エンデバー・ユナイテッド 事業承継・再生を担う和製独立系PEファンド
エンデバー・ユナイテッドは、「にっぽんのための投資ファンド」という理念のもと、日本のPEファンド業界の黎明期から積み重ねてきた知見を基盤に、事業承継・カーブアウト・事業再生といった局面を迎えた日本企業の経営に関わってきた。投資先の役職員とともに課題に取り組むハンズオン型のアプローチが、同社の投資スタイルの核心にある。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパスやトレーニング内容、社員の声、社会貢献・ESG、関連書籍について整理する。
エンデバー・ユナイテッド HPより
エンデバー・ユナイテッドとは
エンデバー・ユナイテッド株式会社(Endeavour United、以下:エンデバー・ユナイテッド)は、2013年に設立された独立系プライベート・エクイティ(PE)ファンド運営会社である。事業承継・カーブアウト・事業再生・非公開化・資本増強を主な投資領域とし、日本企業に対して資本提供と経営支援を一体的に行っている。現在はシンガポールにも拠点を有する。
前身はフェニックス・キャピタル株式会社(以下:フェニックス・キャピタル)であり、日本のPEファンド業界の黎明期にあたる2002年に設立されたグループを起源とする。フェニックス・キャピタルは業界の草創期から事業承継・カーブアウト・事業再生などの投資案件に取り組んできた。2013年にエンデバー・ユナイテッドがフェニックス・キャピタルの子会社として設立され、2016年にフェニックス・キャピタルの投資業務が移管されてエンデバー・ユナイテッドとして本格始動した。
投資哲学と特徴
投資先の役職員・オーナー・親会社の「どのような会社にしてゆきたいか」という想いを最優先に尊重したうえで、役職員とともに課題に取り組むハンズオン(hands-on)型の投資アプローチを採っている。取引先・金融機関など外部の関係者との協調も重視する友好的なスタンスが特徴であり、投資実行から企業価値向上まで一気通貫で関与する体制を取る。同社が掲げる「にっぽんのための投資ファンド」というコンセプトは、こうした投資姿勢の根幹を表すものである。
投資実績とファンド規模
グループ設立の2002年以来、計12本・総額約3,500億円のファンドを組成し、約90社の企業への株式投資を行ってきた(2026年7月時点の公開情報)。投資先は製造業、飲食・小売業、土木・建設業など多岐にわたる。現在運用中のファンドは、2018年9月設立の8号ファンド(351億円)と、2022年8月設立の9号ファンド(530億円)の2本である。2022年にはPRI(国連が支持する責任投資原則)へ署名し、ESGへの取り組みを投資プロセスに統合している。
近年の動向
近年も積極的な投資活動を継続しており、住宅・建設・飲食・介護・製造など幅広い業種に投資を行っている。2025年には2024年度JPEAアウォード(日本プライベート・エクイティ協会主催)を受賞した。投資先のIPOやロールアップ(複数企業の統合・再編)も複数実施しており、企業価値向上の手法は多様化している。また、メンバーによるPE業界の専門書への共著も複数公表されており、業界における知見の発信も続けている。
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代表者代表取締役:三村 智彦
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設立2013年4月24日
(グループ設立:2002年1月21日) -
所在地東京都千代田区丸の内二丁目5番1号
丸の内二丁目ビル6階 -
拠点数2拠点(東京・シンガポール)(2026年7月時点の公開情報)
News & Topics
エンデバー・ユナイテッドの理念
以下に、エンデバー・ユナイテッドの企業理念およびアプローチを引く。
この国の挑戦のそばに
投資ファンドの黎明期である2002年。
私たちは考えました。「日本らしいやり方がきっとある」と。私たちの信じる「和製ファンドのあり方」とは、投資先の皆さまとともに汗をかくこと。
同じ目線で、同じ情熱を持ちながら、ともにまだ見たことのない場所へたどり着くこと。
泥くさくても、愚直に。なにより誠実に。
最後の一瞬まで努力を惜しまない姿勢で、私たちはたくさんの“想い”や“願い”を、ひとつの形にしてまいります。
役職員の皆様と共に経営課題に取り組んでいくハンズオンアプローチ
- 弊社が投資することになった場合、まず何よりも役職員の皆様の不安解消に最大限尽力します
- その上で、今後の成長のイメージを共有し、戦略および施策を共に検討・実行していくことを大切にしています
- 会社の経営理念や方針は、必要性がある場合においてのみ変更されるべきものと考え、最大限尊重します
- 経験豊富なプロフェッショナルがチームを組み、投資実行から企業価値向上まで一気通貫でサポートします
- 主要メンバーは10年を超える投資~企業価値向上の経験を有しています
- 製造、飲食・小売、土木・建築、住宅を中心に、多岐に渡る業界に対する投資経験を有し、業界知見とベストプラクティスを蓄積しています
外部関係者との協調も重視
