ローン・スター・ファンド ディストレス投資とバイアウトで実績を積むPEファンド

ローン・スター・ファンドは、ディストレス投資を起点に、産業系バイアウトから不動産まで投資領域を広げながら、北米・欧州・東アジアの機関投資家から預かった資本を運用してきた。外資系プライベート・エクイティとして先駆的に日本市場へ参入し、以降30年近くにわたって不動産・金融機関・事業会社と幅広い投資実績を積み上げている。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容について整理する。

ローン・スター・ファンドについて

ローン・スター・ファンド HPより

ローン・スター・ファンドとは

ローン・スター・ファンド(Lone Star Funds、以下:ローン・スター)は、1995年に米国で設立されたプライベート・エクイティ・ファームである。プライベート・エクイティ、クレジット、不動産の3領域を中心に、企業・金融資産・不動産に対してバリュー投資を行っている。2026年6月時点で、累計26本のファンドを組成し、総コミットメント額は約960億ドルに達する。

同社は設立から30年以上にわたり、北米・欧州・東アジアの先進国市場を主な投資対象としてきた。経済危機や金融危機の影響を受けた市場において、資産価値の歪みが生じた局面を投資機会として捉え、バリューアップを実現した後に売却するアプローチを基本としている。創業ファンドであるBrazos Fundの組成から始まり、1997年にはグローバル投資プラットフォームを構築。同年、日本にもオフィスを開設し、外資系プライベート・エクイティとして先駆的に国内市場へ参入した。

3つの投資戦略

投資戦略は、プライベート・エクイティ、クレジット、不動産の3領域に分かれる。プライベート・エクイティでは、産業、化学、ビジネスサービスおよび流通、金融サービスの各セクターにおける企業投資を行っており、2025年9月30日時点の累計買収額は約636億ドル(ファイナンシングおよび共同投資家分を含む)にのぼる。クレジット領域では、コーポレート・クレジット投資に加え、米国の非エージェンシー住宅ローンに投資するResidential Mortgage Fund(LSRMF)シリーズを2014年より展開しており、独自の証券化プラットフォーム「COLT」を自社開発して累計68回の発行実績を持つ。不動産領域では、商業不動産の債務・エクイティ双方への投資を行い、2026年3月31日時点の累計買収額は約1,787億ドル(同)に達する。

Hudson Advisorsとの連携

ローン・スターの投資運営において、専属のアセット・マネジメント会社であるHudson Advisorsが重要な役割を担っている。Hudson Advisorsは1995年の設立以来、アンダーライティング・デューデリジェンス・バリュエーション・リスク管理など、投資の実行から資産管理にいたる一連のサービスをローン・スターに提供してきた。1995年以来の取り扱い資産は約110万件、累計買収額は約2,840億ドルにのぼる。ローン・スターのファンド投資家には、企業年金・公的年金・ソブリン・ウェルス・ファンド・大学基金・財団・ファミリーオフィスなどが名を連ねる。

近年の動向

2018年以降、産業系バイアウト投資(資産が重厚でキャッシュフローの安定した企業を対象とする投資)を積極化しており、近年では欧米を中心に大型案件が続いている。2024年にはLone Star Fund XIIのファイナルクローズを実施し、同年にKidde Global Solutions(火災安全製品)を約30億ドルで買収。2025年にはERIKSの買収を完了したほか、2026年にはRadiciGroupとDOMO Engineered Materialsの買収を完了させ、グローバルな高機能ポリマー・エンジニアリングマテリアル分野の統合プラットフォームを形成している。日本においても投資を継続しており、2022年にセンクシア(建材機器メーカー)、2023年に湯快リゾートを買収している。

株式会社ローン・スター・ジャパン・アクイジッションズ(※ローン・スター・ファンド日本法人)
Lone Star Funds
  • 代表者
    Executive Chairman:松永 光生
    ※グローバルでの代表(CEO)は、Donald J. Quintin
  • 設立
    1995年(グローバル)
    1997年(日本市場参入)
  • 所在地
    東京都千代田区丸の内1-6-5
    丸の内北口ビルディング 15階
  • 拠点数
    北米・欧州・中東・アジア太平洋に12拠点(2026年7月時点の公開情報)※グローバル

ローン・スター・ファンドの理念

以下にローン・スターの企業理念を引く。

Our strategy

Lone Star is fundamentally a value investor. This is true across all three of our verticals — Private Equity, Credit and Real Estate. We also see opportunity in the complex. These two components have informed our operating philosophy and our approach to investing since our foundation. We believe that by targeting pockets of deep value across our strategies, and by embracing opportunities where others might see too many intricacies, we can find the dislocations that produce strong returns. As a firm, we focus on:

  • Applying a disciplined and rigorous underwriting process
  • Targeting opportunities that limit downside risk for our investors
  • Investing where we see upside through agile capital and global capabilities
  • Driving results that prioritize return of capital while building lasting value

Our values

As an organization, we bring to bear a culture of collaboration, rigor and risk management as we seek to identify investments, drive value and deliver for our investors every day. This culture is underpinned by our values:

  • Discipline in our approach to investing and our day-to-day work
  • Professionalism in our engagement with colleagues and counterparties, and ethics in how we invest
  • Trust among our people and in our approach, and the trust we work to instill as stewards of our investor’s capital

ローン・スター・ファンドの沿革

以下にローン・スターの主な沿革を記載する。

1995年
John Grayken(ジョン・グレイケン)氏により、米国テキサス州ダラスにて設立。
1997年
日本に進出し、東京にオフィスを開設。
2001年
東京スター銀行を取得。

日本における主な投資実績

以下に、ローン・スターの日本における主な投資実績を記載する。

東京スター銀行

2001年、1999年に経営破綻した東京相和銀行のスポンサーとなり、東京スター銀行を新設。東京相銀から営業譲渡させることにより営業を開始。
中部銀行(2002年経営破綻)関東地区支店の追加買収によって、2005年東証一部上場を果たす。
2008年にはアドバンテッジ パートナーズ傘下の4つの投資ファンドによるTOBに応じ、株式売却・上場廃止。
2011年、再び資本参画をし、2013年10月には中国信託商業銀行が520億円で買収。

ファーストクレジット

2002年に会社更生法の適用を申請した旧長銀系のノンバンク。スポンサーとして買収したのち、2005年に住友信託銀行へ全株式を売却。

TSBキャピタル

西友子会社のノンバンク東京シティファイナンス(1999年経営破綻)を買収。現在は貸金業に特化している。
2004年までに、キャッシング専用キャッシュディスペンサー「SEIYUキャッシュポイント」を撤去し、東京スター銀行のATMを設置。

ソラーレホテルズアンドリゾーツ

2002年に地産が会社更生を申請。同社が保有するゴルフ場をパシフィックゴルフグループ、ホテルをソラーレホテルズアンドリゾーツとして独立させた。東栄のホテルを譲受のほか、新設も行っている。

後楽園ファイナンス

東京ドームのゴルフ・リゾート事業、金融事業からの撤退に際して、2006年に譲り受け。

目黒雅叙園

保有していた複合施設を2014年8月に森トラストへ売却。

センクシア

2022年にカーライルより取得した建材機器メーカー。2026年にノーリツ鋼機へ売却。

湯快リゾート

2023年に日本企業成長投資より取得した温泉旅館・格安ホテル運営会社。

ローン・スター・ファンドのサービス

ローン・スターは、プライベート・エクイティ、クレジット、不動産の3つの投資戦略を中心に展開している。

プライベート・エクイティ

産業、化学、ビジネスサービスおよび流通、金融サービスの各セクターにおける企業への投資を行う。

クレジット

コーポレート・クレジット投資と住宅ローン投資の2分野で構成される。

住宅ローン

米国の政府系機関対象外(非エージェンシー)の新規組成住宅ローンに投資する「Residential Mortgage Fund」シリーズを2014年より展開。独自の証券化プラットフォーム「COLT」を通じて資金調達を行う。

コーポレート・クレジット

ストレス・ディストレス状態にある企業ローン、キャピタル・ソリューション、スペシャル・シチュエーションなど、コーポレートデットの幅広いスペクトラムへの投資。

不動産

商業不動産の債務・エクイティ双方を対象に投資を行う。以下の3分類で構成される。

直接不動産投資

オフィス・マルチファミリー・ホテル・小売・学生向け住宅・シニアリビングなど幅広いアセットタイプへの直接投資。日本・北米・欧州を対象地域とする。

不動産関連事業会社

住宅開発会社・ホテル運営会社など、不動産関連の事業会社への投資。

不動産不良債権・REOポートフォリオ

不動産担保ローンの不良債権ポートフォリオへの投資。

ローン・スター・ファンドについてのFAQ

Q1. 

ローン・スターはどのような投資を行う会社ですか?


A1. 

