エムスリー 医師プラットフォームを核に医療DXを推進する企業
エムスリーは、日本の医師の約9割が登録するプラットフォーム「m3.com」を起点に、製薬企業向けマーケティング支援から治験・臨床試験、医療人材紹介、クラウド電子カルテまで、医療業界の課題解決に取り組んできた。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパスやトレーニング内容、社会貢献・ESGについて整理する。
エムスリー HPより
エムスリーとは
エムスリー株式会社(M3、以下:エムスリー)は、2000年に設立されたインターネットを活用した医療関連サービス企業である。医師をはじめとする医療従事者向けの情報プラットフォームの運営を中核に、製薬企業向けのマーケティング支援、治験支援、医療従事者向けリサーチ、医療人材紹介など多様なサービスを展開している。
コンサル業界地図(領域別)
エムスリー
- イーソリューションズ
- エクスポネンシャルデザイン
- ICMG
- IQVIAソリューションズ ジャパン
- 経営共創基盤 ものづくり戦略カンパニー
- オーツー・パートナーズ
- KPMGヘルスケアジャパン
- インターブランド
- 博報堂コンサルティング
- ZS
- 電通デジタル
2000年9月、インターネットを活用した医療関連事業を展開するため、ソニーグループのネットワーク事業会社であるソネット(現:ソニーネットワークコミュニケーションズ)との共同出資により、ソネット・エムスリー株式会社として東京都品川区に設立された。設立翌月には、MR(医薬情報担当者)が医師へ薬剤情報を提供するためのオンラインコミュニケーションツール「MR君」の提供を開始している。2003年には複数の医療情報サイトを統合し、医療専門サイト「m3.com」として運営を本格化させた。2004年に東京証券取引所マザーズ上場、2007年に東証一部へ市場変更を果たし、2010年に現在の社名であるエムスリー株式会社に変更した。2022年には東京証券取引所のプライム市場へ移行している。社名のエムスリー(M3)は、Medicine(医療)・Media(メディア)・Metamorphosis(変革)の3つのMに由来する。
エムスリーの事業の中核をなすのが、日本最大級の医療従事者専用会員制サイト「m3.com」である。国内では医師・歯科医師・薬剤師・看護師・医学生など34万人以上が登録しており、最新の医療ニュース、海外論文、転職・開業情報など医療従事者の日常診療とキャリアに関わる情報を網羅的に提供している。「m3.com」上では、製薬企業のMRによる医師へのオンライン情報提供を支援する「MR君」や、Web講演会配信、医師向け求人サービス「m3.com CAREER」、一般消費者向け医師Q&Aサイト「AskDoctors」なども展開している。
国内・グローバルへの事業拡大
エムスリーは「m3.com」を起点にしたプラットフォームを活用し、医療従事者のキャリア支援、医療機器・クリニック向けITソリューション、治験・臨床試験支援、医療従事者対象リサーチ、さらには産業保健・健康経営領域まで、事業領域を継続的に拡大してきた。グループ会社を通じた医療人材紹介(エムスリーキャリア)、クラウド電子カルテ(エムスリーデジカル)、CRO事業(メディサイエンスプラニング)なども国内主要事業に位置づけられる。
海外展開についても、2003年に米国法人(現:M3 USA Corporation)を設立したのを皮切りに、英国、フランス、ドイツ、スペイン、韓国、インドなどに順次拠点を広げている。2013年には中国でのサービスを開始(現在は持分法適用関連会社)。グローバルでは650万人以上の医師が利用するプラットフォームを有しており、世界最大規模の医療従事者向けプラットフォームとして位置づけられている。
近年の動向
近年のエムスリーは、M&Aを通じた事業領域の拡充を継続している。2024年10月には入院患者・介護施設利用者向けの患者サポート事業を行う株式会社エランを連結子会社化し、2025年4月には福利厚生サービス事業等を手がける株式会社イーウェルを連結子会社化した。また、2022年7月には予防医療領域への重点拡大を掲げるグループ横断プロジェクト「ホワイト・ジャック・プロジェクト」を開始し、産業保健・健康経営の分野での事業強化を進めている。
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代表者谷村 格
