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INSPIRE2017 スペシャルセッション『社会起業家へのキャリア戦略』

まちづくりの最先端で活躍するイノベーターが集結する地方創生イノベーターカンファレンス「INSPIRE 2017」(2017年11月11日(土) 12:00-21:00、渋谷ヒカリエホールBにて開催)のスペシャルトークセッションに、弊社代表の渡辺が登壇いたしました。
当日の会場には、登壇された社会起業家のように地方創生をリードしたいという志高い方々が数多く参加されていました。しかしながら、社会起業家になるために、「どのようにキャリアを設計したらよいのか?」というキャリア戦略について、世間ではほとんど語られていません。
このスペシャルセッションでは、「社会起業家へのキャリア戦略」と題して、社会起業家たちがどのように未経験から必要となる経験を積み、自らの夢を実現しているのかについて、東京大学におけるキャリアデザインの授業でお伝えした「自分の夢や志を実現するためのキャリア設計法」のエッセンスなども交えてお話ししました。その全容をご紹介致します。
※テキスト化の際に、よりわかりやすくお伝えするために、一部に加筆修正を加えております。

Index

#1 オープニング

谷中:
地方創生イノベータープラットフォーム INSPIRE(インスパイア)代表理事の谷中修吾です。ここでスペシャルトークと題しまして、まちづくりを実現する上で重要となる戦略的なキャリア設計について、セッションを設けたいと思います。
実は以前、本日お話をいただいたような社会起業家の方々が、どのようなキャリアを辿っているのかを個別に分析したことがあります。

すると、コンサル出身の方や、クリエイティブ系のバックグラウンドの方、マーケティング系の職種でビジネス経験のある方が多いと分かりました。
これらの要素に共通するのは、新規事業開発に関するスキルを身につけられることだと思います。
彼らはいかにしてそのようなスキルを身に着け、社会起業家としてのキャリアを設計したのでしょうか。

そこで、昨年度のインスパイアのカンファレンスでも大変好評いただいたこのスペシャルトークでは、「社会起業家へのキャリア戦略」をテーマといたします。
ご登壇いただきますのは、キャリア戦略のプロフェッショナルであるコンコードエクゼクティブグループ代表取締役社長の渡辺秀和さんです。
渡辺さんは戦略コンサルタント、外資系エグゼクティブ、起業家など、これまで1,000人を超えるキャリアチェンジを支援された実績があり、コンサル業界では日本最高のキャリアコンサルタントと言われている方です。

さらに渡辺さんは、今年の9月から11月まで、東京大学で初となる本格的なキャリアデザインの授業を開講されていました。
毎回300人以上の座席が全部埋まってしまうほど超大人気となった本授業では、社会起業をはじめとした自分の夢や志を実現するためのキャリア設計法を解説されていらっしゃいました。

本日はそのエッセンスも交えて、「社会起業家が、必要となる経験をどのように積み、自らの夢を実現しているのか」について、お話しいただきたいと思っております。
では、ご紹介します。コンコードエグゼクティブグループの渡辺秀和社長です。
拍手でお迎えください。

(会場拍手)

渡辺:
コンコードの代表を務めております渡辺秀和です。どうぞよろしくお願いします。

(会場拍手)

谷中:
どうぞよろしくお願いします。
それでは早速お話を伺っていきたいと思いますが、本日は本当に色々なイノベーターの方がいらっしゃいましたね。

渡辺:
そうですね。本日登壇されていらっしゃるイノベーターの皆さんは、好きで好きでたまらないことを仕事にして、周りの人を幸せにしたり、社会の役に立ったりされています。
まさに「好きなことを仕事にして、充実した豊かな人生を歩まれている」というのが、プレゼンを通してすごく伝わってきますよね。

一方で、このような素晴らしい生き方を実現したいけれども、今の自分とはギャップがあると感じられている方も会場にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、先ほど谷中さんがおっしゃったように、起業に必要なスキルを身につける経験を積み、そのギャップを埋めてから進めば、社会起業家への道のりはそれほどリスクが高いものではないのです。

