「ハブ・キャリア」

ハブ・キャリアとは

「ハブ・キャリア」とは、さまざまな業界や職種からの参入が可能であり、さらにそこから他の業界や職種へスムーズに転身できるようなポジションを指す。世界中の航空便が発着するハブ空港のように、キャリアの“中継地点”として機能することから、この名前が付けられている。ハブ・キャリアは、コンコードエグゼクティブグループが提唱するキャリア設計におけるフレームワークのひとつで、数多くのビジネスリーダーがキャリア形成に活用したことで、広く知られるようになった。ハブ・キャリアの代表的な例としては、後述の戦略コンサルティングファームが挙げられる。

ハブ空港になぞらえた「ハブキャリア」

「経験者優遇」の壁を乗り越えるマジック

一般的にネクストキャリアは、前職までの経験に強く縛られる傾向がある。たとえば、経理職の中途採用には経理の経験者が、人事職の採用には人事経験者が求められることが多い。このような「経験者優遇」が壁となり、一般的な転職活動だけで職種や業界を大きく変えることは、非常に難しいのが現実である。
この壁を避ける手段として有効なのが、「ハブ・キャリア」の活用である。ハブ・キャリアをうまくキャリアに組み込めば、従来の職種や業界の垣根を越えたキャリアチェンジを実現しやすくなる。
たとえば、「流通業界の営業」から「戦略コンサル」というハブ・キャリアを経て、「製薬業界の経営幹部」へと転身するようなルートも可能だ。業界も職種も見事に変化していることがお分かりいただけるだろう。特に、経営幹部や経営企画、新規事業責任者、ブランドマネージャーといったマネジメント系のポジションへの転身において、ハブ・キャリアが真価を発揮する。

代表的なハブ・キャリア① 戦略コンサル

戦略コンサルが、ハブ・キャリアとして注目を集める理由のひとつは、中途採用時にポテンシャルを重視した選考が行なわれ、多種多様な業界・職種から応募が可能な点にある。「地頭の良さ」や「リーダーシップ」「論理的思考力」などが重視され、コンサル未経験者でも挑戦できるチャンスが広く開かれている。実際、経営企画やマーケティング、事業開発などの経験がなくても応募が可能で、システムエンジニアや営業職はもちろんのこと、大学の研究者や官公庁の公務員など民間企業での勤務経験がなくても良いのだ。中途採用において、ここまで幅広い業界・職種から応募可能な企業は、非常に珍しい。

そして、戦略コンサルへの入社後は、さまざまな業界の経営課題に取り組むことを通じて、汎用性の高いスキルや高度なビジネス知見を身につけることができる。その結果、戦略コンサル出身者は、事業会社の経営企画、新規事業開発、プロダクトマネジメントなどへの転身を果たすケースが多く、さらにはPEファンド投資銀行、スタートアップのCxOといった多様な選択肢にも道が開かれていく。

代表的なハブ・キャリア② 総合コンサル、シンクタンクなど

総合コンサルシンクタンクでも、さまざまな企業の経営課題に取り組む経験を積むことができる。そのため、戦略コンサルと同様に「ハブ・キャリア」として機能し、ネクストキャリアでは幅広い業界の経営幹部や幹部候補へと転身できる可能性が開かれている。

一方で、採用時の門戸についてはやや注意が必要となる。コンサル未経験者を積極的に採用している点は戦略コンサルファームと共通するが、戦略ファームと比べると、前職での職種や専門性がより重視される傾向があるのだ。

代表的なハブ・キャリア③ IT・デジタル業界の企画職

コンサルティングファームに限らず、IT・デジタル業界の企画系職種(経営企画、マーケティング、事業開発など)も、ハブ・キャリアとして注目を集めている。
急速な成長を遂げているIT・デジタル業界では、同業界内だけでは人材が不足してしまうため、異業種からの転職者を積極的に受け入れる企業が多い。特に若手層に対してはポテンシャルを重視した採用が活発に行われている。

一方で、いまやほぼすべての業界において、DXによる業務改善やAI・デジタル技術を活用した新規事業の開発が行われている。製造業がスマートファクトリー構想を進めたり、金融業界がフィンテックの強化に注力したりと、かつては非IT分野とされていた業界においてもデジタルを戦略の中核に据える動きが加速していることは周知の通りだ。

このような背景から、IT・デジタル領域での企画経験を持つ人材はさまざまな業界で引く手あまたの存在となっている。彼らは、製造業や金融機関をはじめとする大企業やコンサルティングファーム、スタートアップ、さらにはPEファンドやVCなどでも抜擢されているのだ。

ハブ・キャリアの注意点

ここまでハブ・キャリアの利点について述べてきたが、忘れてはならないのは、ハブ・キャリアは必ずしも「万能」というわけではないことだ。

まず、戦略コンサルのような人気職種に入るには、相応の準備と対策が不可欠である。採用にあたっては年齢や学歴による制限がある場合もあり、選考も難関であることが多い。

さらに、ハブ・キャリアを経てもすべての職種への転身が可能になるわけではない。経理や法務、エンジニアなどの専門職は、当該領域の実務経験の有無が大きく問われるため、異職種からの転身はハードルが高くなる。ハブ・キャリアが最も効果を発揮するのは、上述のように経営幹部や企画職といったビジネスの構想や意思決定に関わるポジションへのキャリアチェンジである。この点は念頭におくとよいだろう。

新卒は究極のハブ・キャリア

翻ってみると、日本の新卒採用では、職務経験やスキルよりも、ポテンシャルを重視されることが一般的だ。就職活動に臨む学生は、多種多様な業界・職種の中から進路を選べる。つまり、新卒は究極のハブ・キャリアとも言える。
だからこそ、新卒時の就職活動は、キャリア設計において極めて重要な節目であり、慎重に行なう必要があるのだ。

関連リンク>>
『ハブ・キャリア』で業界・職種を跨ぐキャリアチェンジを実現する」はこちらをご覧ください。

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