ウィプロ コンサルティング主導・AI活用のITサービス会社
ウィプロは、植物油製造会社という出発点からITサービスへと事業を転換し、グローバルに積み上げてきた実装・工学の知見を基盤に、製造・自動車・金融などの企業のデジタル変革を支えてきた。本記事では、企業の特徴や理念、沿革、主要なサービス内容、求める人物像、入社後のキャリアパスやトレーニング内容、社会貢献・ESG について整理する。
ウィプロ HPより
ウィプロとは
ウィプロ(Wipro)は、1945年にインドで創業されたITサービス・コンサルティング企業である。AIを活用したテクノロジーサービスを軸に、コンサルティング、デジタルエンジニアリング、アウトソーシングなど幅広いITサービスを世界各国の企業に提供している。現在は65カ国以上に事業展開し、従業員数は24万人超を有する。
コンサル業界地図(領域別)
ウィプロ
- 日本IBM
- ガートナー
- キャップジェミニ
- フューチャーアーキテクト
- シンプレクス
- Ridgelinez
- ビジョン・コンサルティング
- Re-grit Partners
- ストラテジーテック・コンサルティング
- SAPジャパン
- ULSコンサルティング
- ビジネスブレイン太田昭和
ウィプロの起源は、1945年12月29日、インド・マハーラーシュトラ州アムラネルにおいてMH・ハシャム・プレムジ氏が「Western India Vegetable Products Limited」として設立した食用油・石けん製造会社にさかのぼる。1966年に創業者が急逝し、当時21歳でスタンフォード大学での学業を中断した息子アジム・プレムジ氏が経営を引き継いだ。同氏のもとで事業の多角化が進み、1977年には社名をWipro Products Limitedに変更。1981年にIBMのインド撤退を機としてIT分野に本格参入し、同国初のミニコンピュータ開発にも取り組んだ。その後、ITサービスに経営資源を集中させ、現在のグローバルITサービス企業としての基盤を構築した。
コンサルティング主導・AI活用型の事業構造
現在のウィプロは、テクノロジーサービス、ビジネスプロセスサービス、コンサルティングサービス、エンジニアリングの4つのグローバル事業ライン(GBL)を軸に運営されている(2025年4月より再編)。テクノロジーサービスではクラウド、サイバーセキュリティ、データ・アナリティクス、エンタープライズアプリケーションなどを担い、コンサルティングサービスでは戦略立案から実行変革までを手がけ、エンジニアリング部門ではR&Dおよびプロダクトエンジニアリングを提供する。日本市場向けには、AI・エンジニアリング・クラウド・サイバーセキュリティ・アプリケーション・コンサルティングの各領域にわたるソリューションを展開し、自動車、製造、医療機器、銀行・保険、ライフサイエンス、通信など幅広い産業を支援している。
近年の動向
2024年4月にスリニ・パリア氏が最高経営責任者(CEO)に就任し、「コンサルティング主導・AI積極活用」を成長戦略の中核に据えた体制を確立した。2025年8月にはサムスン傘下のHARMANのDigital Transformation Solutions(DTS)部門の買収を発表し、同年12月に完了した。この買収により、embodied AI(身体化AI)や組込みソフトウェア、デバイスエンジニアリングなどの高度な製品エンジニアリング能力が加わり、テクノロジー・医療・産業・航空宇宙分野でのER&D(エンジニアリングR&D)サービスが強化されている。FY2025(2025年3月期末)の年間売上高は104.8億ドルで、NYSEへの上場から25年以上の実績を持つ。
日本での事業
日本法人のウィプロ・ジャパン株式会社は1998年に設立され、神奈川県横浜市みなとみらいに本社を置く。設立以来、日本市場で30年近くの実績を積み重ね、現在は自動車・製造・金融・通信など主要業種の顧客に対してデジタル変革支援を提供している。グローバルの専門知識と現地に根差した体制を組み合わせたアプローチを特徴としており、コンサルティングから設計・エンジニアリング・オペレーションに至るエンドツーエンドのサービスを日本企業に提供している。
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代表者カントリーヘッド兼マネジングディレクター:デュラブ・アナンド
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設立1998年(※グローバル:1945年)
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従業員数240,000人超(2025年3月期末時点)※グローバル
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所在地神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1-1
横浜ランドマークタワー26F -
拠点数65カ国以上(2026年5月時点の公開情報)※グローバル
News & Topics
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Wipro Completes Acquisition of Olam Group's IT and Digital Services Business, Mindsprint
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Wipro Expands Strategic Presence in South Korea, Launches Innovation Lab in Seoul
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Wipro Completes Acquisition of HARMAN's Digital Transformation Solutions (DTS) Business Unit
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Wipro Secures Multi-Million-Dollar Deal to Transform Nokia's Digital Workplace Services
ウィプロの理念
以下にウィプロの企業理念を引く。
What Drives Us.
