PwC Japanグループマネージングパートナー 鹿島様インタビュー

PwC Japan 鹿島グループマネージングパートナー インタビュー

CEG 福永本日はPwC Japanグループ マネージングパートナー兼PwCコンサルティング合同会社 代表執行役会長の鹿島章様にお話をお伺いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

PwC 鹿島よろしくお願いいたします。

CEG 福永PwC Japanグループでは2020年に向けた成長戦略“Vision2020”を掲げていますね。こちらを実現するための一環として管理部門であるIFS(Internal Firm Service)の強化に取り組まれていると伺っております。
まずは、”Vision2020”を作られた背景について教えていただけますでしょうか?

PwC 鹿島PwC Japanグループの成長戦略として“Vision2020”を作ったのは2013年~2014年のころでした。当時のPwC Japanグループは、Big4の中で売り上げ規模が圧倒的に少なく最下位でした。
一方、UKやUSなどを中心に、世界ではPwCが一番になっている国がいくつもあります。そんな世界的なトップブランドのPwCが日本でいつまでも四番手でいてはだめだろう、アグレッシブなビジョンを作って成長しなければいけない、といった議論が起こりました。
そこで、2020年に一番になるための計画として、“Visin2020”を作りました。

PwC鹿島グループマネージングパートナー

CEG 福永当時、PwC Japanグループは相当苦戦されていたのですね。ただ、ここ数年はとても勢いがあると感じています。

PwC 鹿島ありがとうございます。おかげさまでここ数年は急速な成長をすることができています。
特徴的な点としては、売り上げを増やしていくために、グローバルにも目を向けたことです。海外でビジネスを拡大している日本企業はたくさんありますので、そこへのサポートを通じてグローバルで日本企業からの売り上げを二倍くらいに増やしていこう、と考えたのです。

皆が一丸となって頑張ってきたこともあり、2020年までに達成しようと掲げた売上目標を2年前に達成することができました。
PwC Japanグループのこの成長スピードは、予想だにしなかったもので、約4年で売上と組織の規模が二倍になったんです。

CEG 山口それはすごい成長ですね。同業他社も含めいろいろな会社が頑張っている中で、これほどまでに急激な成長をしてきている要因は、鹿島様から見てどのようなところにあるとお考えですか?

PwC 鹿島成長の要因は主にコンサルティング部門で実施した二つの取り組みの成功にあると考えています。
一点目はクライアントとのリレーション強化、二点目は新しいソリューションに対する取り組みに先手を打ったことです。

まず一点目のクライアントとのリレーショを強化するために2011年に新しくインダストリーチームを作りました。インダストリーのナレッジを蓄積し、クライアントとのリレーションを強化していくミッションを持つ人と、従来のソリューションを提供していく人のマトリックス型のチーム編成にしたのです。
初めの2年くらいはとても苦労をしましたが、徐々にクライアントとのリレーションを構築、強化することができ、長期にわたるプロジェクトも任せていただけるようになりました。
さらに、成功したプロジェクトのソリューションを他のインダストリーにも横展開してくという勝ちパターンを作ることができたのです。

二点目は、例えばサイバーセキュリティやセールスフォースなどの新しいソリューションに早めに取り組んだことです。
日本においては新しいソリューションであっても、PwCグローバルネットワークにおける実績は既にありました。
そのナレッジを取り込みつつ、日本でビジネス展開を進めるために必要な人の採用や投資をしていったことが、新しいソリューションのスムーズな立ち上がりにつながり、私たちの成長の一因にもなったと考えています。

CEG 福永ありがとうございます。PwCのグローバルネットワークを活用しながら、新たなチャレンジに取り組んだことが成長につながっているのですね。
コンサルティングでこのような変革をリードされてきた鹿島様が、今やろうとしていることはどのようなことでしょうか?

CEG福永

PwC 鹿島私の今の役割は、コンサルティングで成功した手法を今度はPwC Japanグループ全体に取り入れ、グループ全体での成功につなげていくことです。
コンサルティングで行ったインダストリーアプローチや、他チームとの協力体制 “OnePwC” をPwC Japanグループ全体にどう展開をしていくか、ということにチャレンジをしています。

CEG 福永 PwC Japanグループ全体となると、コンサルティング合同会社だけではなく、監査法人や税理士法人、アドバイザリー合同会社などさまざまな法人格があるかと思います。
それぞれサービス内容も異なり、グループ全体で7000名規模の大組織ですが、どのように変革に取り組んでいこうとお考えでしょうか?

