直接金融

直接金融とは、資金を必要とする企業が、金融機関など第三者を介さず直接調達する方式、仕組みを指す。投資家から企業への資金供給の流れが、銀行を通さず直接行われる。一般的に証券市場を介して企業の株式や債券などを取得することで、資金が企業に供給される。反対に金融機関を通じて貸しつけることを間接金融と呼び、それぞれの方式には、貸し手借り手双方にメリット・デメリットが存在する。

直接金融によって資金を供給する投資家のメリットは、投資する相手企業、金利などの貸し付け条件を自由に選べる点にある。仲介役を介さないため、利益の中抜きがなく条件次第ではハイリターンの獲得も可能である。
デメリットは、銀行の預貯金と違い保全はなく自己責任であること。元本割れや、万が一企業が倒産した場合(貸し倒れ)には、資金返ってこないリスクを投資家自身が負う。厳密には証券会社を介在させるのだが一般的だが、責任は投資家に帰属する。

借り手である企業側のメリットは、株式取得の場合であれば、借入金(負債)ではなく資本扱いにできることから上手く行かなかった場合の返済義務がない。
反対にデメリットとして考えられるのは、資金調達が難しいこと。株式や債券のいずれかを発行し、資金の調達を図る場合でも、企業価値を認識してもらうIR活動に時間と費用が必要となる。取得株数や株主構成によっては、過半数の獲得や、最悪の場合は、敵的企業買収をされる危険性もある。

一時期は欧米は直接金融の比率が高く、日本は間接金融の比率が高かったが、インターネットなどの通信技術の飛躍的進化によって、日本も直接金融が台頭してきた。背景のひとつには、情報に容易にアプローチできるようになったこともある。それまでは銀行等の金融機関しか、企業の詳細な情報を知り得なかったが、現在では気軽にネットで調べることが可能になっている。また、スマホやパソコンがあれば誰でも企業の新製品や不祥事などの最新ニュースを知ることができ、自在に幅広い選択肢から投資先企業を選択できるようになってきている。

また、近年ICO(イニシャルコインオファリング)やクラウドファンディングに代表されるような新しい資金調達の形が登場している点にも注視が必要だ。
従来は直接金融の担い手は主に証券会社であったが、このような新しいサービスを提供しているのはFintech系のベンチャーであることも多い。コンサルティングファームではこのようなFintechベンチャーと協働したプロジェクトも増えてきているため、間接金融や直接金融といった基本的なものはもちろんのこと、最新のFintech用語についても押さえておく必要があるだろう。

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