SPIRIT OF WIPRO
These values are our bedrock. They define and make us. Our character and destinies are energized by our values.
- Be passionate about clients’ success
- Treat each person with respect
- Be global and responsible
- Unyielding integrity in everything we do
FIVE HABITS
When our behaviors and ways of working consistently reflect our values. We see the five habits in action.
- Being Respectful
- Being Responsive
- Always Communicating
- Demonstrating Stewardship
- Building Trust
ウィプロ公式サイトより引用
ウィプロの沿革
以下にウィプロの主な沿革を記載する。
- 1945年
- インド・マハーラーシュトラ州アムラネルにMH・ハシャム・プレムジ氏が「Western India Vegetable Products Limited」として設立。当初は食用油の生産会社としてスタート。
- 1977年
- 社名をWipro Products Limitedに変更。
- 1981年
- IT産業に参入。
- 1983年
- ソフトウェア開発と輸出を担う子会社Wipro Systems Ltdを設立。
- 1984年
- 社名をWipro Limitedに変更。
- 1990年代
- ITサービスに参入。
- 1998年
- 横浜に日本法人を設立、事業開始。
- 2000年
- ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。
- 2010年
- ビジネスプロセスアウトソーシング部門の戦略拠点として沖縄BPOセンターを開設。
- 2012年
- 消費財・照明・インフラエンジニアリングなどの非IT事業を分社化し、Wipro Enterprises Limitedを設立。
- 2014年
- デジタルサービス専門組織「Wipro Digital」を設立。
- 2015年
- スタートアップ投資ファンド「Wipro Ventures」を設立。
- 2021年
- 金融機関向けコンサルティング・デジタル・テクノロジーサービスを提供するCapcoを買収。
- 2025年
- サムスン傘下のHARMANのDigital Transformation Solutions(DTS)部門の買収を完了。エンジニアリング事業ラインに統合。
ウィプロのサービス
インダストリー
- 自動車
- 製造
- 家電
- 医療機器
- 小売
- 銀行業務
- キャピタルマーケット
- 保険
- ライフサイエンス・製薬
- 消費財
- 通信
サービス
- AI
- エンジニアリング
- エンタープライズアプリケーション
- Cloud
- ビジネスプロセスサービス
- データ・アナリティクス・インテリジェンス
- サイバーセキュリティ
- コンサルティング
ウィプロの求める人物像
ウィプロでは、自己・キャリア・スキルの継続的な進化に意欲を持つ人材を求めている。同社は自らを「エンド・ツー・エンドのデジタルトランスフォーメーション・パートナー」と位置づけており、変化する世界に合わせてビジネス自体も変革し続けることを組織のDNAとしている。そのため、現状維持にとどまらず自らを刷新し続けようとする姿勢が、求める人物像の核心に据えられている。
また、目的意識(Purpose)を原動力とし、クライアントの成功に情熱を持って取り組める人材も重視されている。ウィプロの行動指針「Spirit of Wipro」には、クライアントの成功への情熱、一人ひとりへの敬意、グローバルかつ責任ある行動、そして揺るぎない誠実さという4つの価値観が示されており、これらを体現できることが求められる。
多様性への開放性も重要な要素のひとつだ。出身地域・年齢・性別・能力・経験を問わず活躍できる組織を目指すウィプロでは、異なるバックグラウンドを持つ人材が互いに尊重し合い、成果を出せるカルチャーが根付いている。
ウィプロでのキャリアパス
