キャリアの自由度
「キャリアの自由度」とは、市場からの評価を背景に転職という選択肢を確保し、一つの会社に縛られずに、人生の予測できない出来事やライフイベントを乗り越える力を意味する。「キャリアの自由度」はコンコードエグゼクティブグループが提唱するキャリア設計におけるコンセプトのひとつであり、一つの企業だけでなく、発達した人材市場をセーフティネットとする考え方でもある。
「自由度の高いキャリア」が人生に安心をもたらす
現時点で自身が望んでいる仕事に携わっており、理想的な職場環境に恵まれているのであれば、転職をすることは必須ではない。しかし、長い人生を見据えると、ひとつの企業に勤務し続けるのは、決して容易なことではない。
たとえば、子供の育児や親の介護、自らの闘病などによっては、勤務先を離れざるを得なくなることもある。加えて、現代では大企業に勤務していても、リストラにあったり、海外企業に買収されたりすることもあり得る。
したがって、「ひとつの会社に居続ける」と決めつけるのはリスクが高く、いざというときには「転職できるように、備えておくこと」が大切となる。若いうちにスキルを身につけておき、いざというときには転職できる自由度を持つこと、すなわち「自由度の高いキャリア」を形成しておくという視点は極めて重要だ。
自由度の高いキャリアがあれば、どこで、どのように働くかを主体的に選ぶ選択権を持つことができる。人生における不確実性に向き合う上で、非常に役立つキャリア形成の方法だと言えるだろう。

キャリアの自由度をつくるのは「転職市場で評価されるスキル」
キャリアの自由度を左右する大きな要素は、「転職市場での評価」である。
従来は、魅力的な転職先が少なく、新卒で入った大企業に残る以上に良い選択肢が、ほとんど存在しなかった。しかし、2000年以降に日本でも転職市場が飛躍的に発達したことで、魅力的な転職先が急増した。
発達した転職市場においては、何でもマルチに70点ずつ取れるような人材よりも、1つの分野でいいので100点、もっと言えば120点を取れるような、明確な売りとなるスキルを持つことが評価される。
スキルの内容は、人事や経理、マーケティング、法務、広報などの職種はもちろん、高い営業力なども明確な売りとなり得る。
今や、豊富な経験や高い専門性を持った人材は、企業間で争奪戦となっている。従来の日系大企業では考えられないような高額の年収を提示する企業も珍しくない。どの職種を経験しているかよりも、どの程度のことができるのかというスキルの深さを重視したキャリア形成が重要なのだ。
なお、「キャリア形成=資格取得」と考えてしまう人も多いが、キャリア形成と資格取得は同じではない。
確かに、転職市場で評価されるスキルを身につけるという考え方は、「専門性を持つ」という意味では、資格を取得するという発想と似た側面がある。しかし、「資格を取得する」というキャリア形成法には、以下のようなデメリットもあるので注意が必要だ。
第一に、選択肢の範囲が狭いという点である。仮に、資格取得を必須としてしまうと、自分の就きたい仕事とフィットする資格がなかった場合に困ることになる。一定程度の難度の試験でなければ転職時に評価されず、仮に難関資格に合格しても、好きではない仕事に就くのでは本末転倒だ。
第二に、リスクを伴うという点だ。一般的に転職市場では資格よりも、実務経験の方が高く評価される傾向がある。また、経験年数を重ねることで、その評価がより高くなっていく。一方、資格試験は合格しない限り、スキルがあると認めてもらえない。つまり、資格取得を必須とすることは、リスクを伴っているという側面もあるのだ。
したがって、スキル獲得の方法を選ぶ際には、どのような方法でスキルを高めるかを決める前に、ぜひ「自分のやりたい仕事は何か」「どのようなことにライフワークとして取り組みたいのか」といった自身の価値観を把握する必要がある。その上で、自由度の高いキャリアを設計することが大切となるのだ。
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