【三菱総研インタビュー】シンクタンクの「知的基盤」とコンサルティングの「経営支援」――“社会と企業の両方を支える”プロフェッショナル

MRIが手がけるプロジェクトや、その第一線で活躍する人材への関心も高まっています。
本インタビューでは、ビジネスコンサルティング本部とDXコンサルティング本部をそれぞれ率いる2名の本部長にご登場いただき、MRIならではのコンサルティングの強みや、求める人物像などについてお話を伺いました。
Index
#1 「社会課題を見据えた事業支援」――本部長が語るプロジェクトの醍醐味
コンコードエグゼクティブグループ(以下、CEG)小寺御社は、日本を代表する総合シンクタンクとして長年にわたり信頼を築いてこられました。近年では、その知的基盤を活かし、コンサルティング領域においても活躍の場を広げられています。
一方で、コンサルティング領域の具体像、特に民間支援については積極的な発信が難しいこともあり、今回は本部長のお二人にプレミアインタビューのお時間を頂きました。
まずは、お二人の自己紹介をお願いいたします。
三菱総合研究所 西山聡彦様(以下、MRI西山)ビジネスコンサルティング本部の西山と申します。
入社当初は官公庁向けのプロジェクトに多く関わっていましたが、近年は民間企業向けの経営戦略領域のコンサルティングを多数リードしています。業界は幅広く、製造・物流・商社・金融・サービス業など、さまざまな企業の課題に向き合ってきました。
多様な分野のプロジェクトに関与できることは、MRIの大きな魅力の一つだと思っています。本日も、実際のプロジェクト経験に基づいて、リアルなお話をお伝えできればと思います。
三菱総合研究所 ビジネスコンサルティング本部長 西山 聡彦氏
三菱総合研究所 中西祥介様(以下、MRI中西)DXコンサルティング本部の中西です。
私は、民間企業向けのプロジェクトに継続して携わってきました。製造・流通・商社・金融など、業界は幅広く、テーマも多様です。
MRIの特徴の一つは、官民の領域をまたいでプロジェクトに取り組める柔軟性にあります。私は民間領域をメインにリードしていますが、政策提言や社会課題の解決といった公共のテーマにも関与することができ、クライアントは民間でありながら社会課題をしっかり見据えられることが特徴だと思っています。
三菱総合研究所 DXコンサルティング本部長 中西 祥介氏
CEG小寺製造や金融、商社といった多様な民間企業に社会課題を見据えた支援をされているのですね。直近のプロジェクト事例をぜひ教えていただけますでしょうか。
MRI西山私からは、2つの事例をご紹介したいと思います。
まず1つ目は、企業のカーボンニュートラル対応に関するプロジェクトです。多くのクライアントが脱炭素に課題を感じていますが、私たちはサステナビリティ対応を「単体の支援」として捉えるのではなく、たとえば中期経営計画や経営ビジョンといった経営の根幹と結びつけながらご支援することが多いです。
直近では、ある企業様に対して、脱炭素を軸にした経営戦略の策定支援を行いました。経営全体の構想のなかに、自然とサステナビリティの論点を組み込んでいく。こうした統合的なアプローチが、私たちMRIの強みであると感じています。
カーボンニュートラルのプロジェクトは、文字通りの「対応」のみに留まりません。脱炭素をチャンスと捉え、新たな事業創出の支援にもつながっていくケースも増えています。サステナビリティを戦略レベルで捉えるという意味で、象徴的な案件でした。
2つ目は「将来を見通す」というMRIらしさが色濃く出た事例です。
私たちは社内で「インテリジェンス」と呼んでいますが、10年後、20年後の世界をどのように見通し、どのように意思決定へ落とし込むかというテーマに取り組んでいます。
ある商社様やメーカー様に対し、地政学リスクなどを含むマクロな動向を可視化し、複数のシナリオを策定した上で、それに応じた経営判断を支援するプロジェクトを実施しました。生成AIを活用した効率的な情報収集・モニタリングも行い、未来の兆しを読み解く土台をつくっています。
短期的な対応だけでなく、未来に向けた備えや機会を企業と共に考えること。それが、シンクタンクであるMRIのコンサルティングの存在意義だと考えています。
CEG小寺サステナビリティ支援のプロジェクトは、具体的には、どのようなきっかけでプロジェクトが始まるのでしょうか。
CEG ディレクター 小寺 礼香
MRI西山サステナビリティ関連のご相談は、実にさまざまなルートからいただいています。
特に社会課題への対応を検討されている企業様からは、「MRIといえば、サステナビリティといったテーマに強い」というご評価をいただいているようです。
中期経営計画や経営ビジョンの策定を進める中で、「社会課題への対応をどのように戦略に落とし込むか」という観点から、私たちに直接ご相談いただくケースがよくあります。インフラ企業や規制業種の企業といった、パブリックな色彩の濃い業種ほど、MRIへの期待も相対的に大きいと感じています。