ウィプロでは、社員一人ひとりが自分自身のキャリアパスを設計できる環境が整備されている。地域・年齢・性別・能力・これまでの経験という枠を超えた機会を提供する組織として、特定の職種や職位に縛られない幅広いキャリアの可能性が開かれている。
経験豊富な専門職(Experienced Professionals)向けには、コンサルティング、クラウド、データ&アナリティクス、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、ビジネスプロセスサービス(BPS)、コーポレートファンクションなど多岐にわたる専門領域でのキャリア展開が可能だ。また、ウィプロ・ジャパン(日本法人)においては、海外チームとの協働が日常的に行われており、一定以上の英語力を持つ社員には海外プロジェクトへの参画、海外出張、さらには現地拠点への駐在といったグローバルなキャリアパスも開かれている。
ウィプロのトレーニング
継続的な学習と成長を支える育成体制
ウィプロでは、社員の継続的な成長を組織の成長と一体として捉えており、各種育成プログラムへのアクセスが整備されている。
主な育成プログラム
- メンターシップ・スポンサーシッププログラム(Mentorship and Sponsorship Program)
経験豊富なプロフェッショナルからの指導を通じて、個々人のキャリア再設計を支援するプログラム。 - AI Academy
AI・機械学習・生成AIに関する基礎から応用まで体系的なカリキュラムを提供。常に進化するAI領域における最新かつ実践的なスキル習得を目的とする。 - Wipro Leadership Institute
次世代リーダーの育成を目的とした機関。技術スキル、リーダーシップ、ソフトスキルを総合的に強化し、ビジネス環境の変化に対応できる人材を輩出することを目指す。
また、フレックスタイムやハイブリッドワーク、ウェルネスプログラムなど、業務とプライベートの両立をサポートする環境も整備されており、個人の成長を後押しする土台となっている。
ウィプロの社会貢献・ESG
ウィプロは、「事業の経済的価値は倫理と責任の基盤の上にのみ持続可能である」という創業者アジム・プレムジ氏の信念のもと、設立から75年以上にわたって目的志向型の企業として運営されてきた。プレムジ一族はウィプロの経済的権益の66%をAzim Premji財団に寄付しており、その基金(290億ドル)が同財団の活動を支えている。
環境への取り組み
脱炭素化については、2040年までのネットゼロ達成を目標に掲げており、科学的根拠に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)によってネットゼロ目標の検証を受けた世界初の7社のうちの1社となっている。また、Transform to Net Zeroの創設メンバーとして、脱炭素社会への移行を業界全体で加速する取り組みにも参画している。
外部評価においても継続的に認められており、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ指数(DJSI)に14年連続で選出されているほか、FTSE4Good Indexでのグローバルリーダーシップも維持している。EcoVadisのサステナビリティ評価では金賞を取得し、世界全体の同セクターで97パーセンタイルの評価を受けている。
社会貢献活動
Wipro Foundation(ウィプロ財団)
ウィプロのCSR(企業の社会的責任)活動は、Wipro Foundationが担っている。同財団は教育・医療・生態系・災害対応・都市と公共空間を活動領域としており、インド国内で最も経済的に恵まれていないコミュニティに対し、28州以上・480万人以上にサービスを届けている。また、17カ国で4万7,000人以上の従業員がコミュニティ活動に参加している。
Wipro earthian
2011年から続く環境教育プログラムWipro earthianは、インドの学校・大学を対象に持続可能な行動と思考を促す取り組みで、インド最大規模の持続可能性教育プログラムのひとつとされている。2026年1月に15回目を迎えた同プログラムはこれまでに51,000校以上・21万人超の学生・4.1万人以上の教員と連携しており、生物多様性・廃棄物・水といったテーマに取り組む優れた学校・大学を毎年表彰している。さらに2023年からはIIT Madrasと連携した「Ideas to Impact(i2I)」チャレンジも展開し、大学生のエコ・イノベーションを支援している。
ウィプロについてのFAQ
ウィプロはどのような企業に対してサービスを提供していますか?