INDEX

#2 社会起業家になるための3つのステップ

渡辺:
こちらの図は、私自身のキャリアをモデル化したものです。
私は中高時代に人生相談業を将来起業したいと思い、その実現にむけて自分の人生を考えました。
なので、大学では将来起業家になるために経営学を勉強しようと、一橋大学の商学部を選びました。
また、卒業後にいきなり起業するのはリスクが高いと考え、起業に必要な経験を身につけるため、新卒で戦略コンサルの世界に入りました。

戦略コンサルの世界で学んだことは2つあります。
1つは戦略立案のスキル。企業経営に関するベーシックなスキルですね。
もう1つは、ブランドコンサルのプロジェクトを通じて磨いた、クリエイティブスキルです。
ブランドコンサルは、企業のビジョンやコーポレートメッセージ、商品コンセプトなどをつくり、社内外に魅力的に伝えることをサポートするコンサルティングです。
クライアント企業のビジョンムービーをつくらせていただいたり、社内外にむけたコンテンツをつくる仕事もさせていただいたりしました。

そのような経験を積んだあと、一度会社のマネジメント業務を学んだほうが良いと考え、ベンチャー企業にてマネジメントを経験させていただきました。
その後、いよいよ自分がやりたいと思っていた、人生相談業のイメージに近い仕事であるキャリアコンサルティングの業界に入りました。
ここでキャリアコンサルティングの業務経験やネットワークを培うとともに、「この業界ではどのようなトラブルが起こり、どのように対処すればよいか」といった細かい業界知識も習得しました。
そして2008年にコンコードを立ち上げました。

社会起業家を目指す際、経営に関するスキルが不足している方であれば、「キャリアの階段」を挟み、戦略立案のスキルやクリエイティブスキルなど、起業家としてのスキルを身に着けてからチャレンジするのがスムーズな方法です。
ただし、各ステップで所属した組織や企業には大変お世話になりますので、それぞれの組織や企業にしっかり貢献をしてからネクストキャリアに進むということは意識していただきたいと思います。

谷中:
そうですね。このチャートはシンプルではありますが、実はすごく重要なことを言っていると思います。
ちょうど先ほど私もインスパイアのイノベーターの例を少しご紹介しましたが、皆さん起業家スキルをまちづくりの中で上手に活かされていると思いますね。

渡辺:
そうですね。特に社会起業家の場合、今まで社会にないような新しいコンセプトを打ち出すため、それらを解きほぐして伝えないとなかなか社会の理解が得られません。
そこで、それらを面白く、魅力的に社会に伝えられるようにするため、クリエイティブスキルを得ることは実はかなり重要ですね。
また、自分が挑戦しようと思っている領域の業界経験やその領域に近い業界経験を通して、業界固有の知識を習得し、ネットワークをつくってから起業すると、非常にスムーズに立ち上がることができます。

もちろんこの3つのステップ全部を経験できるとは限らないですが、この3つのステップが大事なのだと意識してキャリアをつくっていただくことは大切だと思います。

谷中:
3番目のステップなしに起業へ挑戦して、失敗するケースが結構多いですよね。

渡辺:
非常に多いですね。先ほど社会起業家にはコンサル出身の方が多いという話もありましたが、コンサル出身者がいきなり会社を立ち上げると、業界経験がなくて苦労する場合が多いです。
なので、ぜひそれを意識してキャリアをつくっていただくといいと思います。
また、繰り返しになりますが、各ステップで所属した組織や企業にはきちんと貢献をしてからネクストキャリアに進むということはぜひ意識いただきたいと思います。

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#3 新しい社会起業家のかたち―個人プロフェッショナルという選択

渡辺:
あと、本日皆さんにぜひお伝えしたいのですが、起業家キャリアというのは必ずしも大きいプラットフォーム型のビジネスをつくることだけではありません。
大きく分けると、起業家キャリアには図のような3つのパターンがあると思います。

