PwCがグローバル投資家意識調査2022を発表
PwCは2022年12月、グローバル投資家意識調査2022を発表した。この調査により、投資家は限定的な情報源から複数の優先事項を重視していることが明らかになった。投資家は今後1年間にビジネスが直面する最大の脅威としてインフレ(67%)とマクロ経済のボラティリティ(62%)を上げつつも経営陣が引き続き気候変動問題に対応することを望んでいることが明らかになった。調査対象の投資家のうち、44%が気候変動問題への取り組みはビジネス上の優先事項のTOP5に入ると考えており、これは労働者の健康と安全の保護(27%)や従業員の多様性と包括性の向上(25%)等の社会的なESG関連の課題よりも高くなっている。
投資家たちは多様な優先事項を挙げている一方、企業のサステナビリティ報告に対する信頼は低下している。投資家は企業の報告書には企業の持続可能性に関する実績について根拠のない報告があると考えており、回答者の78%は「根拠のない主張」が一定の大きさ以上であると考えている。また、ESG格付け機関からの情報は信頼の溝を埋めるには至っておらず、格付け機関の情報を使用していると回答した投資家はわずか22%にとどまった。
投資家の気候変動への関心の高さはビジネスにとって強みになるという考えに基づくものだ。調査対象の64%は投資収益の増大を目的としてESG投資に注目していると回答し、68%が「投資収益を守ること」が動機と回答。この傾向は、気候変動問題がビジネスに対する潜在的な重大なリスクとして認識されていることを反映している。企業が今後1年間で気候変動に関連するリスクにさらされる危険が高いと考えているのは22%にのぼり、今後10年間を展望すると37%に達する。さらに今後10年を展望すると、エネルギートランジション(転換)の重要性は技術革新の重要性とほぼ同程度になると考えられており、この傾向が続けば企業の収益性に大きな影響を与える可能性は高いとみられている。66%の投資家は企業は「事業やその他の活動が社会に及ぼす影響」の金銭的価値を明示する必要があり、それがビジネス判断の経済インパクトの理解の一助となるとしている。投資家にとって、サステナビリティ報告書が信頼できるものであることは非常に重要である。