クニエがメタバースビジネス調査レポートを公開
クニエは2023年5月、メタバースの事業化検討に携わった経験のあるビジネスパーソンを対象にメタバースビジネスの実態調査を実施し、レポートを公開した。この調査はメタバースビジネスの取り組み状況の把握と事業化の成功・失敗要因の抽出を目的としたもので、そのスクリーニング調査の結果として「事業化の成否が判明した取り組み」のうち91.9%が事業化に失敗していることが明らかになった。さらに分析対象を絞り込み、失敗事例と成功事例を比較することで「企画内容・ビジネスモデル」「検討プロセス」「組織・体制」の観点から事業化に失敗するメタバースビジネスの特徴を導き出し、13のポイントしてまとめた。また、これらの分析結果に加え、20名へのインタビュー結果とコンサルティング現場での経験を踏まえたメタバースの事業化成功に向けたノウハウを「クニエの提言」として解説している。
事業化に失敗するメタバースビジネス13の特徴を以下で抜粋する。
企画内容・ビジネスモデルにおいては既存ビジネスの延長線上の位置づけでメタバースである合理性が説明できない。検討プロセスにおいてはターゲットや課題・ニーズの明確化が不十分で、事業リスクの分析と撤退条件の設定が曖昧である。組織・体制面では「新規事業開発」「技術領域」「デジタル領域」の専門性を有する人材の不足や社内外からの支援が得られず、孤軍奮闘を余儀なくされるなどが挙げられる。
調査結果およびコンサルティング実績から導き出したクニエの提言を以下に抜粋する。
1. メタバースに取り組む意義を見つめ直し、不明確なら撤退を視野に入れる
日本企業はメタバースを”魔法の杖”のようにとらえ、メタバースに取り組むこと自体を目的化しがちである。メタバースは手段であり、手段の目的化を避けるためにも自社が取り組む意義を検討する必要がある。意義がない場合はメタバースからの撤退も検討されるべきだ。
2. ユースケース起点ではなく、顧客の課題・ニーズ起点で検討する
多くの企業がユースケース起点で検討を進める傾向があるが、市場のニーズとのずれが生じ、ユーザーにとっての価値が見い出せないサービスとなる可能性が大きい。まず、顧客が抱える課題やニーズへの理解を深めたうえでメタバースを用いた提供価値を検討することが重要だ。