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設立2000年
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従業員数704名(2025年3月31日現在)※エムスリー単体 / 連結:15,360名(同)
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所在地東京都港区赤坂1丁目11番44号
赤坂インターシティ10階
News & Topics
エムスリーの理念
以下にエムスリーの企業理念を引く。
エムスリーの目指すもの
テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、
不必要な医療コストを1円でも減らすこと-それがエムスリーの願いであり、事業の目的でもあります。
テクノロジーを活用し、良質な医療情報をいち早く研究や臨床の現場に届け、医療をより良い方向へ変革していきたい。
私たちのサービスを使ってくださる顧客、ユーザーに、絶えず驚き、感動、喜びを感じてもらえるサービスやプロダクトを提供し続けたい。
ともに働く仲間に対して、ひとりひとりが成長、活躍でき、その貢献に報いることができる場であり続けたい。
医療、IT、コミュニケーション、経営など、それぞれの分野のプロフェッショナルにとって、同じ使命感を共有できる、魅力のある職場であり続けたい。
私たちの事業に投資してくれる株主に、企業価値の最大化できちんと応え、私たちの事業の社会的な意義も伝えていきたい。
「1人1円」のミッション実現を通じて、私たちが事業を営む基盤である社会に対し、ポジティブなインパクトをもたらし続けたい。エムスリーは、世界の医療産業が抱える難易度の高い様々な課題を、テクノロジーの力で解決することを目指しています。
「エムスリーならどう使うか?」 を問い続け、我々だからこそ採用できるユニークなアプローチで、価値の高いサービスやプロダクトを社会実装し、より良い医療の実現に向けて努力し続けます。エムスリー公式サイトより引用
エムスリーの沿革
以下にエムスリーの主な沿革を記載する。
- 2000年
- ソニーグループのネットワーク事業会社であるソネット(現:ソニーネットワークコミュニケーションズ)との共同出資により、東京都品川区にソネット・エムスリー株式会社を設立。
- MR(医薬情報担当者)による医師への情報提供を支援するインターネット活用型コミュニケーションツール「MR君」の提供を開始。
- 2002年
- 医療情報サイト「WebMD Japan」をウェブエムディ株式会社から引き継ぎ、後に「so-net m3.com」に名称を変更。
- 2003年
- 医療情報サイト「MediPro/MyMedipro」をソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(現:ソネットエンタテイメント株式会社)から営業譲渡。「MyMedipro」と「so-net m3.com」を統合し、医療専門サイト「m3.com」の運営を開始。
- 米国での事業展開を目的として、So-net M3 USA Corporation(現:M3 USA Corporation)を設立。
- 2004年
- 医師向け求人求職支援サービス「m3.com CAREER」の提供を開始。
- 東京証券取引所マザーズ市場に上場。
- 2005年
- 韓国のMedi C&C Co.,Ltd.を子会社化。
- 初のコンシューマー向けサービス「AskDoctors」の提供を開始。
- 2006年
- 米国のMDLinx, Inc.を子会社化。
- 2007年
- 東京証券取引所第一部に指定替え。
- 2008年
- アイチケット株式会社を子会社化。
- 2009年
- So-net M3 USA Corporation が、MDLinx, Inc.を吸収合併。
- メビックス株式会社を子会社化。
- 医師・薬剤師向け求人広告事業および人材紹介事業を行うエムスリーキャリア株式会社を設立。
- 2010年
- 現在のエムスリー株式会社に商号を変更。
- 2011年
- 英国において医師向けポータルサイトを運営するDoctors.net.uk Limited(現:M3 (EU) Limited)を子会社化。
- 本店を現在地(東京都港区赤坂)に移転。
- 2012年
- 株式会社MICメディカルを子会社化。
