食品ロス

食品ロスとは、本来食べられるのに廃棄される食品のこと。農林水産省及び環境省「令和2年度推計」によると、日本での食品ロスは522万トンにものぼる。食品ロスが増えれば、環境負荷や資源の無駄使いなどが増えてしまう。
食品を焼却処理する際や廃棄物の運搬時に排出される二酸化炭素が、地球温暖化の要因となる温室効果を助長することも懸念される。

さらに、日本での食品ロス522万トンは世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2020年で年間約420万トン)の1.2倍に相当する。また、食品ロスを国民ひとり当たりに換算すると、1年で約41kg、毎日お茶碗約1杯分(約113g)の食べものが捨てられている計算になる。倫理的な観点からも、食品ロスは解決すべき社会課題の1つであることは間違いない。

食品ロスは大きく分けると、下記2つにわけることができる。

  • 1.事業活動を伴って発生する食品ロス・・「事業系食品ロス」
  • 2.各家庭から発生する食品ロス・・・・・「家庭系食品ロス」

また、522万トンのうち事業系食品ロスは275万トンになり、家庭系食品ロスは247万トンにのぼる。

事業系の食品ロスは、さらに下記の4つに分類することができる。

  • 食品製造業…121万トン
  • 食品卸売業…13万トン
  • 食品小売業…60万トン
  • 外食産業…81万トン

食品産業では、2012年4月から食品廃棄物の発生抑制の重要性が高い業種について、環境省および農林水産省が食品リサイクル法に基づく「発生抑制の目標値」を設定し、食品ロスの削減の推進を図っている。

関係府省庁の連携のもと、消費者が食品ロスに対する認識をより高めて消費行動を改善するような働きかけを行っている。
ミレニアム開発目標の後継として、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」において、2016年~2030年までの国際開発目標(17のゴール169のターゲット)のうちの一つとして、食料の損失・廃棄の削減を設定した。

また、食品ロスの削減を目指すスタートアップ企業も急増し、メディア等で大きく取り上げられている。
たとえば、株式会社クラダシは、食品ロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を最大97%安くユーザーに販売する社会貢献型ショッピングサイトを展開する。さらに、その売り上げの3〜5%を社会貢献活動団体へと寄付している。
ほかにも、株式会社コークッキングが運営する「TABETE(タベテ)」は、つくりすぎてしまったパンや惣菜、予約のキャンセルが出てしまった食事等をテイクアウトできるフードシェアリングサービスを展開している。

食品ロスは、私たち一人ひとりの生活に深く根ざした問題であり、それを解決するためには、社会全体としての意識改革が必要となる。社会が一丸となって取り組むことで、食品ロスは確実に減らせるはずだ。
一方で、新しいビジネスチャンスと認識して、食品ロスに取り組む企業も増えている。企業の活動を通じて、食品ロス削減の新たなビジネスが生まれ、社会全体の取り組みがさらに加速するだろう。

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