- 取引先や金融機関等の外部関係者との協調も重視する友好的なアプローチを採ります
エンデバー・ユナイテッドの沿革
以下に、エンデバー・ユナイテッドの主な沿革を記載する。
- 2002年
- フェニックス・キャピタル株式会社設立。
- 1号ファンド(200億円)設立。
- 日本リバイバル・インベストメンツ株式会社設立。
- 2号ファンド(471億円)設立。
- 2004年
- 3号ファンド(331億円)設立。
- 三菱自動車向けファンド(740億円)設立。
- 2005年
- 4号ファンド(285億円)設立。
- 5号ファンド(201億円)設立。
- 2008年
- 6号ファンド(102億円)設立。
- 2012年
- 中小機構との共同ファンド(25億円)設立。
- 2013年
- エンデバー・ユナイテッド株式会社設立。
- 2016年
- フェニックス・キャピタルのフロント業務をエンデバー・ユナイテッドへ移管。エンデバー・ユナイテッド本格始動。
- 7号ファンド(227億円)設立。
- 2017年
- 日本リバイバル・インベストメンツの業務をエンデバー・ユナイテッドへ移管。日本リバイバル・インベストメンツ解散。
- 2018年
- 8号ファンド(351億円)設立。
- 2022年
- PRI(責任投資原則)へ署名。
- 9号ファンド(530億円)設立。
エンデバー・ユナイテッドのサービス
エンデバー・ユナイテッドは、事業承継やカーブアウト投資をメインに展開している。ファンドの運営だけでなく、投資先企業が抱える経営課題や経営資源の状況に応じた支援を行う。
支援対象
- 事業承継
- カーブアウト
- 非公開化
- 資本増強
- 事業再生
投資先への経営サポート
- 経営課題の抽出と解決方法の提案
- 戦略的な中期経営計画の策定および実行支援
- 経営管理体制の構築支援および第三者的な目線でのモニタリング実行
- 経営幹部人材の招聘・派遣
- ロールアップ候補先の紹介・実行支援(投資先によるM&A)
- 同社ネットワークや同社投資先の紹介・連携を通じたシナジー創出支援
- 上場に向けた検討・実行支援
- 必要性に応じて追加資金支援も実施
主な投資実績
【三菱自動車工業株式会社】
投資:2004年7月/Exit:2005年12月
自動車製造大手。経営危機にある同社の財務再建を支援するために組成された740億円の特別目的ファンドを通じて投資を実施。事業再生に特化していたグループ草創期を代表する案件。
【パレモ・ホールディングス株式会社】
投資:2016年10月/Exit:2021年8月
アパレル小売チェーンを展開する上場企業。TOB(公開買付)により全株式を取得・非公開化し、経営改善および事業再構築を支援。エンデバー・ユナイテッドとして本格始動後の初期を代表する非公開化案件。
【株式会社アーケム】
投資:2022年8月/Exit:投資中
ブリヂストンの化成品ソリューション事業(自動車用シートパッド・ウレタンフォーム製品等)を会社分割により承継した会社。ブリヂストンの多角化事業再編の一環として同事業部門を譲受したカーブアウト案件。
【株式会社UNICONホールディングス】
投資:2020年4月/Exit:2025年9月(東証スタンダードにIPO)
南東北を事業エリアとする地域建設業連合の統括会社。山和建設・小野中村・南会西部建設コーポレーションを段階的にグループに統合するロールアップ戦略を推進し、企業価値向上を実現。2025年9月に東証スタンダードに上場。
【株式会社ロゴスホールディングス】
投資:2019年6月/Exit:2024年6月(東証グロースにIPO)
北海道・東北を中心とした地域ビルダーのアライアンス統括会社。創業者からの事業承継として株式会社ロゴスホームへの資本参画を起点に、複数の地域ビルダーをロールアップで傘下に統合。中期的な企業価値向上を経て、2024年6月に東証グロース市場に上場。
【株式会社ADDIX】
投資:2021年4月/Exit:2024年8月
DX実行支援を行うIT企業。投資後はグループ内でのロールアップを推進し企業価値を向上。2024年8月に東海旅客鉄道(JR東海)に株式を譲渡しExitを実現。
エンデバー・ユナイテッドの求める人物像
エンデバー・ユナイテッドでは、同社が掲げる「リスペクト(尊敬)」「デリジェンス(不断の努力)」「バリュー・クリエーション(付加価値の創造)」の3つのバリューに共感できる人物を幅広く求めている。人や事業への関心を持ち、投資の奥深さに興味を持ちながら、同社の理念に共鳴できることが基本的な素養として位置づけられている。
同時に、これまでのキャリアや専門性を土台としながら、自分なりのスタイルで投資先企業と向き合える自主性も重視されている。同社は何らかのステレオタイプなプロフェッショナル像を期待するのではなく、多様なバックグラウンドを持つ人材がそれぞれの強みを発揮できる組織を志向しており、互いをリスペクトし合いながら切磋琢磨できる人物を歓迎している。
エンデバー・ユナイテッドでのキャリアパス
エンデバー・ユナイテッドの投資チームの職位は、アナリスト、ヴァイスプレジデント、シニアヴァイスプレジデント、ディレクター、マネージングディレクターの段階に分かれており、この上に執行役員が位置する。