- 電子カルテ等の開発・販売・サポート事業を行う株式会社シィ・エム・エス(現:エムスリーソリューションズ株式会社)を子会社化。
- 2013年
- 中国での事業開始。
- 2014年
- 治験業務の支援を行う株式会社メディサイエンスプラニングを子会社化。
- 医療機関の運営サポート事業を行うエムスリードクターサポート株式会社(現:株式会社シーユーシー)を設立。
- 2016年
- インドにて事業をスタート。
- フランス、ドイツ、スペインを中心に医薬品情報データベース関連事業を行うVidal Groupの持株会社であるAXIO Medical Holdings Limited(現:M3 Medical Holdings LTD)を連結子会社化し、同社が事業展開するフランス、ドイツ、スペインでの事業を開始。
- 2017年
- 北欧最大の医師調査パネルQQFSを子会社化。
- 2018年
- 米国において治験支援事業を行うWake Research Holdings, LLC(現:M3 Wake Research, Inc.)を子会社化し、治験事業に参入。
- 2019年
- インドにおいて医学教育事業等を行うNeuroglia Health Private Limitedの持株会社であるDailyRounds, Inc.を子会社化。
- 2021年
- クリニック向けに予約・問診・キャッシュレス決済等の機能をワンストップ化したクラウドサービス「エムスリーデジカルスマート診療」の提供を開始。
- 中国のMedlive Technology Co., Ltd.が香港証券取引所に上場し、持分法適用関連会社へ移行。
- 2022年
- 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所第一部からプライム市場に移行。
- 予防医療分野への重点領域拡大の取り組み「ホワイト・ジャック・プロジェクト」を開始。
- 2023年
- 連結子会社の株式会社シーユーシーが東京証券取引所グロース市場へ新規上場。
- マーケティング・データアナリティクス事業を展開するKantar Groupより、欧米を中心とするヘルスケア調査関連の2事業(Kantar Profiles-HealthおよびKantar Media Healthcare Research)を譲受。
- 2024年
- 入院患者や介護施設の利用者等向けの患者サポート事業を行う株式会社エランを公開買付けにより連結子会社化。
- 2025年
- 福利厚生サービス事業等を行う株式会社イーウェルを連結子会社化。
エムスリーのサービス
エムスリーが展開するサービス
- m3.com:医師・歯科医師・薬剤師・看護師など医療従事者が利用する、日本最大級の会員制医療ポータルサイト。医療ニュース・海外論文・転職・開業情報など多面的な情報を提供。iOS/Androidアプリでも展開。
- MR君:製薬企業のMR(医薬情報担当者)が医師へオンラインで薬剤情報を届けるプロモーション・マーケティング支援サービス。
- Web講演会:製薬企業・医療機器メーカーが提供するWebセミナーに医療従事者が参加・視聴できる、日本最大級の医療従事者向けWebセミナープラットフォーム。
- QOL君:医師の生活に役立つ厳選情報の提供を通じ、製薬会社以外の企業もMR君と同様の仕組みでマーケティング活動を行えるサービス。
- m3.com CAREER:m3.com内で展開する、日本最大級の医師向け求人・転職支援サイト。
- 薬キャリ:薬剤師向けの求人情報サイト。
- 治験君:治験の実施に必要なデータ取得から参加医師の募集まで、治験の入口から出口をトータルサポートするサービス。
- 国内医療従事者対象リサーチ:m3.comに登録する医師・薬剤師・看護師などの医療従事者パネルを活用した調査サービス。
- 医療関連自主企画データ・調査レポート:医薬品の認知・処方状況やKOL情報など、医薬品・医療機器のマーケティング・メディカルに必要な各種データをレポートやWebダッシュボードで提供するサービス。
- グローバル医療従事者対象リサーチ(m3 GLOBAL):世界最大の医療従事者調査パネルを活用し、グローバルな調査サービスをワンストップで提供。
- 調査パネル提供サービス:調査会社・コンサルティング会社向けに、医療・健康分野の調査ニーズに対してエムスリーの調査パネルを提供するサービス。
- m3.com 開業・経営:医院の新規開業・継承開業や経営をサポートする情報提供・コンサルティングサービス。
