ビービット 『アフターデジタル』発のUX改善・DX支援コンサル
ビービットは、人間の心理や行動特性の探究を出発点に、企業のデジタルサービスのUX改善に長期にわたって関与してきた。書籍『アフターデジタル』シリーズを通じてDX推進の議論に幅広く寄与しながら、自社開発プロダクトとコンサルティングを組み合わせた独自のアプローチで、企業のサービス体験向上を支えてきた。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパスやトレーニング内容、社会貢献・ESG、関連書籍について整理する。
ビービット HPより
ビービットとは
株式会社ビービット(beBit、以下:ビービット)は、2000年に設立されたUXデザインコンサルティングおよびソフトウェア事業を展開する企業である。ユーザ体験(UX)の設計・改善を起点とした企業変革支援を中心に、民間企業に対してコンサルティングサービスと自社開発SaaSプロダクトの両面から支援を行っている。現在は国内に加え、上海・台北に拠点を有し、グループ従業員数は270名規模である。
創業者の遠藤直紀氏は、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を退社し、2000年に仲間とともにビービットを設立した。設立当初は、日本ではまだ普及していなかったウェブユーザビリティの概念やユーザ行動分析に基づいたサイト開発手法にいち早く着目し、企業のインターネット活用支援を起点として事業を展開した。設立翌年の2001年に書籍『ウェブ・ユーザビリティルールブック』を出版したことで認知が広がり、その後も書籍出版を通じて国内のウェブユーザビリティ領域における存在感を確立した。社名のbeBitは、「“bit”という最小単位の事象を大切にする存在になろう(be)」という意味を表している。
事業は、創業当初のウェブコンサルティングから段階的に領域を広げてきた。2007年に広告効果測定ツール「WebAntenna」、2017年にユーザ行動分析クラウド「USERGRAM」を自社開発・提供開始し、コンサルティングとソフトウェアを組み合わせた支援体制を構築した。2012年に台北、2013年に上海へ海外展開を果たし(上海拠点は2025年8月にMBOを実施し、現在はパートナーシップ関係に移行)、2019年には大手町に「UX Square Tokyo」をオープンした。2022年にはEC向けグロースマーケティングAIソリューション「OmniSegment」の国内展開を開始し、現在はコンサルティングとSaaSを融合した「UXグロースOps」を主力ソリューションとして展開している。
「アフターデジタル」シリーズと業界への影響
ビービットは、UXとDXに関する知見を書籍を通じて広く発信してきた。特に同社取締役COOの藤井保文氏とIT批評家である尾原和啓氏が共著で執筆した『アフターデジタル』(2019年、日経BP)は、デジタルとリアルが融合した社会における企業のあり方を論じたもので、当時大きな反響を呼んだ。同シリーズは、続刊の『アフターデジタル2 UXと自由』(2020年)、『UXグロースモデル』(2021年)、『ジャーニーシフト』(2022年)と合わせて累計22万部を超え、日本のDX推進に関する議論に幅広い影響を与えている。
近年の動向
近年は事業・資本両面での連携強化が進んでいる。2025年3月にみずほフィナンシャルグループとの資本・業務提携を締結し、金融領域でのUX支援に向けた体制を強化した。同年3月には「グローバル・リサーチラボ」、同年10月には「Realization Lab(サービス具現化・開発専門チーム)」を設立し、コンサルティングから実装までの一貫支援の強化を図っている。生成AIの活用においても、2025年10月に定性分析サポートAI「ユーザ分析AI GRAM君」のβ版をUSERGRAM全ユーザに開放した。また2026年4月には役員体制を刷新し、藤井保文氏が執行役員から取締役COOに昇格するなど、次の成長フェーズに向けた組織体制の整備が進んでいる。
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代表者代表取締役社長 CEO:遠藤 直紀
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設立2000年3月15日
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従業員数270名(グループ)、171名(単体)※2025年6月末時点
