ブラックストーン 不動産投資を起点に日本市場を切り拓いた米ファンド
ブラックストーンは、競合に先んじて不動産投資から日本市場に参入し、後年にプライベート・エクイティ投資へ進出するという独自の戦略を通じて、国内外の投資先企業や金融機関の事業運営・資産形成に関与してきた。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパスやトレーニング内容、社会貢献・ESGについて整理する。
ブラックストーン・グループ HPより
ブラックストーンとは
ブラックストーン(Blackstone、以下:ブラックストーン)は、1985年に米国ニューヨークで設立されたオルタナティブ投資運用会社である。複数の資産クラスにわたる投資を手がけ、機関投資家および個人投資家に対して投資機会の提供と資産運用を行っている。2026年6月30日現在で1.3兆ドル超の運用資産残高を有し、世界最大級の規模を誇る。
ブラックストーンは、リーマン・ブラザーズに勤務していたピーター・G・ピーターソン氏とスティーブン・A・シュワルツマン氏によって創業された。社名は、創業者2人の姓に由来しており、シュワルツマンの「Schwarz」(ドイツ語で「黒」を意味する)と、ピーターソンの「Peter」(ギリシャ語で「石」を意味する)を組み合わせたものである。創業当初はM&Aアドバイザリーを中心とする小規模な投資会社であったが、1987年にプライベート・エクイティ事業へ本格的に進出し、その後は不動産やクレジットなど投資対象を拡大しながら成長を遂げてきた。創業初期には、日興証券(現SMBC日興証券)からの出資を受けて事業基盤を築いたことも知られている。2007年にはニューヨーク証券取引所に株式を上場し、同年に東京オフィスを開設したことで日本市場にも進出している。
現在のブラックストーンは、プライベート・エクイティ、不動産、クレジット&インシュランス、マルチ・アセット・インベスティング(BXMA)、インフラ、ライフ・サイエンス、ブラックストーン・グロースなど、複数の事業領域を有する総合的なオルタナティブ投資運用会社へと発展している。約1万2,500件の不動産と250社超の投資先企業を保有しており(2025年12月31日現在)、その規模を活かして長期的な成長が見込まれる多様な事業領域への投資を実現している。また、機関投資家向けの運用にとどまらず、金融機関を通じた個人投資家向けのプライベート市場アクセスの拡充にも注力している。
日本においては、2007年の東京オフィス開設後、不動産投資を中心に事業を展開してきた。一方、プライベート・エクイティ投資については、2000年代に競合のカーライルやKKR、ベインキャピタルが日本市場に進出する中、ブラックストーンは日本のPE市場の規模や受容性を見極める期間を置いた。2015年頃から日本企業の変化を確認し、2018年にPE市場へ本格的に進出している。進出後はヘルスケアやテクノロジー領域を中心に投資を拡大し、テクノプロ・ホールディングスやインフォコムなどへの投資実績を有する。不動産分野では、SMBC日興証券や野村證券、大和証券など国内大手金融機関との協業を通じて、日本の個人投資家に対してプライベート市場への投資機会を提供する取り組みも進めており、2024年には西武ホールディングスから東京ガーデンテラス紀尾井町を取得するなど、外資系投資会社による国内不動産投資としては過去最大級の案件を実行している。
ブラックストーンは、上場時に中国国有投資会社(CIC)が非議決権株式を取得したことや、近年ではAI革命を支えるデータセンター・エネルギー関連インフラへの投資拡大など、世界経済の構造変化を捉えた投資活動でも知られている。創業から約40年が経過した現在も、グローバルなネットワークと豊富な資金力を背景に、不動産・プライベート・エクイティ・インフラ・クレジットなど幅広い資産クラスにおいて、世界有数のオルタナティブ投資運用会社としての地位を維持している。
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代表者代表取締役会長:重富 隆介
代表取締役 不動産部門代表:橘田 大輔
代表取締役 企業投資部門代表:坂本 篤彦 -
設立2007年(東京オフィス設立)
※グローバル:1985年(米国) -
所在地東京都千代田区丸の内2丁目4番1号
丸の内ビルディング10階
News & Topics
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ブラックストーンの理念
以下にブラックストーンの企業理念を引く。
持続可能な事業の構築
ブラックストーンの使命は、投資家に長期的な価値をもたらすことによって受託責任を果たすことです。そしてブラックストーンは、ポートフォリオに含まれる250社超の企業や約1万2,500物件の不動産資産およびその他の資産が、グローバル経済が変化する中でも真価を発揮できるように価値を向上させることで、その使命を全うすることを目指しています。
ブラックストーンのアプローチ
世界最大級のオルタナティブ投資運用会社として、私たちは対象となる投資先企業との協働を通じて、価値創造を実現するプログラムを推進しています。ブラックストーンの戦略では以下の点を重視しています。