ディレクターとマネージングディレクターはプロジェクトマネージャー(PM)として各チームを統括する役割を担う。一方、アナリスト・ヴァイスプレジデント・シニアヴァイスプレジデントはスタッフとして案件の主担当者=ファンドマネージャーを務め、年次や経験による職位の差はあるものの、担う役割に大きな違いはない。PMの指示を受けるだけでなく、取るべきアクションを自ら考えて主体的に動くことが求められ、案件オペレーションの起点として機能する。
スタッフはソーシングから投資実行、バリューアップ、Exitまでの一連のプロセスを一気通貫で担当し、進行中の複数案件を同時並行で受け持つ。案件の進捗状況を見ながら自身の裁量で業務配分を判断するマルチタスクが求められる環境であり、若手のうちから多くの案件に携わることができる点が同社の特徴となっている。
エンデバー・ユナイテッドのトレーニング
エンデバー・ユナイテッドでは、OJTを育成の基本としている。多様な専門分野を持つプロフェッショナルが社内に在籍しており、日常の業務を通じてメンバー同士でアドバイスを交わしながら知識やスキルを積み上げていく環境が整っている。
加えて、過去に手がけた案件のナレッジにもアクセスできる仕組みが設けられており、投資業務の経験が浅い段階でも比較的早期にキャッチアップできる体制となっている。さらに、各種テーマを扱う社内勉強会も定期的に開催されており、実務とは別の角度から専門知識を深める機会も用意されている。
エンデバー・ユナイテッドの社員の声
エンデバー・ユナイテッドでは、「リスペクト(尊敬)」「デリジェンス(不断の努力)」「バリュー・クリエーション(付加価値の創造)」の3つのバリューが組織全体に浸透しており、個性豊かなメンバーが誠実さという共通軸のもとで働いている。フラットな組織風土と豊富な案件機会が、若手を含むすべての社員の成長を後押ししている。同社の魅力について、社員は以下のように語る。
誠実さだと思います。EUには個性豊かなメンバーが在籍していますが、誠実であるという点は共通しているように思います。
PEファンドは、社内メンバーに加えて、投資家、投資先、アドバイザー、金融機関などの様々な関係者との協働により成り立っているビジネスであり、信頼関係が非常に重要です。誠実であることは、信頼関係の構築に大きく寄与していると思います。
投資件数No.1の実績があり、実際に常に検討している案件が存在することから、入社後すぐに比較的早く投資の実行や投資先の経営改善に参画できるチャンスがある。これは他社と大きな差と感じている。
シニアメンバーが若手の意見も傾聴してくれるところです。そのような、相手の立場に立ったコミュニケーションの姿勢が投資先・投資家・社内のあらゆる場面で浸透・一貫しているように思います。
エンデバー・ユナイテッドの社会貢献・ESG
エンデバー・ユナイテッドは、投資活動を通じた社会課題の解決をサステナビリティの中核に据え、環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを継続的に推進している。
ESGへの取り組み
同社は、投資先企業の中長期的な企業価値向上を目指す投資哲学のもと、ESGに関する課題が自社および投資先の経営に重大な影響を及ぼすとの認識を持ち、2016年に責任投資方針を策定した。その後、投資活動へのESGのさらなる統合を図るべく同方針を改定している。また、国連が支援する責任投資原則(PRI)への署名を通じて、投資分析・意思決定プロセスへのESG課題の組み込みや投資先への適切な開示要求など、6つの原則へのコミットメントを宣言している。これらの取り組みの進捗や成果は、2022年から毎年ESGレポートとして公表している。
社会貢献活動
同社は、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)の達成を重視し、貧困・教育・ジェンダーをはじめとする社会課題の解決に向けた支援活動をNPOなどを通じて継続的に行っている。具体的には以下のプロジェクトに取り組んでいる。
- 女子学生向け奨学金助成事業(日本):
一般財団法人を設立し、国内大学院に在籍する日本人女子学生への返済不要の奨学金を助成。東京大学大学院、一橋大学大学院、慶應義塾大学大学院が現在の助成先となっている。 - 女の子の自立支援プロジェクト(ベトナム):
都市部での就業機会を求める少数民族の若年層女性を対象に、美容師としての技術習得と経済的自立を支援した。 - 病院建設プロジェクト(カンボジア):
高額な治療費や医療施設・専門医の不足により治療を受けられない小児がんなどの難病を抱える子どもたちのための小児病棟の設立を支援した。 - 水と衛生プロジェクト(タイ):
経済的困難と社会的孤立を抱える山岳地帯の少数民族コミュニティに給水施設を設置し、安全な水へのアクセスを実現した。 - 幼稚園建設プロジェクト(ベトナム・ガーナ):
貧困により劣悪な環境での乳幼児教育を余儀なくされていた子どもたちに、安全で衛生的な幼稚園園舎を提供し、就学率の向上に貢献した。
エンデバー・ユナイテッドについてのFAQ
エンデバー・ユナイテッドはどのような企業に投資しているのですか?