CEG小寺ありがとうございます。中西さんはいかがでしょうか。
MRI中西私からも、民間企業向けのDX支援を中心に、2つの事例をご紹介します。
1つ目は、ある製造業のお客様とのプロジェクトです。
DXというと、ツールの導入から始まる印象が強いかもしれません。しかし、私たちはまずDXを活用した経営や事業のビジョンを明確に描くことから始めます。2030年・2040年の姿を見据えたうえで、「どのように変革するか」をともに設計し、実行へと落とし込んでいくのが、私たちのスタイルです。
このプロジェクトでは、既存システムの見直しに加え、人材育成、組織文化の変革、業務の標準化など、全社横断での取り組みを支援しました。
ものづくりが起点となる企業ではありますが、営業や製造、アフターサービスなど、バリューチェーン全体にまたがる課題を一貫して捉え、生成AIなどの最新技術をどのように各部門に展開していくかを検討する必要がありました。
単なるツール導入ではなく、「どのような仕掛けをどのように設計するか」「どの部門とどのように連携を促すか」といった点も含めて、現場の声や創造的な働き方を尊重しながら、変革の全体像を丁寧に計画・推進しました。
2つ目は、電力分野の案件でした。
こちらは「半官」的な性格のあるプロジェクトで、全国の電力調整を担う機関様の業務変革を支援した事例です。社会インフラを支えるプラットフォームに対し、どのようにシステムを刷新していくかという、戦略的な内容でした。
このプロジェクトで扱ったのは、国内電力会社の間で行われる「電力融通」と呼ばれる仕組みです。これは、ある地域で電力が不足した際に、余裕のある他の地域の電力会社から送電してもらうことで、全国の電力供給を安定させるというものです。
たとえば猛暑で一部地域の電力需要が急増した際、他の地域から電力を回して全体の需給バランスを取るといった、広域的な調整機能が求められます。
こうした高度な制度とシステムを支えるには、多額の投資が伴う仕組み変更が必要でした。そのため、制度面から見込まれる影響を見据え、複数のステークホルダーと調整を重ねながら提言も行い、プロジェクトを進めていきました。電力会社各社との関係性も含め、日本全体の仕組みづくりに関わる醍醐味を感じられた事例でした。
#2 若手を信じ、若手に任せる――成長と挑戦を支える「懐の深さ」
CEG髙木お話をお伺いしていて、社会全体に与える影響力の大きさに圧倒されました。このような壮大なプロジェクトに、若手メンバーはどのような形で関わっているのでしょうか。
CEG 主席エグゼクティブコンサルタント 髙木 月人
MRI西山当社では若手の育成を非常に重視しております。
特に入社して数年の間は、あえて多種多様なテーマやプロジェクト、クライアントに関わってもらうようにしています。特定分野に絞るのではなく、広く経験を積むことで、視野を広げ、柔軟な思考を育むことが狙いです。
また、チームとしての一体感も大切にしており、先輩から若手までが一丸となってプロジェクトに取り組む文化があります。
そしてもう一つの特徴が、比較的早い段階からプロジェクトリーダー(PL)を経験できる点です。
大きな案件から比較的コンパクトな案件まで幅広く手がけているため、若手でも責任ある立場でプロジェクトをリードする機会が得られます。30代前半でPLを担う方も少なくありません。若いうちからお客様と直接向き合い、マネジメントを任せられることは、プレッシャーであると同時に、大きな成長の糧になっていると感じます。
CEG髙木若手のうちに多様な経験を重ねてもらうなかで、自分なりの関心や専門性を伸ばしていく育成方針なのですね。若いうちにPLを務めることで、リーダーシップも身につく、と。
MRI西山おっしゃる通りです。MRIには、自分のやりたいことを主体的に追求している方が多く、責任を持って仕事に取り組むのであれば、個々の裁量も尊重される風土があります。
CEG髙木若手の方は通常、どのくらいの数の案件を並行して担当していらっしゃるのでしょうか。
MRI中西私の所属するDXコンサルティング本部では、クライアントとの綿密なコミュニケーションが求められる案件が多いこともあり、1人あたり2〜3件を同時に担当しているケースが多いです。そのうちの1つは大型の案件で、あとの1〜2件が中小規模という構成が一般的ですね。
MRI西山ビジネスコンサルティング本部でも、およそ3〜4件を並行して担当している方が多い印象です。
ただ、最近の傾向としては、プロジェクトの大型化が進んでおり、お客さまの企業に常駐するようなケースも増えています。常駐といってもフルタイムではなく、週2〜3日といったスタイルで、少人数で深く入り込むかたちです。若手のメンバーでも常駐の機会が多く、お客様の中で業務をすることで学びがあるとともに、実際にお客様から高い評価をいただいています。
CEG小寺常駐先は、例えば経営企画部などでしょうか?