- m3ベネフィット(会員優待)/m3ベネフィット(会員優待)提携企業サービス:m3.com会員向けの優待情報を配信するサービス、および企業向けの継続的なプロモーションサービス。
- AskDoctors:一般消費者が医師に健康や病気の悩みを相談できるQ&Aサイト。
- AskDoctors総研:医師の知見を活用し、健康・機能性商品のマーケティングを支援するソリューション。
- 1人1円ファンド:医療スタートアップへの投資・成長支援を行うCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンド。
- 薬キャリ 職場ナビ:全国の病院・薬局等の法人・事業所情報を提供する、薬剤師・薬学生向けサービス。
- 薬キャリ1st:新卒薬剤師向けの就職情報サイト。
- M3PSP(M3 Patient Support Program):法人向け医療サポートサービス。従業員・その家族が医師への健康相談や医療アクセス支援を受けられる。
- 地域連携ビジネス:m3.comの会員基盤を活用した地域医療連携支援サービス。
- ホワイト・ジャック・プロジェクト:予防医療・産業保健・健康経営を推進するグループ横断型プロジェクト。
- GO100(ゴー ワン ハンドレッド):産業保健・健康経営領域の情報発信メディア。
国内グループ会社が展開するサービス(一部)
- 大規模臨床試験サービス(メビックス):Evidence-Based Medicineの普及を支援する大規模臨床試験のトータルサポート。
- アイチケットクラウド(エムスリーソリューションズ):患者と受付スタッフ双方の負担を軽減する診療予約システム。
- 医療総合QLife(QLife):月間3,000万人以上の患者が利用する日本最大級の医療総合メディア。
- エムスリーデジカル(エムスリーデジカル):3年連続クラウド型電子カルテシェアランキング1位のクラウド電子カルテ。
- エムスリーデジカルスマート診療(エムスリーデジカル):クリニック・病院向けの予約・問診・キャッシュレス決済をワンストップ化したサービス。
- 薬キャリエージェント(エムスリーキャリア):薬剤師専門の転職支援サービス。
- CRO・医薬品医療機器開発支援(メディサイエンスプラニング):国内大手CROグループの1つとして医薬品・医療機器の開発をワンストップで支援。
- 医療現場のDX支援(エムスリーソリューションズ):クリニックのDX推進から開業・経営継続まで支援。
- M3 AI Platform(エムスリーAI):画像診断支援AIなどを医療機関に提供するプラットフォームサービス。
- マルチクラウドコンサルティング(フロッグウェル):Salesforce・BIツール等を活用したヘルスケア特化のコンサルティング。
- 産業医トータルサポート(エムスリーキャリア):全国どこでも産業医紹介を確約する産業保健支援サービス。
- 眼科専門医療機器商社(FOURCUS):眼科医療機器の販売からクリニック開業・経営支援まで提供。
海外グループ会社が展開するサービス(一部)
- MDLinx(M3 USA Corporation):米国の医療従事者向けに最先端の医療記事・論文を英語で発信する情報サービス。
- MEDI:GATE(Medi C&C Co.,Ltd.):韓国の医師の7割以上が集うコミュニティサイト。医療ニュースや研修プログラムを韓国語で提供。
エムスリーの求める人物像
エムスリーでは、職種・事業フェーズを問わず、全社員が「社長意識」を持って自らのミッションに取り組むことを重視している。調査・分析から戦略立案、クライアントへの提案、実行推進まで一人が一気通貫で担うスタイルが基本であり、役職よりも「何を言うか」を優先するフラットな文化の中で、入社間もない段階からプロジェクトオーナーを任されるケースも珍しくない。
この姿勢の背景にあるのが、同社が全社員に共通の行動指針として掲げる「くしゃみ」だ。「クライアント・良い仕事に対する執着心を持つ」「社長意識で仕事に取り組む」「みんなを大切にする(他のスタッフをプロフェッショナルとして尊重する)」の3原則の頭文字を取ったもので、ビジネスパーソンとしての土台となる考え方として位置づけられている。
医療業界や製薬業界のキャリアは必須ではなく、業界未経験者が早期に戦力として活躍する事例も多い。求められるのは、業界知識よりも、当事者意識を持って主体的に動き、高速でPDCAを回しながら事業を推進し続ける姿勢である。
エムスリーでのキャリアパス
