三菱総研、サステナビリティの方策についての提言を発表

2024年7月、株式会社三菱総合研究所(以下、MRI)は、近年関心度の高いサステナビリティ情報の開示や、サステナビリティ経営の実現などに向けた方策に関する提言レポートを公表した。
ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)を中心に個別に議論されてきた複数テーマが、サステナビリティというキーワードのもとにまとまりつつある。一方、サステナビリティ情報の開示対応を行う企業からは、新たなテーマが増えるのみならず既存テーマについても新たに要請を受けるなど、負担が増加しているとの声が上がっている。レポートでは、上場企業等における開示実務担当者を主対象に、今後拡大が想定されるサステナビリティ関連の開示対応の趣旨を改めて整理し、対応の考え方や方策を提言。サステナビリティ関連の複数テーマを横断的に考察した例はあまりなく、MRIとしても野心的な試みである。
レポートでは、特に先進国の多くの企業にとって経営上重要課題となる気候変動、自然資本、人的資本・人権の3点について、現在の動向や今後の関心事を整理している。
1.長期戦略に基づき、マテリアリティの絞り込みを
企業は、中長期的な事業環境の変化と自社が目指す未来の企業像・社会像を明確化し、そのうえで価値創造ストーリーに即した、自社が取り組むべき重要課題=マテリアリティを絞り込み、自社だからこそ実現可能な社会価値の創造と長期的な企業価値向上の両立に向け対応していく必要がある。
2.サステナビリティ課題設定の背景の理解とステークホルダーとの対話を通じた高度化を
絞り込んだマテリアリティが重要視されるようになった背景等を踏まえ、開示を高度化することが重要だ。「自社の価値創造ストーリーとの関係」「サステナビリティ課題が重視された背景や近年の注目点」「ステークホルダーとの対話」の3点を踏まえ、開示資料を継続的に改良していく必要がある。
3.市民の参画を通じたサステナビリティの社会への取り組みを
サステナビリティに関する取り組みを、製品・サービスの価格に転嫁することが企業価値の向上につながる。サステナビリティを価値として受け入れられる文化を育むには、業界や政府などの多くのステークホルダーが対話を重ねることが重要だ。日本では、様々な主体による市民へのエンゲージメントが求められる。こうした取り組みが様々な地域、産業などで複層的に生じることで、サステナビリティの社会の取り組みが進展すると考えられる。