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所在地東京都千代田区大手町2-2-1
新大手町ビル10階 -
拠点数国内1カ所(本社)、海外2カ所 ※2026年5月時点の公開情報
ビービットの理念
ビービットの理念を以下に引く。
PHILOSOPHY
人間の心理や行動特性を探求することで、
真に役に立つ製品、サービス、
またそれらを支える仕組みを創出し、
豊かな社会の実現に貢献するMISSION
誰かの役に立ちたいと考えている人が、
真に役に立てるように、
我々はユーザ中心の方法論の実践を通じて、
クライアントを成功へと導くVISION
役に立つことがビジネスの主目的となった、
1兆スマイル社会使い手に対する想いのこもったサービスや商品に溢れていて、
とても心地が良く生活ができる。働くことで誰かの役に立っている実感があり、
働く意義、生きる意義が見いだせている。企業は、お客さまの役に立った結果として利益を上げ、
さらなる価値提供を目指している。仕事の形が一人ひとりの人格となって、それが広がって文化となり、
お互いに助けあったり、支えあったりすることが当然の社会となっている。ビービットで働く仲間は、自分たちが理想と掲げる社会の実現を通じて、
物心両面の満足を得ている。
ビービットの沿革
以下にビービットの主な沿革を記載する。
- 2000年
- 設立。
- 2001年
- 書籍『ウェブ・ユーザビリティルールブック』を出版。
- 2003年
- 「beBit UCD」(UCD:User Centered Design)の開発を開始。
- 2006年
- 書籍『ユーザ中心ウェブサイト戦略』を出版。
- 2007年
- 広告効果解析ツール「WebAntenna(ウェブアンテナ)」の提供を開始。
- 2012年
- 海外展開を開始。初の拠点として台北オフィスを設置。
- 2013年
- 上海オフィスを設置。
- 書籍『ユーザ中心ウェブビジネス戦略』を出版。
- 2015年
- 書籍『売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門』を出版。
- 2016年
- 書籍『顧客を観よ ─ 金融デジタルマーケティングの新標準』を出版。
- 2017年
- UXチームクラウド「USERGRAM(ユーザグラム)」の提供を開始。
- 2018年
- 株式会社トライディア(AI・ビッグデータ解析ベンチャー)を子会社化
- 書籍『平安保険グループの衝撃 ─ 顧客志向NPS経営のベストプラクティス』を翻訳・出版。
- 2019年
- 大手町に新オフィス「UX Square Tokyo」をオープン。
- 書籍『アフターデジタル ─ オフラインのない時代に生き残る』を出版。
- 2020年
- 書籍『アフターデジタル2 UXと自由』を出版。
- 2021年
- 「一般社団法人UXインテリジェンス協会」を共同発起人として設立。
- 書籍『UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論』を出版。
- UX/DXフェス「L&UX2021」を開催。
- 書籍『アフターデジタルセッションズ 最先端の33人が語る、世界標準のコンセンサス』を出版。
- 2022年
- 台湾に現地法人beBit TECH(正式名称:beBit Technology Inc.)を設立。
- 書籍『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』を出版。
- EC特化型グロースマーケティングソリューション「OmniSegment」の国内展開を開始。
- 2024年
- シリーズBラウンドにて12億円の資金調達を実施。
- 東南アジアのOMOスタートアップ「TSUNAGO」を買収し、東南アジアに事業を拡大。
- 2025年
- みずほフィナンシャルグループと資本・業務提携を締結。
ビービットのサービス
コンサルティング事業
- UX&ビジネスコンサルティング
- UXデザインコンサルティング
- UXグロースコンサルティング
※上記3つのうち、UXグロースコンサルティングと「USERGRAM」を融合したソリューションを「UXグロースOps」として提供。
ソフトウェア事業
- USERGRAM
- OmniSegment
- WebAntenna
ビービットの求める人物像
