【2021年~2022年】コンサル業界の最新動向

コンサル業界は、新型コロナ感染症やSDGsでどのように変わるのか?

2020年以降、新型コロナウイルス感染症やSDGs、ESGなどの社会変革の影響によって、コンサルティング業界は劇的に変化しました。
様々な社会の変化よってコンサルティング業界がどう変わったのか。「コンサル業界の最新動向」についてお伝えします。

コンサル業界が直面する3つの変化とは

コンサル業界が直面する3つの変化

新型コロナウイルス感染症により生活様式は大きく変わりました。それに伴い、働き方やビジネスモデルの大変革が迫られています。
さらに近年は大規模な自然災害が頻発し、未曾有の被害を出していることから鑑みても気候変動問題への対処が重要性を増していることは肌感覚でも実感できます。

そうした社会の変化の中、コンサル業界を取り巻く環境もまた変化が激しくなってきています。コンサル業界が直面する環境の変化と、それに伴うこれからのコンサルタントの在り方もまた変化が必要になっています。

コンサル業界を取り巻く環境の変化1:知のコモディティ化

かつてコンサルタントに期待されていた役割は「相談に乗って解決策を提示する」ことでした。しかし現在は「解決策の提示」のみのコンサルタントに存在価値はあまりない時代になっています。
その理由のひとつは、業界知識や専門性を有する人材にwebサービスを通じて容易にアクセスできるようになったことが挙げられます。
コンサルタントへ高い金額を払わずとも、専門家を簡単にネット上で探し、スポットで助言を受け、専門知識を活用することができるようになりました。
それだけではなく、クライアント側の人材レベルの高まりも要因の一つになっています。大学卒は当たり前、MBA取得者も少なくない昨今、さらに書籍やネット上で安価に有益なビジネスノウハウやフレームワークが手に入るようになりました。
以前はコンサルタントのみが知りえていたはずの情報がビジネスパーソンの一般常識として浸透しており、コンサルタントは「解決策の提示」のみでは対価を受け取るだけの価値の提供をしづらくなっているのが現状です。

こうした中でコンサルタントは、プロジェクトにおいて単なる解決策の提示や情報提供だけでなく、よりクリエイティブな価値の貢献を求められています。
例えば、クライアントのお客様の視点を徹底的に観察し、より良い顧客体験を考えるデザイン思考を取り入れた提案や、サスティナブルなサービスのプロトタイプの設計、SDGs時代の社会課題への取り組み方の経営アジェンダの設定など、時代に合わせた提案と解決策の策定が必須となっています。近年、コンサルティングファーム各社がデザイン会社の買収やクリエイティブ専門組織の新設といった取り組みをしている背景には、このようなクライアントからのニーズの変化があります。

コンサル業界を取り巻く環境の変化2:身近にいる相談役としてのコンサルタント

コンサルタントは身近にいる気軽に相談できるパートナー

コンサルタントと聞くと「特別なプロジェクトを手がける“ここぞ”というときに依頼するもの」だというイメージをお持ちの方も多いと思います。
ですが、近年は「常日頃から近くにいて、調子が悪くなったらすぐに相談できる相手」としての存在へと変化してきています。
この変化の背景の一つには一般事業会社の役員が以前と比べて結果に対して責任が重くなったことが挙げられるでしょう。現在の会社役員は自分が先頭にたって社内の問題を解決していかなければなりません。そんな重い責任を負う役員が自分の武器としてコンサルタントに依頼するようになっています。
さらに、独立してフリーランスで働くコンサルタントとのマッチングサービスやクラウドソーシングサービスなど、コンサルタントとの垣根を低くするサービスを展開する企業も登場してきています。
コンサルタントは「導いてくれる偉い先生」ではなく日常的な問題解決のための「仕事人」的なイメージへと変化しているのです。

コンサル業界を取り巻く環境の変化3: 経営のデジタル化(加速するDX)