エンデバー・ユナイテッドは、国内に本社を有する日本企業への投資を基本としています。事業承継・カーブアウト(親会社による子会社・事業部門の切り離し)・事業再生・非公開化・資本増強の5つが主な投資類型であり、後継者不在のオーナー企業、事業戦略を見直す上場企業、再構築が必要な企業など、経営上の転換点にある企業が対象となります。業種としては製造業、建設・土木業、飲食・小売業などへの投資実績が多く、2026年7月時点の公開情報によれば、グループ設立の2002年以来、約90社への株式投資を行っています。なお、海外展開を積極的に行う企業であっても、国内に本社があれば投資対象となります。
エンデバー・ユナイテッドの「ハンズオン投資」とは具体的にどのような支援ですか?
ハンズオン投資とは、資本を提供するだけでなく、投資先企業の経営に深く関与し、役職員とともに課題解決に取り組むアプローチです。エンデバー・ユナイテッドでは、経営課題の抽出と解決策の提案、戦略的な中期経営計画の策定・実行支援、経営管理体制の構築支援、経営幹部人材の招聘・派遣、ロールアップ(複数企業の統合・再編)候補先の紹介・実行支援、IPO準備支援などを行っています。特定の局面(投資後100日間など)では往訪頻度を高めるなど、経営状況に応じて関与の密度を柔軟に調整しながら、投資実行から企業価値向上・Exit(売却・IPO)まで一気通貫で支援する体制をとっています。
エンデバー・ユナイテッドへの転職・採用では、どのようなバックグラウンドが求められますか?
エンデバー・ユナイテッドはESGにどのように取り組んでいますか?
エンデバー・ユナイテッドは2022年にPRI(国連が支持する責任投資原則)へ署名し、投資分析・意思決定プロセスへのESG課題の組み込みを正式にコミットしています。責任投資方針は2016年に策定され、その後改定が行われています。また、2022年から毎年ESGレポートを発行しており、投資先企業とともに取り組むESG活動の内容と成果を公開しています。2025年には2025年PRI年次評価において最高評価(5つ星)を獲得したことをニュースリリースで公表しています。社会貢献活動としては、国内大学院の女子学生への奨学金助成、ベトナムやカンボジアでの支援プロジェクトなども実施しており、投資活動にとどまらない取り組みを展開しています。
エンデバー・ユナイテッドの前身であるフェニックス・キャピタルとはどのような会社ですか?
フェニックス・キャピタルは、日本のプライベート・エクイティ(PE)ファンド業界の黎明期にあたる2002年1月に設立された独立系ファンドです。業界の草創期から事業承継・カーブアウト・事業再生などの投資を手がけてきたグループの母体であり、三菱自動車向けの大型ファンド(740億円)の組成など、規模の大きな案件も手がけてきた実績があります。2013年にフェニックス・キャピタルの子会社としてエンデバー・ユナイテッドが設立され、2016年に投資業務が移管・統合される形でエンデバー・ユナイテッドとして本格始動しました。フェニックス・キャピタルは現在も法人として存続していますが、投資業務の主体はエンデバー・ユナイテッドに移っています。
エンデバー・ユナイテッドの関連書籍
エンデバー・ユナイテッドへの転職を志す方へ、同社および業界への理解を深めるうえで参考となる書籍をご紹介します。
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続・機関投資家のためのプライベート・エクイティ -
新・事業再編とバイアウト ―事例選― -
続・事業承継とバイアウト ―ロールアップ編―
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