PwC 鹿島PwC Japanグループ全体を変革するにあたっては、IFS部門の強化が鍵になると考えています。
IFSはいわゆる管理部門として、PwCの成長を支える守りとしての役割があります。
この4,5年で売上、組織規模ともに2倍となりましたので、そういった成長に即したオペレーションの整備だけでも相当大きな取り組みでした。
現在は、この「守り」としてのオペレーションの整備が一段落しましたので、変革期にあるビジネスを支えるための「攻め」の役割、すなわち、グループ全体を見渡しながらの企画機能としての役割が非常に重要になってきます。

例えば、ご存じの通り、技術の目覚ましい発展に伴い、ロボットに置き換えられる仕事が監査や税務の領域などでもどんどん増えてきています。
この変化の中で、人間が行うべき役割は何であろうか、ということも考えていく必要があるわけです。
私たちが提供しているサービスそのものもかなりの勢いで変わってきますし、必要とされるスキルセットも大きく変わってきます。こういった世の中の変化をふまえて、全体を見渡した組織作りについて企画する人が必要になってきます。

また、先ほどのコンサルティングでのインダストリーチームの取り組みをPwC Japanグループ全体で展開するためには、それぞれの法人格、サービスにとらわれない立場の人が必要になりますし、“One PwC”としてのブランディングにも取り組まなければなりません。
変革を経営判断するために必要な裏付けとなる数字を作ることができる人も必要となります。

CEG 山口そうなるとIFSの役割は広範かつ重要なものになりそうですね。
では、具体的にIFSはどのような組織になっていらっしゃいますか?

CEG山口

PwC 鹿島IFSはマーケット部門、ヒューマンキャピタル部門、ファイナンス部門、IT部門などがあります。
一般的なバックオフィスとは違い、プラクティスから言われたことを受けるだけではなく、全体を見ながら企画・提案を積極的にしていくチームです。

例えば、海外のPwCとは違って、日本は規制の関係でコンサルティングやアドバイザリー、監査などの法人に分かれており、それぞれで必要な人材の採用活動を行っています。そうすると、テクノロジー系の人材などで、PwC Japanグループ内で競合する可能性があります。
こういった問題を解決するために、同じスキルセットの人材をグループとして採用し、必要な法人に配属していくといったことをPwC Japanグループ全体を見ながら考えて企画・提案をすることがIFSならできるのではないかと考えています。

CEG 福永IFSは全体最適の観点から企画・提案機能を持つコーポレート部門ということですね。
次にそれぞれの部門に対する期待について伺いたいのですが、まずマーケット部門についてはいかがでしょうか?

PwC 鹿島マーケット部門の役割は大きく二つあります。
まず、PwC Japanグループがクライアントの複雑多様化する課題解決に貢献するためには、“One PwC”として、サービスラインを越えて、クライアントインダストリーにフォーカスし、総合力を結集してサービス提供をすることが必要で、いわゆる営業本部機能を強化していかなければなりません。
これまでのようにそれぞれのソリューションを持った人が自分の仕事を売りに行く、という形では足りないなのです。この機能を担うのがマーケット部門です。
また、もう一つの役割として、コーポレートブランディングを高めていくことも期待しています。
私たちは「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というPurposeを掲げているのですが、社会貢献にも取り組んでいくファームだということをもっと打ち出していかなければいけないと思っています。

CEG 福永私たちもいろいろな企業の採用活動にかかわる中で、コーポレートブランディングの重要性を感じています。
本来は非常に魅力的なビジネスを行っているのにそれが伝わっておらず、転職希望者から誤った評価を受けている企業もあります。この点は本当に重要ですね。

PwC 鹿島ブランディングは実は対外的に何かを発信するということだけではなくて、地道な仕事を通じても出来上がってくるものです。例えば、以前はPwCがサイバーセキュリティに強いというイメージはまったくなかったと思いますが、最近はずいぶん変わってきていて、その分野の専門家が興味を持って入社してくれるようになりました。
これはなぜかというと、サイバーセキュリティ関連のプロジェクトでの成功事例が増えてきて、その実績が多くなるにつれ、じわじわと認知度が上がってきたからなのです。
実績を外に出してアピールしていくこともブランディングにはとても大切なことですので、広告宣伝のような形でのブランディングに加え、実績のアピールも地道に取り組んでいこうと思っています。

CEG 福永日々の積み重ね自体がブランディングにつながっていくというのは面白いですね。ありがとうございます。
次はヒューマンキャピタル部門についての期待についてお聞かせください。

PwC 鹿島ヒューマンキャピタル部門については、これまで通りの人事業務に加え、PwC Japanグループの変化・進化に合わせ、これまで採用をしてこなかったような全く新しいスキルセットの人をどのように採用し、既存の社員のスキルチェンジをどのように行っていくかを企画提案し、全社に対する働きかけも行ってもらっています。
さらに、例えばデータアナリティクスの専門家のような、これまでと違ったスキルセットや専門性を持った人たちが集まってくると、キャリアパスや評価の仕組みも新しく作っていく必要が出てくると思いますので、こういった点への取り組みも期待をしています。