- 強靭な企業の基盤である確固たるガバナンスをさらに強化
- ポートフォリオ全体にわたるエネルギー転換への投資と付加価値の高い排出削減の推進
- 人材プールの拡充による優良な労働環境の整備
ブラックストーン公式サイトより引用
ブラックストーンの沿革
ブラックストーンは、1985年の創業以来、M&Aアドバイザリーを起点として、プライベート・エクイティ、不動産、クレジットなど、投資対象を段階的に拡大しながら成長を遂げてきた。2007年のニューヨーク証券取引所上場と東京事務所開設を経て、グローバルに事業基盤を広げ、現在は複数の資産クラスを有する世界最大級のオルタナティブ投資運用会社となっている。
以下に、同社の主な沿革を記載する。b
- 1985年
- リーマン・ブラザーズ出身のピーター・G・ピーターソン氏と、スティーブン・A・シュワルツマン氏により米国にて設立。
- 1987年
- Blackstone Capital Partners I(プライベート・エクイティ・ファンド)設立。オルタナティブ投資を開始。
- 1990年
- Blackstone Alternative Asset Management(BAAM)を創設し、カスタムメイドのヘッジファンド・ソリューション提供を開始。
- 1991年
- リストラクチャリング・アドバイザリー事業を設立。
- 1992年
- 不動産グループを創設。
- 1999年
- 企業債務グループを設立。
- 2000年
- ロンドンに事務所を開設。
- 2004年
- パリ、アトランタに事務所を開設。
- Patria-Banco de Negociosと提携を発表し、ブラジル市場における企業の財務ソリューション開発に着手。
- 2005年
- ムンバイに事務所を開設。
- Park Hill Groupを設立し、ファンドのプレースメント事業を開始。
- 2007年
- ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。
- 東京事務所を開設。
- 2008年
- GSO Capital Partners を買収。北京に事務所を開設
- 北京に事務所を開設。
- The Blackstone Charitable Foundationを設立。
- 2009年
- Standard and Poor’sから「シングルA」、Fitch Ratingsから「Aプラス」の格付けを取得。
- 中国浦東政府と、Shanghai Blackstone Equity Investment Partnership設立に合意。
- 2010年
- 大手オルタナティブ資産運用会社Pátria(ブラジル)の株式の40%を取得し、パートナーシップを締結。
- Entrepreneurship Initiativeを創設し、起業支援と雇用創出の促進を目指す。
- 2011年
- 世界初の人民元建てファンドShanghai Blackstone Equity Investment Partnershipをクローズ。
- GSO Capital PartnersがHarbourmaster Capital(イギリス)を買収。
- 2012年
- 世界初のエネルギーに特化したファンドBlackstone Energy Partners をクローズ。
- Invitation Homes(ローン返済されていない一戸建て住宅を、賃貸物件にするプラットフォーム)を創設し、地域の再活性化への貢献を目指す。
- 2013年
- Strategic Partners(セカンダリー・プライベート・ファンド・オブ・ファンズ)を買収。
- シンガポールオフィスを開設。
- ホワイトハウスのプロジェクト「Joining Forces」への支援として、アメリカ退役軍人5万人の雇用を発表。新たな退役軍人雇用サミットも主催。
- ヒルトンやシーワールドなど、総額約200億ドルに及ぶ株式を売却。
- 2014年
- GEキャピタルの日本における住宅事業を取得し、不動産事業を通じた日本市場での投資を拡大。
- 2015年
- アドバイザリー部門をスピンオフし、PJTパートナーズを設立。
- 2018年
- 日本においてプライベート・エクイティ投資事業を本格的に開始。
- 2019年
- 組織形態をパートナーシップから株式会社(C-Corporation)に転換し、社名を「Blackstone Inc.」に変更。
- 2020年
- 武田薬品工業の大衆薬事業(武田コンシューマーヘルスケア)の買収契約を締結。
- 2023年
- 運用資産残高が1兆ドルを突破。
- 2024年
- 西武ホールディングスから東京ガーデンテラス紀尾井町を取得し、外資系投資会社による国内不動産投資としては過去最大規模を記録。
- 電子コミック配信サービス運営会社大手のインフォコムに対する公開買付けを実施し、国内のプライベート・エクイティ投資案件として過去最大規模となる。
- 2025年
- 国内最大手の技術系人材サービス企業であるテクノプロに対する公開買付けを実施し、過去最大規模の国内投資を行う。
ブラックストーンのサービス
ブラックストーンは、以下の事業領域においてサービスを提供している。
ビジネス
- プライベート・エクイティ
- 不動産