エムスリーでは、特定の職位ラダーを軸とした画一的なキャリアパスではなく、社員一人ひとりが自らのビジョンに沿ってキャリアを設計することを基本方針としている。入社後は、担当事業のプロジェクトオーナーとして裁量を持って業務を推進しながら経験を積み、複数事業の兼務や社内外への異動を通じて、職域を横断的に広げていく形が一般的な成長の流れとなっている。
希望者は「次世代リーダーシッププログラム」に参画することができる。これは、草創期から成長期まで様々なフェーズにある事業部門を数年スパンでジョブローテーションする制度で、コンサルティング・データ分析・事業企画・M&A・企業経営など、医療業界に限定されない複数のポータブルスキルの習得を目指す。
また、社内公募制度を通じて、希望するポジションへの応募が常時可能な体制が整備されており、国内外のグループ会社を含めた多様なキャリアの選択肢が用意されている。
エムスリーのトレーニング
エムスリーでは、業界未経験者が早期に戦力として活躍できるよう、入社段階から複数の育成支援の仕組みが整備されている。
オンボーディング・メンター制度
入社後は、人事グループが個々の状況を継続的にモニタリングしながら、きめ細かいフォローを実施する。また、先に中途入社した先輩社員がメンターとして一対一でサポートする制度があり、提案の作り方からクライアントとの商談まで、現場の実務を通じた学びを促す体制が整えられている。
目標面談・360度評価
年2回の目標面談では、業務目標に加え、キャリア目標を実現するためのアクションについてもマネージャーと共有・議論する機会が設けられている。また、チームや職位の垣根を超えたオープンな360度評価が実施されており、継続的な成長のフィードバック環境が提供されている。
体系的な研修・資格支援
育成チームによる体系的なトレーニング環境が整備されており、管理職を含むすべての社員が継続的に研修やナレッジシェアの機会を得られる。必要な業務資格や公的資格の取得支援も受けることが可能だ。
エムスリーの社会貢献・ESG
エムスリーは、「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」というミッションそのものを、社会に対する最大の貢献として位置づけている。取締役会においても、定期的にサステナビリティ・ESGの方針・取り組みについて議論が行われており、その内容は有価証券報告書や公式サイトで開示されている。
医療アクセス拡大への取り組み
事業を通じた社会的インパクトの創出を重要課題の一つとして掲げており、患者・医療従事者それぞれに向けた複数の取り組みを推進している。患者向けでは、重い疾病を抱える患者が「やりたいこと」を実現するプロジェクト『CaNoW』(カナウ)を展開しているほか、医師によるオンライン健康相談サービス『AskDoctors』を提供し、日常的な健康不安に対して医師が回答する仕組みを運営している。医療従事者向けでは、Web講演会などを通じた最新医療情報の提供や、電子カルテを活用した診療支援を継続的に行っている。
また、2022年に「ホワイト・ジャック・プロジェクト」を開始し、疾病発症後の治療にとどまらず、発症前の段階から健康を維持する予防医療分野への事業拡大に継続して取り組んでいる。
環境への取り組み
同社のビジネスはインターネットを活用したサービス提供が中心であり、環境負荷が相対的に小さい事業構造にある。加えて、電子契約や社内書類の電子化によるペーパーレス化の推進、リモートワークの活用、省エネ機器の調達なども進めている。2021年には気候変動への対応としてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同とTCFDコンソーシアムへの入会を取締役会で決議した。オフィスおよびデータセンターで使用する電力については、2022年4月より再生可能エネルギー由来のものに切り替えている。
ダイバーシティ・ガバナンス
多様な人材こそが同社の強みの源泉であるとの考えのもと、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障害の有無にとらわれない採用方針を掲げている。女性取締役比率については40%を維持することを目標としており、2030年までに女性管理職比率40%への引き上げを目指している。コーポレートガバナンスの面では、取締役10名のうち4名を独立役員に指名し、取締役のスキルマトリクスにもSDGs・ESG・多様性の観点を明示している。
エムスリーについてのFAQ
エムスリーはどのような事業を展開している会社ですか?