MRI西山企画部門に常駐するケースもあるものの、より現場に近い部署と連携しながら支援を行うことも多いです。クライアント側で不足している専門性を、私たちが補うかたちで関わることも少なくありません。
たとえば、エネルギーや食農といった特定の分野に強みを持つメンバーがプロジェクトに参加し、お客様と一体となって課題解決に取り組みます。このように専門性を現場で発揮できる点も、当社ならではの特徴です。
MRI中西「シンクタンク」と聞くと、少し距離を置いてアドバイスをするようなイメージを持たれるかもしれません。しかし、私たちの仕事はむしろ「伴走型」です。お客様と同じ目線で課題に向き合い、ともに悩み、考えながら、解決に向けて一緒に進んでいく――そのようなスタイルが圧倒的に多いと感じています。
#3 「このテーマなら、ぜひあの人に」――シンクタンク×コンサルの総力結集
CEG小寺「専門性を備えた伴走者」という御社ならではのスタイルが伝わってきました。専門性という強みを生かすために、他部門と連携する機会も多いのでしょうか。
MRI中西はい、非常に多いです。最近のプロジェクトはテーマ自体が高度化しており、1つの部署の知見だけでは対応しきれないケースが増えています。そのため、部門を超えたチームで支援を行うことが一般的になってきました。
MRIには、昔から部署横断で助け合う文化があります。「この案件では、この知見が足りない」となれば、すぐに他部門に協力を仰ぐ。自然と補完し合う仕組みが根づいているのだと思います。
MRI西山新規事業開発のプロジェクトでは、扱うテーマによって求められる専門性が大きく異なります。そのため、医療・ヘルスケア・エネルギーなど、それぞれの分野に強みを持つ社内の様々な部門の専門家に参画してもらいながら、私たちコンサルティング本部がPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)としてクライアントに向き合い、全体をリードします。
このように、戦略の構想から実行支援までを一貫して担える体制を整えられるのは、社内に多様な知見を持つ人材が揃っているMRIならではの強みです。そして、そのような社内連携を軸に動かせる点こそが、コンサルティング部門で働くことの大きな魅力だと感じています。
CEG小寺お客様から、御社の持つ調査・分析力と実行支援力を融合したサポートに、大きな安心をお感じいただけるかもしれないですね。
MRI西山まさに、クライアント企業からも高い信頼をいただいています。実際、シンクタンク部門が発表したレポートや提言をきっかけに、「自社の経営や事業にどのように活かせるか」といったご相談をいただくことも多くあります。1つのテーマの依頼を受け単発で動くだけでなく、自らの知見を起点に、企業との共創を進めていくことができる――それがMRIの大きな特徴であり、強みだと考えています。
CEG小寺コンサルティング部門とシンクタンク部門の間での異動もあるのでしょうか?