PwC鹿島グループマネージングパートナー

CEG 福永ヒューマンキャピタル部門にはこの先の変化を見据えて、柔軟性のある提案をしていくことが求められるのですね。
次にファイナンス部門についてもお聞かせください。

PwC 鹿島私たち自身がさまざまな戦略を打ち出してビジネスを展開していく際に、当然売り上げも伸び、利益も増えるという前提に立つわけですが、本当にその通りになるのか、あるいはなっているのか、ということを今まで以上に検証していくことが必要になります。
ファイナンス部門には、このような経営判断をするための重要な情報を的確に提供してくれることを期待しています。すなわち、決算をしっかり締めてくれることを前提にしつつも、いわゆる管理会計的な仕事に強い方がこのチームには必要になってきます。

CEG 福永確かに適切な経営判断の大前提になりますよね。
それでは、最後にIT部門についてお聞かせください。

PwC 鹿島これまでお話ししたような変革をテクノロジーの面で支えているのがIT部門です。
最近では、何らかの変革を進める場合にはITの存在は欠かせません。直近では、グローバルでシステムや業務アプリケーションの統一をすることで、よりグローバルネットワーク内での連携をはかり、“One PwC”としての相乗効果を生み出そうとしていますが、ITチームの支援なくしては実現できないことです。
今後もこういった統一化の動きは続きますし、効果的な運用も必須となりますので、そこに対する提案を積極的に行えるような方に参画いただきたいと思っています。

CEG 福永ありがとうございます。ここまでIFSの4つの部門についてお話をいただきました。
ところで、先ほど“One PwC”としての取り組みを伺いましたが、“One IFS”という取り組みもあるとお聞きしています。

PwC 鹿島そうです。IFSにはこれまでお話したようにいくつかのチームがありますが、PwC Japanグループ全体が法人格の壁を越えて一つになって“One PwC” として活動をしているのと同じく、IFSも各チームがシームレスに連携をして“One IFS” としてPwC Japanグループに貢献していこうと取り組みを始めています。

CEG 福永とても一体感が感じられて良いですね。
今後のIFSには企画機能を担える方が必要ということですが、他のプラクティスに入られる方と同様、IFSではどのようなキャリアパスが描けるのか気になる方も多いと思います。この点はいかがでしょうか?

CEG福永

PwC 鹿島PwCでは、IFSの各部門において自身の専門性を高めていくこともできますし、OEP(Open Entry Program)という制度があり、自らプラクティスなどに異動を希望することもできます。
現在の役割と異なるキャリアプランについては、直属の上司にはなかなか相談しづらいものですが、メンターに相談しながら自身のキャリアの幅を広げたり、深めていくことも可能です。
実際に、比較的柔軟に希望をかなえながら異動しているケースが多いですし、より制度を活性化させて、多様なキャリアパスを描けるようにしていこうとしています。

CEG 福永ありがとうございます。ここまでお話をお伺いして、PwC Japanグループが今後さらなる成長をしていくためにIFSの強化がとても重要であることがよくわかりました。
ここで一つ気になるのですが、御社の動きに注目している会社も多いと思います。同業他社に真似をされてしまうという心配はないものでしょうか?

PwC 鹿島そこはあまり心配していませんね。PwC Japanグループは今でこそ7300名の組織ですが、Big4の中では、もともと四番目の存在であったがゆえに、過去のやり方に固執せず、比較的自由にさまざまな変革をして成長を続けてきました。
IFSに対する取り組みはこういったPwCの社風があるからこそ、強力に進めていくことができるものだと考えています。

CEG 福永ありがとうございます。それでは最後に、これからIFSにチャレンジしようとする候補者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

PwC 鹿島私たちは、これからもさまざまな変革に取り組み、引き続き成長していこうとしているフェーズにあります。
この挑戦しがいのある環境に興味を持ち、自分のアイディアで変革を進めてみたい、というマインドを持った方にぜひ参画いただき、活躍していただきたいと思っています。

PwC鹿島グループマネージングパートナー

CEG 福永本日はお忙しい中、貴重な機会をいただきまして本当にありがとうございました。

PwC 鹿島どうもありがとうございました。

グループマーケットリーダー 森下様インタビュー

鹿島 章 | Aikra Kashima【グループマネージングパートナー 】鹿島 章 | Aikra Kashima【グループマネージングパートナー 】

大阪大学経済学部経営学科を卒業。1985年、大手監査法人に入所。上場企業を中心に幅広い業種の監査業務に携わる。95年にアーサーアンダーセンのビジネスコンサルティング部門に移籍。その後、合併・社名変更等により、2002年にベリングポイント(後にPwC Japanグループのメンバーファームとなる)、2009年にPwC コンサルティングと所属は変わるも、一貫してコンサルタントを続けてきた。会計・経営管理分野の幅広いコンサルティングに従事。2012年、日本におけるPwCのコンサルティング代表、2016年、PwC Japanグループ グループマネージングパートナーに就任。

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