ベイン・アンド・カンパニー「日本の製造業がグローバルに競争力を取り戻すためには」セミナ―概要
ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)は「ベイン・アンド・カンパニーからの提言 日本の製造業がグローバルに競争力を取り戻すためには」と題したプレスセミナーを2023年1月27日に実施した。
2023年における日本の製造業は過去40年で最大のインフレや、サプライチェーンのリスク、日米金利格差等、多くの課題に対応する必要がある。しかし、この危機を好機ととらえ、「攻め」と「守り」の両面での行動をとることでグローバルにおける競争優位性を獲得することが可能だ。セミナーでは、今後の製造業においてハードに頼った事業モデルは陳腐化すると前置きし、差別化の舞台はハード面からソフト面へ移行すると指摘した。日本の製造業における過去の競争ルールは「より高度に」「より速く」「より壊れにくく」「より安く」といったハードの性能進化による差別化であった。しかし、ハード面での差別化は限界に近づき、これからの競争ルールは「ソフトウェア・システム構築力」「業界固有ソリューション」「新たな事業・収益モデル」の3つに移行していく。
また、セミナー内では製造業のソリューション化のヒントとしてESGへの投資が挙げられている。温暖化ガス排出ネットゼロの実現に向け、製造業企業が取り組むべき3つの優先課題を提示した。第一にあげられるのが「循環型事業の取り組むの加速」だ。排出量ネットゼロに向けて製造業は自社内での削減だけでなく、関連企業の削減へのアクションを行う必要がある。次に、売り切り型から"as-a-Service"事業モデルへの移行を加速させる「サービス型事業モデルの拡大」を挙げた。遠隔監視の活用による予防保全や買い替え時の下取り、再販といった循環型サービスをビジネスモデルに取り入れていくことが重要になっている。最後に、「希少材料の調達源の確保」だ。地政学に左右されない調達源確保や、特定の希少材料に依存しない製品の開発は、自称継続性の観点から強く求められている。