- クレジット&インシュランス
- マルチ・アセット・インベスティング(BXMA)
- ストラテジック・パートナーズ
- タクティカル・オポチュニティーズ
- インフラ
- ライフ・サイエンス
- ブラックストーン・グロース
ブラックストーンの求める人物像
ブラックストーンでは、課題を機会として捉えられる、優れた問題解決能力を持つ人材を、investment(投資)部門・corporate(コーポレート)部門の両方で幅広く採用している。同社にとって従業員は最も重要な資産であると位置づけられており、世界中の大手投資家から信頼される金融機関としての評判は、従業員一人ひとりの仕事への熱意とクライアントへのコミットメントによって築かれてきた。
同社は、誠実さやプロフェッショナリズム、卓越性を重んじる企業文化を体現できる人材を高く評価しており、起業家精神を持ち、独自の情熱やバックグラウンドを活かしながら、創造性に富んだ活力ある環境づくりに貢献できる人物を求めている。
また、自発的な思考や主体性を重視し、優れた取り組みに対して正当な評価を行う風土を持つ。同社では、投資スキルやリーダーシップ、コミュニケーション能力等、複数の分野にわたる研修・育成機会を通じて、社員のキャリア形成を後押ししている。世界的な事業基盤とブランド力を背景に、長期的な成長を目指すキャリアの土台を提供している点も特徴である。
※上記はグローバルサイトの記載に基づく内容であり、日本拠点での採用基準は実際とは異なる場合がある点に留意されたい。
ブラックストーンでのキャリアパス
ブラックストーンでは、Analyst、Associate、Vice President、Principal、Managing Directorといった職位が、投資部門を中心に設けられている。同社は、決まりきったキャリアパスではなく従業員に主導権を与える方針のもとで、個々がプロフェッショナルとして成長できるプログラムを提供している。
※上記はグローバルサイトの記載に基づく内容であり、日本拠点での職位構成や運用は実際とは異なる場合がある点に留意されたい。
ブラックストーンのトレーニング
ブラックストーンでは、従業員一人ひとりに独立した思考や自発性を促しながら、専門性を伸ばすための研修やメンタリングの機会を提供している。画一的なキャリアパスを設けるのではなく、個々がプロフェッショナルとして成長できる環境づくりに重点を置いている点が特徴である。
新卒採用においては、Summer Analyst・Associateを対象とした10週間のサマー・インターンシップ・プログラムを実施しており、参加者は複数のグループに応募することができる。これに加えて、学部生を対象とした複数の早期キャリアプログラムも用意されている。例えば、不動産投資への関心が高い学生向けのプログラムでは、実務に近いケーススタディや不動産業界に関するセミナーを通じて、同社のテクニカルスキル・ソフトスキルの育成手法に触れる機会が設けられている。
また、入社後の継続的な学びの機会として、Early Careers ProgramやBX Learning Curriculumを通じた研修制度に加え、複数のEmployee Resource Groups(社員リソースグループ)が設けられており、講演会やネットワーキングイベント、メンタリングなどを通じて、多様な背景を持つ従業員同士の交流や学びを後押ししている。
※上記はグローバルサイトの記載に基づく内容であり、日本拠点での研修内容や対象条件は実際とは異なる場合がある点に留意されたい。
ブラックストーンの社会貢献・ESG
ブラックストーンは、投資家への受託責任を果たすという使命のもと、ガバナンスの強化、エネルギー転換への投資、人材プールの拡充を中心に、持続可能な事業の構築に取り組んでいる。
社会貢献活動においては、ブラックストーン慈善財団が中心的な役割を担っており、経済的機会の創出とキャリアの流動性の促進を目的に、機会格差を埋め、地域社会を支えるプログラムへ資金や人的資本を提供している。なかでも、低所得・第一世代の大学生を対象に、起業に関わるスキルの習得とキャリア形成を支援するBlackstone LaunchPadは、同財団のシグネチャー・プログラムとして位置づけられている。
従業員向けには、世界27カ所のオフィスを対象としたグローバルなエンゲージメント・プログラム「Blackstone Connects」を通じて、ボランティアや寄付活動への参加を促している。東京オフィスの従業員も、Cycle for SurvivalやPlayground of Hopeといった活動に参加しており、こうした取り組みを通じて、従業員の大多数が年次の慈善活動に関わっている。現在、America Needs You、City Harvest、Robin Hood Foundation、Year Upをはじめとする複数の非営利団体と連携し、支援を行っている。
また、投資先企業との協働を通じた取り組みとして、退役軍人やその配偶者の雇用を支援するVeterans Hiring Initiative、ポートフォリオ企業における人材の採用・育成・登用を広げるBlackstone Career Pathwaysを展開している。
ブラックストーンについてのFAQ
ブラックストーンはどのような会社ですか?
