を整理できるかどうかが、論点の網羅性に影響する。特定の企業名を挙げられるかどうかよりも、CO2排出量の算定・削減・開示という一連のプロセスを理解しているかが重要である。

思考法としての位置づけでは、複雑な算定業務をテクノロジーで効率化するという発想が、脱炭素分野に限らず、他の業務効率化やSaaS活用の論点整理にも応用できる。このような視点を持っておくと、ケースの論点を広く捉える際の参考になる。企業名の詳細を覚えることよりも、算定・可視化・削減・開示という脱炭素経営の一連の流れを理解しておくことが、十分な知識基盤になるといえる。

FAQ

Q1. アスエネとは何か。

アスエネとは、企業のCO2排出量算定・削減・報告をはじめ、ESGデータ管理やサプライチェーン管理などを支援するAIサステナビリティプラットフォーム「ASUENE」等を展開する日本のクライメートテック企業である。2019年10月、西和田浩平氏を代表取締役CEOとして設立され、「次世代によりよい世界を。」をミッションに掲げている。

GHGプロトコルが定めるScope1〜3の排出量算定を、請求書等のAI-OCR読み取り等によって効率化する点を特徴とし、東京商工リサーチの調査では、CO2排出量見える化サービスの分野で国内導入社数3年連続No.1(2026年時点)の実績を持つ。

Q2. 監査法人・コンサルティングファームとの違いは何か。

アスエネと監査法人・コンサルティングファームの最大の違いは、提供する価値の形態にある。アスエネは、CO2排出量の算定・可視化に必要な機能をSaaS型のクラウドサービスとして提供する。一方でコンサルティングファームは経営戦略に踏み込んだ助言を、監査法人等は算定結果の第三者保証・検証を、それぞれプロジェクト単位で提供する。

両者は競合する場合もあれば、アスエネのようなツールで算定した排出量を、監査法人等が検証するという形で補完的に用いられる場合もある。なお、アスエネ自身も「ASUENE VERITAS」を通じて第三者保証・検証や開示アドバイザリー領域へ事業を広げている。

Q3. アスエネはどのようなサービスで構成されているのか。

アスエネの中核サービスは、CO2排出量の見える化・削減・報告を支援するクラウドサービス「ASUENE」であり、これに加えて、サプライチェーンのESG評価・サプライヤー管理を支援する「ASUENE SUPPLY CHAIN」(旧称「ASUENE ESG」)、製品単位のLCA・CFP算定を支援する「ASUENE LCA」、カーボンクレジットを取引する排出権取引所「Carbon EX」、第三者保証・検証を担う「ASUENE VERITAS」、サステナビリティ人材向けの採用プラットフォーム「ASUENE CAREER」などを展開している。「ASUENE」では、請求書等をAI-OCRでスキャンすることで、Scope1〜3にわたる排出量算定業務を効率化する機能が中心的な特長となっている。

Q4. コンサルティングの現場ではどのように扱われるのか。

コンサルティングの現場では、脱炭素戦略やGX推進の支援プロジェクトにおいて、アスエネのようなCO2排出量算定SaaSは検討対象の一つとして扱われることがある。具体的には、対象企業のCO2排出量算定業務の現状分析、複数のクライメートテックサービスの比較検討、算定結果を用いた削減目標の策定支援などが挙げられる。有価証券報告書における気候関連情報開示やCDP等の外部イニシアチブへの対応を支援するプロジェクトでは、算定ツールの選定を含めた実務設計を担う役割を果たすこともある。

Q5. アスエネに関するよくある誤解は何か。

よくある誤解の一つが、アスエネを電力会社と同一視する理解である。同社は過去にクリーン電力サービス「アスエネ」を展開していた経緯もあり混同されやすいが、現在の中核事業はCO2排出量の見える化・削減・報告を支援するSaaSクラウドサービスであり、電力そのものの供給を主目的とする企業ではない。

また、CO2排出量算定ツールを導入すれば、算定結果の第三者検証や情報開示まで自動的に完了するという理解も誤解である。開示要件によっては、監査法人等による第三者検証が別途必要となる場合がある点に留意が必要である。

まとめ(実務整理)

アスエネは、企業のCO2排出量算定・削減・報告をはじめ、ESGデータ管理やサプライチェーン管理などを支援するAIサステナビリティプラットフォームを展開する日本のクライメートテック企業であり、コンサルティングファーム・監査法人・ERPベンダーとは異なる価値提供を行っている。両者の違いを整理しておくことは、脱炭素経営やGX推進を検討するコンサルティング業務において、論点整理の土台として参考になる。

Scope1〜3の算定という実務プロセスを理解しておくと、クライアントへの説明にも役立つ。採用面接との関係では、企業名の詳細を暗記する場面は多くなく、CO2排出量の算定・可視化・削減・開示という一連の流れをおさえておけば十分であるといえる。

出典

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