マーサーが昇給・リスキリング・キャリアに関するスナップショットサーベイ結果発表
マーサー・ジャパンは2023年3月、昇給・リスキリング・キャリアに関するスナップショットサーベイ結果を発表した。
インフレが進む現在、各企業の昇給に関する動向への関心が高まっている。また、昇給を継続的なものとするために重要な労働市場の構造的改革実現のため、個人のリスキルやキャリアの自律促進にも高い注目が集まってきた。昇給は個別企業の人事政策にとどまらず、日本企業の競争力強化につなげていくための重要な経済政策のひとつである。今回の調査では、賃金、リスキリング・育成、異動・社内公募、人事制度、制作という7項目を設けた。2023年2月14日から28日にかけてスナップショットサーベイを実施し、174社からの回答を得た。
調査によると向こう1年間で賃上げを検討している企業は回答企業の約半数に上る。一方、定期昇給を含めた賃上げの平均値は3.0-3.5%と推定され、消費者物価指数の前年同月比上昇率の4.3%と比較し、劣後する。また、リスキリングが必要と考える企業は77%に上る一方、従業員のリスキルのための予算を増額する企業は全体の28%、研修や再配置等の具体的施行を行った企業は23%にとどまる。リスキルの必要性を認識しながらも多くの企業で具体的な取り組みは行われていない。管理職の人事制度について、「ジョブ型」「どちらかというとジョブ型」「ジョブ型とメンバーシップ型のミックス」という企業は全体の52%であるが、一般従業員では34%にとどまる。「本人主導の異動(会社主導だが本人の同意をとるまたは会社と本人の同意をとる)」が実施されている企業は30%にとどまった。社内公募制度は回答企業の66%で導入されているが「公募を利用した異動が活発に行われている」企業の割合は26%である。全体的に多様な制度導入は進んでいるが、個人のキャリア自律の本格的な実現には多くの企業で課題が山積していることがわかる結果となっている。