MRI西山専門性やキャリアの志向を踏まえて、「この方にはこちらの部門がよりフィットする」という判断があれば、部門をまたいだ異動もあります。
CEG小寺シンクタンクとコンサルティングの両輪で、社会と企業を動かしていくようなダイナミズムを感じました。御社ならではの組織横断の連携体制ですね。
#4 アイデアが芽生える自由タイム――「FC時間」という知の余白
MRI西山ダイナミズムを育む他の取り組みとして、私たちには「FC時間」と呼ばれる制度もあります。これは、通常の業務とは別に、自分の関心のあるテーマについて仲間と自由に探究できる時間で、個人でもチームでも使い方は自由。中にはこの活動を通じて、新たな組織や事業に発展していった例もあります。
たとえば、「食と農(食農)」の分野に取り組んでいるチームは、まさにFC時間を起点に生まれたチームです。当初は関心を持つメンバー同士で始まった小さな活動でしたが、次第に取り組みが本格化し、今では、社内を代表する分野の一つとなっています。
MRI中西制度として会社が予算を付けて推進する場合もありますが、それとは別に、若手メンバーが自発的に立ち上げる研究会も多いです。年次や部署を超えて有志でつながることができるため、そこから新しいテーマが芽生えたり、組織横断のつながりが生まれたりと、副次的な価値も非常に大きいと感じています。
CEG小寺FCとは、何の略でしょうか。
MRI中西フューチャー・クリエーションです。
MRI西山FC時間の使い方に縛りはありませんので、個人でじっくり思索するのもよし、仲間と議論するのもよし。将来を見据えて自由に考え、形にしていくための貴重な時間になっています。
#5 無理をさせないチーム――柔軟な仕組みと人のあたたかさ
CEG髙木本当にユニークで理想的な職場環境だと感銘を受けました。
部門間の垣根が低く、テーマや領域を超えて挑戦できる機会に恵まれている一方で、「手を挙げれば挙げるほど業務が増えてしまうのではないか」といった懸念を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
そのような中で、皆さんはどのように働き方のバランスをとっていらっしゃるのでしょうか。
MRI中西一定の年次以上になると裁量労働制となり、繁閑のバランスは自分で調整できる部分が大きくなります。ただ、「あれもこれも」と取り組んでパンクしそうなメンバーがいれば、マネージャー側からしっかり止めるようにしています。
たとえばDXコンサルティング本部では、直属のグループリーダーが月1回以上、1on1ミーティングを実施しています。私たち本部長クラスも、半期に一度は全メンバーと対話の時間を設けています。
個々の裁量が大きいからこそ、悩みや迷いにも寄り添える体制を整えています。
MRI西山MRIには、「やりたいことがある人にはとことん挑戦できる環境」があります。その反面、好奇心旺盛な方ほど、あれもこれもと手を広げすぎてしまい、気づけば収拾がつかなくなってしまうケースもあります(笑)。そのようなときには、「一度優先順位を整理しよう」といったアドバイスをしながら、適切なバランスをとるよう支援しています。
CEG小寺好奇心を発揮し、収拾がつかなくなりそうな時に助けていただけるのはありがたいですね。
具体的な働き方、たとえば残業時間の目安などはいかがでしょうか。
MRI西山もちろん、時期やプロジェクトによって変動はありますが、平均的には月20~30時間ほどが目安になるかと思います。
MRI中西繁忙期には一時的に増えることもありますが、長期的に見るとバランスの取れた働き方を実現できていると思います。
CEG小寺非常に健全ですね。育児休業や時短勤務などの制度運用についてはいかがでしょうか。
MRI中西育休については、男性・女性ともに取得できる制度が整っており、実際に多くのメンバーが取得しています。申し出があれば、むしろ「ぜひ取ってください」という雰囲気です。
MRI西山時短勤務の方も複数いますし、周囲のメンバーがしっかりと配慮してサポートしています。クライアント企業との打ち合わせなども発生しますので、毎日が完璧というわけではありませんが、助け合う意識が非常に根付いているのが当社の大きな特徴です。
結局のところ、最大の魅力は「人間関係」だと思っています。お互いの状況を理解し、自然と助け合える風土がある。だからこそ、多様な働き方が実現できていると思います。
CEG小寺助け合う意識が根付いていると、長期活躍しやすいですね。
働き方についてもお聞かせいただけますでしょうか。
MRI中西プロジェクトや会議の内容に応じて、出社とリモートを柔軟に使い分けています。