ウィプロは、製造、自動車、銀行・金融、保険、ヘルスケア、ライフサイエンス、通信、小売、消費財、医療機器など幅広い産業の企業に対してITサービスを提供しています。顧客層は大手グローバル企業が中心で、日本国内においては自動車メーカーやサプライヤー、製造業企業、金融機関などが主な支援対象となっています。AI・クラウド・サイバーセキュリティ・エンジニアリングなど複数の専門領域を横断するソリューションを、コンサルティング主導で提供する点が特徴です。企業規模や業種に応じてカスタマイズされた変革支援を行い、事業目標の達成を後押しします。
ウィプロのAIへの取り組みはどのようなものですか?
ウィプロは「コンサルティング主導・AI積極活用」を成長戦略の柱として掲げており、AIを事業変革の中核技術と位置づけています。2024年4月にCEOに就任したスリニ・パリア氏のもと、AI戦略の加速が進んでいます。具体的な取り組みとしては、社内でAI/MLおよび生成AI関連の研修を提供する「AI Academy」の設置、SAP移行支援に特化したAI活用ソリューション「WIPRO S/4 ASSUREAI」、AIを統合してサイバーセキュリティ全域をカバーする「WIPRO CYBERTRANSFORM」「WIPRO CYBERSHIELD」、また自動車産業向けのソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)開発を支援する「WIPRO AUTOCORTEX」などがあります。さらに2025年12月に完了したHARMANのDTS部門買収により、embodied AI(身体化AI)分野の能力も強化しています。
ウィプロと他のインド系ITサービス企業の違いは何ですか?
ウィプロはインドのIT業界においてタタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)、インフォシス、HCLテクノロジーズ、コグニザントと並ぶ大手ITサービス企業の一社であり、FY2025(2025年3月期末)の年間売上高は約104.8億ドルです。他社との構造的な違いとして、ウィプロは2025年4月よりグローバル事業ラインをテクノロジーサービス、ビジネスプロセスサービス、コンサルティングサービス、エンジニアリングの4軸に再編し、「コンサルティング主導・AI活用型」への転換を明確に打ち出しています。また、2025年12月にHARMANのDigital Transformation Solutions部門を買収し、製品エンジニアリングおよびER&D(エンジニアリングR&D)の専門領域を強化している点も差別化の要素の一つです。
ウィプロは日本でどのような事業を展開していますか?
ウィプロの日本法人であるウィプロ・ジャパン株式会社は1998年に設立され、神奈川県横浜市みなとみらいに本社を置いています。設立以来30年近くの現地実績を有し、自動車、製造、医療機器、銀行・保険、ライフサイエンス、通信など多様な業種の顧客を支援しています。提供するサービスはAI活用ソリューション、エンジニアリング、クラウド、サイバーセキュリティ、エンタープライズアプリケーション、コンサルティングにわたり、コンサルティングから設計・エンジニアリング・オペレーションに至るエンドツーエンドのサービスを展開しています。ウィプロでは日本をAPMEA(アジア太平洋・中東・アフリカ)における6つの重点地域の一つとして位置づけており、ローカリゼーションや現地採用、エコシステムパートナーシップにも継続的に投資しています。
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