サーベラス・キャピタル・マネジメント 投資と自社運営機能を融合した米PEファンド
サーベラス・キャピタル・マネジメントは、経営不振企業や不良資産への再生投資を起点に事業領域を広げてきた経緯を持ち、投資先企業や機関投資家の意思決定に関わってきた。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパス、社会貢献・ESGについて整理する。
サーベラス・キャピタル・マネジメント HPより
サーベラス・キャピタル・マネジメントとは
サーベラス・キャピタル・マネジメント(Cerberus Capital Management、以下:サーベラス)は、1992年に米国ニューヨークで設立されたグローバル・オルタナティブ投資会社である。クレジット、プライベートエクイティ、不動産を中心とする複数の投資プラットフォームを通じて、年金基金や機関投資家、政府系ファンドなどの投資家に対して資本運用と投資先企業の事業改善支援を行っている。現在は世界30以上の拠点を有し、約700億ドルの資産を運用している。
サーベラスは、不良債権やディストレスト資産(経営が困難な状態にある企業・資産)への投資を起点として事業を拡大してきた投資会社であり、その後クレジット、プライベートエクイティ、不動産、ダイレクトレンディング、非パフォーミングローンなど複数の分野に投資領域を広げ、現在の統合型プラットフォームを形成している。日本においても1998年から投資活動の拠点を構え、複数の日本企業への出資を通じて事業再生に関与してきた経緯がある。
経営体制については、共同創業者であったスティーブン・ファインバーグ氏が2025年3月に米国国防副長官に就任したことに伴いサーベラスを離れ、以降はフランク・ブルーノ氏が最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)を務めている。ブルーノ氏は1998年にサーベラスに入社し、アジア・欧州における投資統括を経て、現在は同社の投資活動全体を指揮している。
サーベラスの特徴の一つは、投資チームと自社の事業運営組織を一体的に運用する点にある。傘下のCerberus Operations and Advisory Company(COAC)やCerberus Technology Solutions(CTS)は、投資先企業の経営改善やデータ活用を専門に担う組織であり、投資と運営の両面から企業価値の向上を図る体制を構築している。プライベートエクイティ分野では、消費財、ヘルスケア、インダストリアル、サービスなどの業種を中心に、これまでに160億ドル超のエクイティ資本を投じ、75社への出資と100件超のアドオン買収を実施してきた。
近年は、エネルギー・インフラ分野への投資を強化しており、2026年5月には長期蓄電インフラの開発・投資を手がける新会社「Frontier Power USA」を設立し、1億ドルの直接出資を行った。また同年6月には、欧州復興開発銀行(EBRD)および国際金融公社(IFC)と共同で、ポーランドの銀行ハンドロヴィの小売部門買収を完了させている。加えて、同年5月にはインド地域の統括責任者を新たに任命するなど、グローバルでの組織体制の強化も進めている。
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代表者Shin Yoshikawa(Chairman and Managing Director)
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設立1992年 ※グローバル
1998年 ※日本での投資活動開始年 -
従業員数約1,000人(2026年6月時点の公開情報)※グローバル
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所在地東京都千代田区丸の内2丁目2番2号
丸の内三井ビルディング -
拠点数30以上(2026年6月時点の公開情報)※グローバル
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サーベラス・キャピタル・マネジメントの理念
以下にサーベラスの投資理念を引く。
Our Investment Principles
Cerberus’ investment strategies adhere to five inter-related principles: flexibility, innovation, risk management, discipline, and transparency. Individually, each principle represents an important aspect to asset identification and management. Collectively, these principles drive our strategic approach that allows us to successfully deploy capital and human resources in diverse market conditions across geographic regions and investment sectors.
Flexibility
A hallmark of Cerberus has been our team’s speed and dexterity in applying our knowledge and experience to pursue investments in any market cycle, geography, and sector. Our diverse strategies enable us to invest across the capital structure and to focus on opportunities where we see the most compelling long-term value. Our proprietary capabilities often afford our investment teams even greater freedom to capitalize on the right opportunities.