コロナによるパンデミックが起こる前の世界においても、コンサルティング業界の構造はデジタル化の影響を受け、大きく変化をしていました。

2000年ごろからITベンチャーや先進的な取り組みをする大企業を中心に、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていた日本企業でしたが、2020年の新型コロナウイルスの蔓延による影響がトリガーとなり、企業のDXが一気に加速しています。
これに伴い、コンサルティング業界へのデジタル関連プロジェクトの依頼が急増しています。IDCJapanのレポートによると、2020年コンサルティングファームの案件のうち、およそ半分をデジタル領域の案件が占めるようになりました。
“デジタル”といっても、IT系ファームへの依頼が増えているだけではありません。デジタルベースで経営戦略を描くことが必須となっている中で、戦略系ファームや財務系ファームなど、さまざまなファームへの依頼が増えています。
政府は、DXが進まなければ2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしており、企業のDX推進の流れは当面続くことになると予想されます。コンサルティング業界にとってDX支援案件の比重はますます大きくなってくるでしょう。

コンサルタントの仕事の変化と求められる資質

これからのコンサルタントに求められる新しい資質

上記のような環境の変化を受けてコンサルタントの仕事も大きく変わりつつあります。
もはやコンサルタントの仕事は「顧客のための解決策を考え、提案する」業務だけではなくなった現在「解決策の実行支援(インプリメンテーション)」が重要な成長領域となっています。
「解決策の提示」の場合に必要なのは、主に頭の良さや発想のユニークさ、分析力であり、コンサルティング業界では、長い間これらの資質を重視した採用が行われていました。しかし「インプリメンテーション」まで行う昨今では、クライアント企業の現場に寄り添える“人間臭い”タイプの人材が求められるようになっています。
インプリメンテーションの場合、クライアントの事業の現場に入り、顧客と一緒になって現実の問題に取り組み、目に見える成果を出す必要があります。人間には感情があるため、最良の改善策と理屈では分かっていても、その通りに動くとは限りません。また、日々の業務改善を通じて具体的な成果を求められるため、長期にわたるプロジェクトとなることが多くなっています。そのため、頭の良さだけでなく、現場の気持ちに寄り添い、日々の地道なコミュニケーションを粘り強くできることがコンサルタントに求められています。

「フィーベース」から「バリューベース」へと変化する報酬体系

「解決策の提示」から「解決策の実行」支援へと進んだコンサルティング業界の流れは、一部のファームではさらにその先へと進み始めています。
「リスクテイキング」の発想からクライアントとの合弁会社の設立やジョイントベンチャーの運営などをすることで、従来の「コンサルティングファーム」と「クライアント」の関係性ではなく、運命共同体、ビジネスパートナーとしてリアルの事業に取り組む事例が出てきました。従来の収益モデルである「コンサルタントの時間当たりの単価x時間」というコンサルティングフィーに基づいたビジネスの枠を超えて、実際に生み出した価値(バリュー)に対して報酬を得るという新たな報酬体系に変化しつつあるのです。
「自分たちと一緒にリスクを取らない相手には、お金を払わない」そんな時代がきています。コンサルティング業界は「フィーベース」の案件から「バリューベース」の案件が中心に今後さらに変わっていくでしょう。

2022年以降のコンサルティング業界展望と採用傾向

これからのコンサルティング業界の展望

コロナ禍への対応から、オンライン授業やeコマース、テレワーク導入といったデジタル技術を活用したサービスは急速に普及し、全社レベルの企業変革をDXで進める企業は今後ますます増えると考えられます。
さらに最新技術に基づくヘルスケア関連のシミュレーションサービスや、事業再生分野など、Withコロナ、Afterコロナの時代に向けてますますコンサルティング業界のニーズは高まることが予想されます。

IDCJapanが2021年7月に発表した「国内コンサルティングサービス市場予測」によると、コンサルティング業界のマーケットは2020年の8,623億円から大きく伸長し、2025年には1兆2,551億円に達するとみられています。

業界の伸長に比例し高まる採用熱

DXやSDGs関連の案件のニーズの高まりによるマーケットの拡大を受けて、今後ますますコンサルティングファームの採用熱は高まることになりそうです。

コンサルタントに求められる業務が提言からインプリメンテーションに比重を移したことで、各業界の専門知識が必要になってくるため他業種での経験が評価されやすくなっています。
そのため、特にデジタルマーケティングやDX関連プロジェクトの経験をお持ちの方であれば、コンサルティング未経験であっても、30代後半や40代での採用が行われるケースも珍しくありません。
業界の構造自体が大きく変わってきていることから、採用基準も大きく変化してきています。
「未経験だが、コンサルタントにチャレンジしてみたい」「コンサルタントとして、多くの日本企業を強くしたい」――そのような想いをお持ちの方にとって、コンサルティング業界が身近になる市況が2022年も続くと予想されます。