対面での議論が必要な時は出社し、状況に応じて無理なく働ける環境が整っています。
CEG髙木 働きがいと働きやすさの両立ができる環境で、今後さらに人気が高まりそうだと感じました。
#6 経営企画職や三菱グループへの出向も――30代以降の多様なキャリアパス
CEG小寺キャリアパスについて、特に30代以降はどのようなイメージになりますでしょうか。
MRI中西当社では、30代でプロジェクトリーダー(PL)を経験する方が多いのですが、最初のPL業務は「育成PL」という位置づけで、必ず先輩が伴走します。PLとしての型や進め方を学びつつ、徐々に自分のテーマや業種、専門性、スキルなどを深めていくことを大切にしています。
コンサルタントの仕事は、プロジェクトリーダーの力量に大きく影響されます。だからこそ、早い段階から「自分が何のプロフェッショナルとして選ばれるか」を意識し、専門性を確立してもらうことが重要だと考えています。
そして40代が近づく頃には、若手の育成やテーマ開発、新たなサービス立ち上げなどにも関与していただくようになります。世の中のニーズやトレンドに目を向けながら、自ら変革のテーマを打ち立てていく、そういったキャリアも自然に形成されていくイメージです。
MRI西山私たちの育成方針は「まずは多様な経験を積み、自分の軸を見つけること」。小さめの案件からプロジェクトリーダーとしての経験を積み、徐々に大きな案件を担っていきます。
PLを担う中でリードするプロジェクトが少しずつ大きくなり、チームメンバーを持ち始め、自ら営業も担いながらプロジェクトを推進していく立場になります。当社では、事業の現場にいるコンサルタントが営業と案件遂行の両方を担当することが基本となっています。若いうちからお客様との信頼関係を築く経験を積む機会があります。40代くらいを目安に、複数のお客様と長期的な関係を築き組織を牽引するようになります。
ただし、キャリアの進み方は一つではありません。プロジェクト推進に強みを持つ方もいれば、営業、研究提言、社内マネジメントにシフトする方もいます。それぞれの志向に応じた「複線型のキャリア設計」を応援できる環境があります。
CEG小寺コンサルティング以外の部門に異動されるかたも一定数いらっしゃるということでしょうか。
MRI西山ビジネスコンサルティング本部はクライアント企業の経営企画部門向けのコンサルティングを多く手がけていることもあり、自社の経営企画部署への異動機会があります。
他に、グループ会社への出向など、色々なポジションで活躍しているOB・OGがいます。プロジェクトリーダーを経験した後、こうしたキャリアに進むケースが増えています。
出向のパターンとしては、いわゆる業務提携に近いかたちで事業を推進する場合(業務出向)もあれば、人材育成を目的としたローテーションプログラムの一環という場合(育成出向)もあります。クライアント企業や三菱グループの企業に1~2年ほど赴任するケースが多いですね。
MRI中西どうしてもコンサルティング業務だけでは得にくい、事業を動かすリアルな「手触り感」や現場感覚を体得する機会としても、出向は非常に有効です。本人の希望で挑戦することも多く、帰任後にはその経験が、お客様との対話や提案の質にも活きてくると感じています。
MRI西山実際、事業の現場で事業運営の難しさやリアルな課題に向き合って戻ってきたメンバーは、クライアントに対する理解も格段に深まっていて、コンサルタントとしての総合力が大きく向上しています。このような出向制度は、社内でも人気のあるキャリアパスのひとつになっています。
CEG小寺クライアント企業から御社に出向されることもあるのでしょうか。
MRI西山あります。当社でコンサルティング経験を積んでいただき、互いの関係性をより深めるという狙いです。そのような人材交流を通じて、企業間の信頼や共創の土壌が築かれていくのを実感しています。
#7 “新卒メイン”は過去の話――キャリア採用が半数超
CEG小寺シンクタンクは新卒が多いというイメージをお持ちの方もおられまして、実際のキャリア採用の状況はいかがでしょうか?
MRI西山私が入社した頃は、本当にキャリア採用の方は数えるほどでしたが、今はもう全く違いますね。気づけば、キャリア採用が5割を優に超えており、むしろプロパー社員の方が少数派になっている状況です。当本部だけでなく、会社全体としてもキャリア採用が主流になりつつあります。
CEG小寺10年20年をかけて、大きく変化されたのですね。
MRI西山はい。組織としても多様なバックグラウンドを持つ方々の受け入れに慣れてきており、キャリア採用者が活躍しやすい環境が整っています。
CEG髙木「理系の方が多い」という印象もありますが、文系出身の方もいらっしゃいますか?