Innovation
We have established ourselves in the asset management industry through the integration of our investment and operating teams. Drawing on our management experience and financial acumen, we strive to empower our teams to explore creative solutions that can unlock the potential to drive performance and value.
Risk Management
We are committed to the goal of protecting our investors through comprehensive risk mitigation. Our business model is rooted in vigorous due diligence, strict compliance, and the application of efficient, creative, and customized deal structuring solutions. Cerberus-managed funds make conservative use of asset-level leverage and seek diversification to avoid concentration in single sectors or geographies. Investments are subject to ongoing monitoring by our operations and investment professionals, and review by our dedicated valuation team.
Discipline
Cerberus strives to be a steadfast value investor with a disciplined approach to where and how we invest. Our investments do not solely rely on macroeconomic improvement or industry multiple expansion as cornerstone investment principles. We focus on rigorous analyses of intrinsic value and conservative projections of the opportunity for value creation. Most importantly, we seek to invest where we believe we can leverage our operational and financial knowledge and experience to achieve the greatest impact.
Transparency
We demand a culture of strong corporate governance and an unwavering commitment to financial and operational transparency as well as best practices.
サーベラス公式サイトより引用
サーベラス・キャピタル・マネジメントの沿革
以下に、サーベラスの沿革を記載する。
- 1992年
- 米国ニューヨークにて、スティーブン・ファインバーグ氏とウィリアム・L・リヒター氏が共同で設立。
- 1998年
- 日本での投資活動を開始。
- 2000年
- 経営破綻した旧日本債券信用銀行(あおぞら銀行の前身)の株式を取得し、その後も株式の買い増しを継続。
- 2006年
- 経営再建中だった西武鉄道(後の西武ホールディングス)への約1,000億円の出資を実施し、株式の約3割を保有する大株主となった。
- 2007年
- ダイムラークライスラーから自動車メーカー、クライスラーの主要株式を取得。
- 2013年
- あおぞら銀行の保有株式の大部分を売却し、同年8月までに全株式の売却を完了。
- 西武ホールディングスの再上場方針をめぐり、経営陣との間で意見の相違が表面化。
- 2014年
- 西武ホールディングスが東京証券取引所に再上場。
- 2015年
- 西武ホールディングスの保有株式の一部(約10%、約1,100億円相当)を売却。
- 2017年
- 西武ホールディングスの保有株式をすべて売却し、日本国内における主要な投資案件を終了。
- 2026年
- 長期蓄電インフラ事業を手がける新会社「Frontier Power USA」を設立し、運用資産が約700億ドルに到達。
サーベラス・キャピタル・マネジメントのサービス
統合的投資プラットフォーム
サーベラスは、以下の相互補完的な投資プラットフォームを通じて、グローバルに投資を行っている。
- ミドルマーケット・ダイレクトレンディング:
ミドルマーケット向けダイレクトレンディングプラットフォームであるCerberus Business Financeは、多くのプライベートエクイティスポンサーや有力企業から信頼されるパートナーとなっている。 - コーポレートクレジット:
サーベラスは、創業以来のコア投資分野の一つであるコーポレートクレジットにおいて、30年以上にわたり複数の経済サイクルを通じた投資を行ってきた。 - オペレーショナル・プライベートエクイティ:
投資機能と事業運営機能を一体的に統合し、事業変革の実行と長期的な価値創出を主導するアプローチを取っている。 - 不動産:
サーベラスは、複数の経済サイクル、資産クラス、地域にわたる投資経験を持つ、実績のある不動産投資家である。 - 非パフォーミングローン:
サーベラスは、2013年から2021年にかけての、欧州における非パフォーミングローン・ポートフォリオの主要な買い手の一社である。 - レジデンシャル・オポチュニティーズ:
住宅ローンをはじめとした各種ローン、実物資産への投資を通じた価値の創出に加え、独自の資産運用プラットフォームを活用してパフォーマンスの向上を図っている。 - 商業不動産担保証券(CMBS):
サーベラスのCMBSチームは、商業不動産、トレーディング、ストラクチャリングを専門とする人材で構成されている。 - Cerberus Frontier:
未開拓のフロンティア市場・新興市場における投資機会の発掘に特化した投資プラットフォームである。 - サプライチェーン・アンド・ストラテジック・オポチュニティーズ:
次世代型サプライチェーンの構築を、先進技術とケイパビリティを通じて推進している。政策専門家、テクノロジーリーダー、投資プロフェッショナル、運営幹部からなるチームが、起業家や企業の戦略目標達成と影響力の最大化を支援している。 - Cerberus Ventures:
既存の前提に挑む創業者と連携することを目指す、アーリーステージ投資家である。
自社運営能力
サーベラスは、創業当初から自社独自の運営能力をグローバルな投資活動に統合することで、投資家およびビジネスパートナーに対する優位性の構築に注力してきた。以下の自社運営能力を通じて、各投資プラットフォームにおける業績向上を支えている。
- Cerberus Operations and Advisory Company(COAC):
運営幹部および各分野の専門家が、サーベラスの各投資プラットフォームを横断して業績向上の加速を担う、自社の運営プラットフォームである。 - Cerberus Technology Solutions(CTS):
専門的な技術者が投資・運営の専門家と緊密に連携し、新技術の活用、新たな収益・価値創出源の特定、技術面での変革と差別化の推進を担っている。 - Cerberus European Servicing(CES):
独自のデータ・アセットマネジメント・ローンサービシング機能を通じて、非パフォーミングローンや不動産保有ポートフォリオといった大規模かつ複雑な買収の実行を支援している。
サーベラス・キャピタル・マネジメントの求める人物像
サーベラスは、資産運用の複数のプラットフォームで長年にわたり協働してきた人材によって成長を続けてきた企業である。クレジット、プライベートエクイティ、不動産など複数の投資領域を横断し、専門性の異なるチームが連携しながら投資機会を見極める体制を重視しており、資産クラスや業種、地域を越えて協働できる姿勢が求められている。
また、創業以来、コンプライアンスやガバナンス、高い倫理観の徹底が同社の企業文化の核をなしており、柔軟性・イノベーション・リスク管理・規律・透明性という5つの原則に基づいた行動を、投資活動のみならず一人ひとりの業務姿勢においても重視している。
※上記の内容はグローバルサイトの記載に基づくものであり、日本拠点における実際の人材要件とは異なる場合がある点に留意されたい。
サーベラス・キャピタル・マネジメントでのキャリアパス
サーベラスでは、投資部門を中心に、アナリストからシニア・マネージング・ディレクターに至るまでの職位が設けられている。アナリストとして入社した後、アソシエイトやシニア・アソシエイトを経て、マネージング・ディレクター、シニア・マネージング・ディレクターへと昇進していく事例が多く見られる。
同社では投資チームと事業運営を担うオペレーティングチームが密接に連携しており、在籍が長い人材ほど複数の資産クラスや地域をまたいで経験を積んでいる傾向がある。実際に、マネージング・ディレクターを含む上級幹部の多くが10年以上同社に在籍し、部門を越えて協働してきた実績を持つ。
※上記の内容はグローバルサイトの記載に基づくものであり、日本拠点における実際のキャリア形成の実態とは異なる場合がある点に留意されたい。
サーベラス・キャピタル・マネジメントの社会貢献・ESG
サーベラスは、多様性・公平性・インクルージョン(DEI)の推進と地域社会への貢献を、事業活動と並ぶ取り組みの一つとして位置づけている。同社には環境・社会・ガバナンス(ESG)を統括する専任の責任者が置かれ、投資活動全体にわたってESGおよびサステナビリティに関する取り組みを推進する体制が構築されている。
多様性・公平性・インクルージョンへの取り組み
同社は、ダイバーシティ・エクイティ・アンド・インクルージョン担当の責任者を設置し、社内外における多様性推進に取り組んでいる。その一例として、2021年にはニューヨークのセントフランシス・カレッジと提携し、資金面での支援に加え、同社の人材や専門知識を活用した学生向けの能力開発プログラムを提供している。
地域社会への貢献
サーベラスは、2014年以降、重い病気を抱える子どもたちの夢の実現を支援する非営利団体メイク・ア・ウィッシュ財団との協働を継続している。従業員が主体となった募金活動、夢を実現する子どもの送別会の開催、大学進学のための奨学金提供など、多岐にわたる支援を行ってきた。2023年には、スペイン語を話す家庭向けの支援体制を拡充するための追加的な支援を行い、全米のメイク・ア・ウィッシュ支部を通じて、1,000世帯を超えるスペイン語話者家庭の夢の実現を後押しする体制を整えている。
サーベラス・キャピタル・マネジメントについてのFAQ
サーベラスとはどのような会社ですか?