エムスリーは、インターネットを活用した医療関連サービスを提供する企業です。事業の中核は、国内34万人以上の医師・薬剤師・看護師などが登録する医療従事者専用会員制サイト「m3.com」の運営です。同サービス上で、製薬企業向けのオンラインマーケティング支援(「MR君」)、Web講演会配信、医師向け求人サービス「m3.com CAREER」などを展開しています。また、グループ会社を通じて医療人材紹介(エムスリーキャリア)、クラウド電子カルテ(エムスリーデジカル)、臨床試験受託(CRO)事業、産業医紹介、一般消費者向け医師Q&Aサービス「AskDoctors」なども手がけており、医療業界に関わるサービスを幅広く展開しています。
エムスリーはソニーグループとどのような関係にありますか?
エムスリーは、ソニーグループ株式会社の持分法適用関連会社です。ソニーが議決権の約33.9%を保有しており(2025年3月31日時点)、筆頭株主にあたります。ただし、エムスリー公式サイトでは「ソニー及びそのグループ会社と、事業上の依存関係は無く、一定の独立性を確保している」と明記されており、経営上の独立性を保持しています。エムスリーはもともと、ソニーのネットワーク事業会社であるソネット(現:ソニーネットワークコミュニケーションズ)との共同出資により2000年に設立されました。設立当初の社名は「ソネット・エムスリー株式会社」で、2010年に現在の「エムスリー株式会社」へ変更しています。
エムスリーの「m3.com」とはどのようなサービスですか?
「m3.com」は、エムスリーが運営する日本最大級の医療従事者専用会員制サイトです。国内では医師・歯科医師・薬剤師・看護師・医学生などを合わせて34万人以上が登録しており、グローバルでは650万人以上の医師が利用しています。サービス内容は、最新の医療ニュースや海外論文情報の提供、医師同士の意見交換の場、転職・開業関連情報のほか、製薬企業の医薬情報担当者(MR)が医師にオンラインで薬剤情報を届ける「MR君」サービス、Web講演会配信、医師向け求人サービス「m3.com CAREER」など多岐にわたります。PCだけでなくiOS・Androidアプリでも利用可能です。
エムスリーのグローバル展開の状況はどうなっていますか?
エムスリーのグローバル展開は、2003年に米国法人(現:M3 USA Corporation)を設立したことを起点に、英国、フランス、ドイツ、スペイン、韓国、インドなどに拡大しています。2016年にはフランス・ドイツ・スペインを中心に医薬品情報データベース関連事業を展開するVidal Groupを連結子会社化し、欧州での事業基盤を強化しました。2013年に中国での事業を開始した中国の運営会社(Medlive Technology Co., Ltd.)は、2021年の香港証券取引所上場を機に持分法適用関連会社となっています。現在グローバルでは650万人以上の医師が利用するプラットフォームを有しています。
エムスリーの近年の事業戦略・注力領域はどこですか?
エムスリーは近年、M&Aを通じた事業領域の拡充を継続しています。2024年10月には入院患者・介護施設利用者向けの患者サポート事業を行う株式会社エランを連結子会社化し、2025年4月には福利厚生サービス事業等を手がける株式会社イーウェルを連結子会社化しました。加えて、2022年7月から「ホワイト・ジャック・プロジェクト」と名づけたグループ横断型プロジェクトを始動し、産業保健・健康経営・予防医療の領域に注力しています。同プロジェクトは、治療医療分野でのDX化で培った知見を、従業員の健康管理や未病対策に応用するものです。また、医療AIの活用やリアルワールドデータを活用した事業展開も進めています。
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