①の事業会社型は、例えば楽天さんのような、その会社のつくった仕組みや製品で価値を提供するような企業ですね。
②のプロフェッショナルファーム型は私が今やっているような、経営コンサルタントやキャリアコンサルタントなどのプロフェッショナルを育成しながら、社会を変えていこうとするパターンですね。
これは、育てたプロフェッショナルと一緒に社会を変えていくので、非常に心強い反面、その人材を育成するプロセスが非常に長いという弱点もあります。

そこで注目されているのが、③の個人プロフェッショナル型です。このパターンを選択をする方が最近増えてきています。
部下をたくさん抱えたりせずに、自分個人でメディアやネットを使って社会に対し発信する。マンパワーが必要な時は、プロ同士でアライアンスを組みながら進んでいく。
まさに谷中さんがそのような生き方をされていらっしゃると思います。

谷中:
そうですね。③のパターンに近いかもしれませんね。

渡辺:
今の時代、ネットやメディアの力を使いながら、非常にスピーディーに社会へインパクトを与えられるので、③の個人プロフェッショナル型はとても有力な選択肢となっています。
最初から、事業会社型の起業にチャレンジしようとすると確かにハードルが高いですが、個人プロフェッショナル型であれば比較的スムーズにスタートしやすいでしょう。
「起業は難しい」と決めつけずに、今こういったパターンも増えていることをぜひ意識していただければと思います。

谷中:
本日ご登壇頂いたイノベーターの方々の例で言えば、個人プロフェッショナル型をベースに事業会社型に転じているとか、個人プロフェッショナル型からプロフェッショナルファーム型に行っているなど、様々なケースがあって面白いですよね。

渡辺:
そうです。③で起業したからと言って、ずっと③でなければいけない訳ではありません。
大手ネット企業でも、②や③からスタートして①へシフトしてきたというケースも珍しくありません。
このパターンであれば、リスクが低く抑えてスタートできます。

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#4 目の前の人を全力で助け続ける―社会起業家としての生き方とは?

渡辺:
最後に皆さんにお伝えしたいことはこちらです。
社会起業家とは、この画像のような“離島の医師”のようなものだと私は思っています。

これはどういうイメージかと言うと、夕方の5時ぐらいの営業時間が終わるタイミングに、遠くから怪我をした血まみれの方が「助けてくれ」と言って歩いてきたとします。
ノルマに縛られているような営業系の会社の場合は、「もう5時だから、帰らせてもらいます」と言ったり、あるいは「今日30人患者さんを見るというノルマは達成したから、もう閉めさせてもらいます」と言ったりして帰ってしまうということが起こりうるわけです。

しかし、社会起業家の観点から見た場合、ノルマとか営業時間とか関係なく、持っているスキルや提供できるサービスによって、とにかく目の前の人を全力で助ける。
そのためだけに尽力する、という感覚を持つことが重要だと思っています。

そのような感覚を持ち、とにかく時間外だろうが何だろうが、目の前の人を自分が持っているスキルを生かして助ける。
これをコツコツ積み上げていくと、結果として大きなことが達成できる、というのが社会起業家の生き方ではないかと考えています。
戦略や事業計画を立案して、社会を変えていく展開を考えることも必要かもしれませんが、それよりもとにかく目の前の一人一人を全力で助けていく、そのような生き方こそが大切だと思います。

本日はこちらで、私の話を終了させていただきたいと思います。ありがとうございます。

(会場拍手)

谷中:ありがとうございました。大きな拍手をお願いします。
コンコードエグゼクティブグループ渡辺秀和社長にお話をいただきました。
お話し頂いたキャリア設計の考え方は、「まちづくりをどうやるのか」を考える時にもすごく大事だと私は思います。

特に起業家スキルやクリエイティブなスキルなどをもう少し具体的な言葉で言うと、「ウェブサイトも自分でつくれますよ」とか「物書きも自分でできますよ」ということだと思いますが、このような武器があるだけで、個人プロフェッショナルから起業家キャリアを始めることができ、そこから広げていけるというのは、実はすごく安定的かつ安全ですね。
それが更に広がって、「じゃあもっと人を集めよう」という話になっていくと、すごくスタートアップを始めやすい状況になって、面白いと思います。