サーベラスは、1992年に米国ニューヨークで設立された、クレジットやプライベートエクイティ、不動産などを中心に投資を行うグローバルなオルタナティブ投資会社です。年金基金や機関投資家、政府系ファンドなどから資金を預かり、投資先企業の事業改善支援も行いながら運用しています。傘下には、投資先企業の経営改善を専門に担う組織や、データ活用を担う技術部門があり、投資と運営の両面から企業価値の向上を図る体制を築いている点が特徴です。現在は世界30以上の拠点を有し、約700億ドルの資産を運用しています。
サーベラスの創業者は誰ですか? また現在の経営体制はどうなっていますか?
サーベラスは、1992年にスティーブン・ファインバーグ氏らによって共同設立されました。ファインバーグ氏は長年、共同最高経営責任者(共同CEO)として経営を率いてきましたが、2025年3月に米国国防副長官への就任に伴いサーベラスを離れました。以降は、1998年にサーベラスへ入社し、アジアや欧州での投資統括を経験してきたフランク・ブルーノ氏が、最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)として経営を統括しています(2026年6月現在)。
出典:https://www.cerberus.com/our-firm/leadership/frank-bruno/
サーベラスが大切にしている企業理念は何ですか?
サーベラスは、投資戦略における指針として「フレキシビリティ(柔軟性)」「イノベーション(革新性)」「リスクマネジメント」「ディシプリン(規律)」「トランスペアレンシー(透明性)」という5つの原則を掲げています。市場環境や地域、投資対象を問わず機動的に投資機会を追求する姿勢や、投資先企業に対するガバナンスや財務・運用面での透明性の確保を重視する姿勢が、これらの原則に反映されています。
サーベラスは日本でどのような投資を行ってきましたか?
サーベラスは1998年から日本で投資活動を行い、あおぞら銀行の筆頭株主として約10年にわたり経営に関与した後、2013年に保有株式を売却しました。また2006年には経営再建中だった西武鉄道(後の西武ホールディングス)に約1,000億円を出資し、大株主として経営に関与しましたが、再上場後の方針をめぐり意見の相違が生じた時期もあり、2017年8月までに保有していた株式をすべて売却しています。
サーベラスの最近の投資動向にはどのようなものがありますか?
サーベラスは近年、エネルギー・インフラ分野への投資を強化しています。2026年5月には、長期蓄電インフラの開発・投資を手がける新会社「Frontier Power USA」を設立し、1億ドルの直接出資を行いました。また同年6月には、欧州復興開発銀行(EBRD)および国際金融公社(IFC)と共同で、ポーランドの銀行ハンドロヴィの小売部門買収を完了させています。加えて、同年5月にはインド地域の統括責任者を新たに任命するなど、グローバルでの組織体制の強化も進めています。
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