ローン・スターは、プライベート・エクイティ、クレジット、不動産の3領域を中心にグローバルで投資活動を行うプライベート・エクイティ・ファームです。経済危機や金融危機によって生じた資産価値の歪みに着目し、流動性が制約された局面で買収・バリューアップを行い、投資家へのリターンを追求します。1995年の設立以来、累計26本のファンドを組成し、総コミットメント額は約960億ドルに達します。投資の実行にあたっては、専属のアセット・マネジメント会社であるHudson Advisorsがデューデリジェンス・資産管理・リスク管理を担います。Hudson Advisorsは1995年以来、累計約110万件・約2,840億ドルの資産をサポートしてきた実績を持ちます。ファンドの投資家(LP)は企業年金・公的年金・ソブリン・ウェルス・ファンド・大学基金・財団など機関投資家が中心です。

Q2. 

ローン・スターのバリュー投資とはどういう意味ですか?


A2. 

ローン・スターが掲げるバリュー投資とは、資産の本来価値と市場での取引価格の間に乖離が生じた局面を積極的に狙い、その歪みを収益の源泉とする投資スタイルです。経済危機・金融危機・企業の経営転換期などで流動性が低下した資産に対し、厳格なアンダーライティング(投資対象の価値分析と審査)を実施したうえで買収します。その後、経営陣と連携して収益成長・マージン改善・キャッシュフロー強化・M&Aなどの価値向上施策を実行し、売却によってリターンを実現するという流れです。業種・地域・資産クラスによる制約を設けず、プライベート・エクイティ、クレジット、不動産の3領域を横断して機動的に資本を配置できる点が、同社の投資フレームの特徴といえます。マクロ経済環境に左右されず投資機会を捉えるため、厳格なリスク管理をすべての投資判断の起点に置いています。

Q3. 

ローン・スターは日本でどのような投資実績がありますか?


A3. 

ローン・スターは1997年に日本に東京オフィスを開設し、外資系プライベート・エクイティとして先駆的に国内市場へ参入しました。以降、金融・不動産・ホテル・建材など幅広いセクターで投資を展開しています。主な実績として、1999年に経営破綻した東京相和銀行のスポンサーとなり、2001年に東京スター銀行を設立したことが知られています。不動産分野では目黒雅叙園、ホテル分野ではソラーレホテルズアンドリゾーツへの投資実績を持ちます。近年は事業会社への投資も積極化しており、2022年にはカーライルからセンクシア(建材機器メーカー)を買収。2023年には湯快リゾート(温泉旅館・格安ホテル運営)を日本企業成長投資から買収しています。日本においては株式会社ローン・スター・ジャパン・アクイジッションズが投資助言・代理業として活動しており、金融商品取引業者として関東財務局に登録されています。

Q4. 

ローン・スターのファンドシリーズはどのように構成されていますか?


A4. 

ローン・スターのファンドは3つのシリーズで構成されています。まず、Opportunity Fund シリーズ(LSFシリーズ)は産業系企業・コーポレート・クレジット・事業会社への投資を対象とした旗艦シリーズです。次に、Commercial Real Estate Fund シリーズ(LSREFシリーズ)は商業不動産の債務・エクイティ両面への投資を対象としています。そして、Residential Mortgage Fund シリーズ(LSRMFシリーズ)は2014年に開始した米国の非エージェンシー住宅ローンへの投資を行うシリーズで、独自の証券化プラットフォーム「COLT」を通じて累計68回の発行実績を持ちます。2026年時点で累計26本のファンドを組成しており、総コミットメント額は約960億ドルに達します。2024年にはLone Star Fund XII(Opportunity Fundシリーズ最新版)がファイナルクローズを実施しています。各ファンドはクローズドエンド型のリミテッド・パートナーシップ構造を採用しています。

Q5. 

ローン・スターの現在の経営体制はどのようになっていますか?


A5. 

ローン・スターの現在の経営トップは、2024年にCEO&Global Presidentに就任したDonald J. Quintin氏です。Quintin氏は2010年にローン・スターに入社し、ヨーロッパ担当プレジデントやOpportunity Funds担当プレジデントを歴任した後、現職に就いています。創業者のJohn P. Grayken氏はChairmanとして戦略的な立場から関与しています。最高執行責任者(COO)にはVinay Khandelwal氏が就いており、日本においてはMitsuo Matsunaga(松永光生)氏が日本におけるExecutive Chairmanを務め、Keisuke Ando氏が商業不動産分野の投資責任者(Senior Managing Director)として国内案件を担当しています。日本法人は株式会社ローン・スター・ジャパン・アクイジッションズとして金融商品取引業者(関東財務局長(金商)第2524号)に登録され、投資助言・代理業として活動しています。

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