ビービットでは、ユーザ(消費者)の心理や行動特性を深く探求し、人々の日常に溶け込む「善い体験」を設計することを事業の根幹に置いている。そのため採用においても、知識やスキルの習得よりもまず、人への関心と貢献への意志が根底にあるかどうかを重視している。
同社では、「体験を頭で考えぬきUXを向上させるスキル」と「人の心を想い、痛みに向き合うスタンス」の両方を体験設計の柱に据えている。誰かが抱えている不自由さや苦しさを自分のこととして捉え、そこに向き合い続ける姿勢が、ビービットの仕事の出発点とされている。
また、単に課題を分析するにとどまらず、ユーザの行動の実態に基づいて仮説を立て、検証を繰り返しながら本質的な解決策を導き出す姿勢も求められている。中途採用の募集要項には、「プロセスや提案内容が明確に定義されていない環境で新規事業に取り組む意欲」や、「既存メンバーと良好な関係を築きながら粘り強く変革を実現できること」といった記述も見られ、不確実な状況に主体的に挑み続ける人材を求めていることが読み取れる。
ビービットでのキャリアパス
ビービットでは、コンサルタントとして入社後、まずはコンサルティング事業の中核を担うマネージャーポジションを目指すキャリアが基本となる。自律的に高品質なプロジェクトデリバリーができるようになった後、プロジェクトマネジメントに加えて人材育成のスキルも身につけながら、ビジネス成長とメンバー成長の双方に責任を持つマネージャーへのステップアップが支援される。
マネージャー以降のキャリアは、個人の志向や強みと組織のニーズを照らし合わせながら方向性を選択できる仕組みになっている。大手クライアントの担当として大規模プロジェクトの獲得からデリバリーまでを担う「ディレクター」「パートナー」路線のほか、新たなソリューションの開発や社内の人材育成に専門的に携わる「ソリューション・ディレクター」「ソリューション・パートナー」という路線も用意されている。
ビービットのトレーニング
ビービットでは、未経験者でも早期に専門家としての成果を出せるよう、研修から配属までを一貫して設計した育成体制を整えている。入社後約5カ月間は実践型研修を行い、座学に加えて実際のコンサルティング案件を疑似体験するプログラムが用意されている。研修では先輩社員がマネージャー役とクライアント役をそれぞれ担い、新入社員が最終報告まで推進する形式で、UX改善やコンサルティングに必要なスキルを実践的に習得する。
育成にあたっては各人の現在の能力から「少し上」のレベルの業務を意図的に割り当てながら、人事担当者・案件担当者・メンターが連携して伴走する体制をとっている。過去の実績・データをもとに個々人に合った成長プランを組み、ひとり立ちまでの道筋を設計しているのが特徴である。
ビービットの社会貢献・ESG
ビービットは、「善いUXに溢れ、ユーザーがそれを自由に選択できる社会」の実現を企業としての方向性として掲げており、その姿勢は事業活動だけでなく社会への働きかけにも反映されている。
同社は2021年5月、「一般社団法人UXインテリジェンス協会(UXIA)」を設立した。同協会は、デジタルと現実の融合が進むアフターデジタル時代において、テクノロジーとUXの組み合わせが人の行動を管理・支配する方向に向かうことへの問題意識を背景に生まれた。「より自由で豊かなUXを企画する精神と能力」をUXインテリジェンスと定義し、その研鑽と普及を目的としている。
同協会では、UXインテリジェンスの普及促進・高品質なUX事例の発掘と共有・標準化・実践知習得に向けた学習環境整備などに取り組んでいる。代表取締役の遠藤直紀氏が理事長を、取締役COOの藤井保文氏が事務局長を務め、大学研究者や他業界の専門家も理事として参画している。
ビービットについてのFAQ
ビービットはどのような企業ですか?
ビービットは、UX(ユーザ体験)の設計・改善を起点とした企業変革を支援するコンサルティング・ソフトウェア企業です。コンサルティングサービスとしては、UXを重視した事業戦略の立案・新規サービスのUXデザイン・継続的なUX改善支援(UXグロースOps)などを提供しています。自社開発SaaSプロダクトとして、ユーザ行動分析クラウド「USERGRAM」、EC向けグロースマーケティングAIソリューション「OmniSegment」、広告効果測定ツール「WebAntenna」を展開しており、コンサルティングとテクノロジーを一体で活用する点に特徴があります。2000年の設立以来、20年以上にわたりUX改善に取り組んできた実績を持ち、UXグロースOpsは800社以上への導入実績があります。
ビービットの「UXグロースOps」とはどのようなサービスですか?