MRI中西もちろんです。文理はほぼ半々という印象ですね。キャリア採用の方については、特に偏りは感じていません。
MRI西山私自身も文系ですし、ビジネスコンサルティング本部には文系出身者も多いです。ビジネスやDXのコンサルティング本部では、他の本部に比べて文系の方が多いかもしれません。
30代で入社される方は事業会社出身の方も多く、早い方であれば、入社から半年ほどでプロジェクトリーダーを担うケースもあります。もちろん、全員がそうというわけではなく、まずはコンサルティングに慣れていただいてから、無理なくPLにチャレンジしていただいています。
MRI中西初めてコンサルティングに挑戦される方でも、まずはプロジェクトに参加しながら業務の流れを体感していただきます。そのうえで自信がついてからPLに就任するというのが基本的な流れです。育成的な視点を重視している点は、当社ならではだと思います。
MRI西山意欲があり、実力を発揮できる方には早めにリーダーを任せていく方針ではありますが、「専門性を早く身につけなければ!」と焦る必要はありません。むしろ、コンサルティングの現場に慣れることや、クライアントとの対話に慣れることを重視しています。
CEG小寺社内にプロフェッショナルがたくさんいらっしゃる環境で、専門性も自然と磨かれそうですね。
MRI中西その通りです。自分に不足している専門知識は、チーム内で補えます。だからこそ大事なのは、コンサルタントとしての「思考のスタイル」です。
当社では、「言われたことを正確にやる」だけでは足りません。クライアントが抱えている本質的な課題を自分なりに捉えて、「このような解決策があります」と提案していく。それが、我々の求めるコンサルタント像です。
MRI西山実際に、社内には豊富な知見を持ったメンバーがそろっています。「自分に足りないところがあれば、誰に聞けばいいか」が分かっていれば、安心して仕事に取り組めます。
#8 指示待ちではなく自ら仕掛ける――MRIが求める「未来志向の挑戦者」
CEG小寺最後に、御社にご関心をお持ちの方に向けて、メッセージを一言ずつお願いできますでしょうか。
MRI西山まずお伝えしたいのは、私たちが大切にしているのは「仲間を大事にする」という姿勢です。クライアントの課題解決に向けて、チームで一体となって動いていく。そのプロセスにやりがいを感じる方には、きっと居心地の良い職場だと思います。
もう一つは、自律的に動ける人に向いているということ。誰かに言われて動くのではなく、自ら仕事を見つけ、仕掛けていける自由度の高さがMRIにはあります。若手でも意欲次第でプロジェクトリーダーを任されることもあり、多様な挑戦のチャンスが広がっています。
そして最後に、なぜ「シンクタンク×コンサル」なのかということです。私たちは常に10年、20年先を見据えて社会の変化と向き合い、その中で企業がどうあるべきかを考え抜いています。そのような長期視点で、企業とともに歩み、社会全体の進化に貢献したいと考える方に、ぜひMRIの仲間に加わっていただけますと幸いです。
MRI中西私からも補足をさせてください。MRIのお客様は、非常に根の深い課題を抱えていらっしゃることが多いです。だからこそ、クライアントと誠実に向き合い、理解し、共に並走する姿勢が求められます。
そのため、仲間との協働だけでなく、クライアントとも一緒に走り抜ける覚悟が必要です。そして、簡単な「正解」を急がず、本質を探り、意味のある変革を提案できる人。それがMRIに合う人材だと思います。
また、当社は自由度が高い分、自分で考え、自分で動くことが求められます。最初は迷っていても構いませんが、「自分はどのようになりたいか」「何を実現したいか」といった自立的な姿勢を持てる方にとっては、非常にやりがいのある環境だと思います。
逆に、明確な指示やマニュアルを求める方にとっては、少し難しさを感じるかもしれません。だからこそ、自分の意思を持って前に進める方と、一緒に未来を創っていけたら嬉しいです。
CEG小寺キャリア採用を含め、幅広い方に門戸を開きながら、多様な人材が活躍できる柔軟な環境が整っていること、そして「未来志向で社会と企業の両方を支える」という使命感の強さが、ひしひしと伝わってまいりました。本日は、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
編集後記
「社会課題を見据えた事業支援」という言葉に表されるように、MRIは10年後、20年後の将来を見据えながら、企業の経営判断や事業創出を支援しています。日本全体の仕組みづくりに関わるようなプロジェクト事例も印象的でした。
プロジェクトとの関わりかたについても、マルチアサインで広く経験機会のある中で、比較的早い段階からプロジェクトリーダーを経験できることも、メンバーの成長と挑戦を支える「懐の深さ」と言えるのではないでしょうか。
また、組織のダイナミズムを育む取り組みとして「FC時間」と呼ばれる制度についても初めてお伺いしました。関心のあるテーマについて仲間と探究できる、知の余白のある自由さを感じました。
MRIは働き方の自由度が高い分、自律性や「仲間を大切にする」姿勢も重視しています。クライアントが抱えている本質的な課題を自分なりに捉え、社内のプロフェッショナルから知見を得ながら、意味のある改革を支援したいという志を持つ方に、おすすめです。