ブラックストーンは、1985年に米国ニューヨークで設立されたオルタナティブ投資運用会社です。プライベート・エクイティ、不動産、クレジット&インシュランス、インフラ、ライフ・サイエンスなど複数の資産クラスにわたって投資を行い、機関投資家および個人投資家に対して投資機会の提供と資産運用を行っています。現在は1.3兆ドル超の運用資産残高を有し、世界最大級のオルタナティブ投資運用会社として知られています。約1万2,500件の不動産と250社超の投資先企業を保有しており、この規模を活かして長期的な成長が見込まれる多様な事業領域への投資を実現しています。
ブラックストーンはなぜ日本のPE市場への進出が他社より遅かったのですか?
ブラックストーンは、競合のカーライルやKKR、ベインキャピタルが2000年代に日本のPE市場へ進出する中、当時の日本のPE市場の規模がまだ小さく、継続的に大規模な投資を行える市場として成熟しているかを見極める期間を置きました。日本企業の変化を確認した2015年頃を経て、2018年に日本のPE市場へ本格的に進出しています。進出後はヘルスケアやテクノロジー領域を中心に投資先を広げ、テクノプロ・ホールディングスやインフォコムなどへの投資実績を積み重ねています。不動産投資については2007年の東京オフィス開設当初から手がけており、PE投資より先行していました。
ブラックストーンと日本の関わりはどのようなものですか?
ブラックストーンは、創業期に日興証券(現SMBC日興証券)から出資を受けた経緯があり、創業者のスティーブン・A・シュワルツマン氏は日本との関係が同社の成長における重要な基盤であったと述べています。2007年には東京オフィスを開設し、日本市場に進出しました。日本では当初不動産投資を中心に展開し、2024年には西武ホールディングスから東京ガーデンテラス紀尾井町を取得するなど、外資系投資会社による国内不動産投資としては過去最大級の案件を実行しています。近年はプライベート・エクイティ投資にも注力し、テクノプロ・ホールディングスへの投資など実績を広げています。
ブラックストーンの主な事業内容は何ですか?
ブラックストーンは、プライベート・エクイティ、不動産、クレジット&インシュランス、マルチ・アセット・インベスティング(BXMA)、インフラ、ライフ・サイエンス、ブラックストーン・グロースなど、複数の事業領域を展開しています。不動産部門は世界12拠点に800人超の不動産プロフェッショナルを擁し、運用資産は3,150億ドル(2026年6月30日現在)に達しています。プライベート・エクイティ部門では、企業の成長段階や規模を問わず非上場企業に投資し、経営陣と連携しながら企業価値の向上を支援しています。近年はAI革命を支えるデータセンターやエネルギー関連インフラへの投資にも力を入れています。
ブラックストーンの運用資産規模はどのくらいですか?
ブラックストーンの運用資産残高(AUM)は、1.3兆ドル超(2026年6月30日現在)に達しており、世界最大級のオルタナティブ投資運用会社として知られています。内訳としては、約1万2,500件の不動産と250社超の投資先企業を保有しています(2025年12月31日現在)。また、個人投資家向けのプライベート・ウェルス・チャネルからの資産運用額は3,100億ドル(2026年6月30日現在)に達しており、機関投資家向けの運用に加えて個人投資家向けのプライベート市場アクセスの拡充にも注力しています。
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