UXグロースOpsは、ウェブサイト・アプリのユーザ体験を継続的に改善することでビジネス成長とノウハウ獲得を実現するサービスです。ビービットのコンサルタントが、データ分析から施策立案・開発連携・効果検証までの一連のプロセスを伴走・代行します。自社開発のユーザ行動分析ツール「USERGRAM」を業務基盤として活用し、実際のユーザ行動データをもとに改善施策を継続的に実行する体制を構築します。成果の一例として「CVR・リピート率2倍」「MAU3〜6倍」「解約率20〜50%減」などの実績があり、中〜大規模のBtoCサービスを持つ企業での導入実績が豊富です。研修・勉強会を通じてクライアント企業への知見移転も行い、自社でUX改善を継続できる内製体制の構築を支援します。
『アフターデジタル』とはどのような書籍で、ビービットとどのような関係がありますか?
『アフターデジタル』は、ビービット取締役COOの藤井保文氏とIT批評家の尾原和啓氏が共著で2019年に日経BPより刊行した書籍です。デジタルとオフラインが融合した「アフターデジタル」社会において、企業がどのようにUXを起点とした変革を進めるべきかを、中国・アジアの先行事例をもとに論じた内容で、発売当時に大きな反響を呼びました。シリーズはその後、『アフターデジタル2 UXと自由』(2020年)、『UXグロースモデル』(2021年)、『アフターデジタルセッションズ』(2021年)、『ジャーニーシフト』(2022年)と続き、累計発行部数は22万部を超えています。ビービットはこのシリーズを通じて「DXの本質はUXにある」というコンセプトを広め、書籍を企業向け研修・啓発活動にも活用してきました。
ビービットが自社開発している「USERGRAM」とはどのようなツールですか?
USERGRAMは、ウェブサイト・スマホアプリ上のユーザ行動データを時系列(シーケンス)形式で可視化・分析できるクラウドサービスです。「いつ・どこから流入し・どのページを何秒閲覧したか」という行動の流れを直感的に把握できるインターフェースを備え、PC・スマホ・アプリをまたいだ横断的な分析も可能です。AIがユーザ行動のパターンを自動分類する機能も搭載しており、効率的にUX改善の仮説を導出できます。2025年10月には、定性分析を支援する生成AI「ユーザ分析AI GRAM君」のβ版が全ユーザに開放され、AI活用の面でも機能強化が進んでいます。導入実績は400社以上にのぼり、KDDI・LIXIL・ヤマハ発動機など大手企業での活用事例も公開されています。
ビービットが近年注力している領域・取り組みはどのようなものですか?
ビービットは近年、コンサルティングと自社SaaSの融合に加え、研究・開発・生成AI活用の各面で体制を拡充しています。2025年3月には国内外のUXトレンドを継続的に調査する「グローバル・リサーチラボ」を設立し、2025年10月にはコンサルティングフェーズで設計した体験・サービスを実際に具現化・開発する専門チーム「Realization Lab」を設立しました。生成AIの面では、USERGRAM上でユーザ行動データの定性分析を支援するAI「ユーザ分析AI GRAM君」のβ版を2025年10月に全ユーザに開放しています。また2025年3月にはみずほフィナンシャルグループから出資を受け資本・業務提携を締結し、金融領域での連携も強化しています。2026年4月には役員体制を刷新し、「アフターデジタル」シリーズの著者・藤井保文氏が取締役COOに就任しました。
ビービットの関連書籍
ビービットへの転職を志す方へ、同社および業界への理解を深めるうえで参考となる書籍をご紹介します。
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ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件 -
UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論 -
アフターデジタル2 UXと自由 -
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