EY「最新のグローバルバンク リスク管理調査」サイバーセキュリティの懸念が明らかに
EYと国際金融協会(IIF)が行った最新のグローバルバンクリスク管理調査によると、世界的に過去に前例がない不安定かつ不確実な現状が続くなか、世界の金融機関が考える近い将来のリスクの1位にサイバーセキュリティが浮上したことが分かった。この調査は今回で12回目となり、最高リスク管理責任者(CRO)を対象に世界30か国の金融機関88行から得た調査結果をまとめたものである。
今回の調査に回答したCROの4人に3人(72%)が最大の懸念事項としてサイバーセキュリティリスクを挙げ、信用リスク(59%)が続く。昨年の調査では信用リスクに関心が集中していたが、今年は欧州・アジア太平洋のCROの間で信用リスクの関心が顕著になっている。この1年間、地政学リスクの高まりによって波乱含みの経済に新たな不確実性が加わり、地政学リスクの関心は前回調査との比較で最大の伸びを記録した。2022年2月に始まったウクライナをめぐる緊張の影響は欧州系金融機関のCROのリスクアジェンダに最も強く反映された。地政学リスクは地域により関心の強さが異なり、北米の70%のCROが国家間サイバー攻撃を懸念しており、欧州の46%を大きく上回った。
アジア太平洋地域では78%のCROが世界における中国の役割に注目し、67%が世界の貿易環境で起きている変化に強い懸念を示している。このように地域差はあるものの、59%のCROは地政学リスクによる市場ボラリティが市場リスクへのエクスポージャーに与える影響は「重大」または「中~高程度」との見解を示している。また、サイバー攻撃に対する防御能力に関する不安を抱えており、今後3年間の戦略的脅威として58%がサイバーセキュリティリスクへの対応能力不足をトップにあげている。地政学リスクから生じるサイバー攻撃の増加を懸念するCROは昨年の39%から61%に急増した。