マッキンゼー、現代に求められる「ITレジリエンス」に関する記事を公開
2023年の全国銀行データ通信システム障害を受けて、金融機関におけるシステムの安定性に注目が集まっている。マッキンゼーは、システム障害を完全に防ぐことよりも、その影響を最小にとどめ、迅速な復旧を可能にする「ITレジリエンス」の強化を重要視している。
ITレジリエンスは、障害が広範囲に拡大した要因や、原因究明に時間を要した背景を含め、障害発生後の対応力の向上を目指す概念である。レジリエンスの強化において、システム障害の規模ではなく顧客への影響を最小化することが求められるという。
記事は、日本においてITレジリエンスが未だ脚光を浴びていない要因を分析した。第一に、金融機関のシステムの開発と運用について、プロセスが必要な事業部間で連携されていないことが挙げられる。第二には投資面の課題がある。レジリエンス強化は定量化しづらく、予算を取りにくいとされる。第三に、金融機関のシステム運用を担うSIer側に経済的動機が乏しいことが挙げられた。
マッキンゼーは金融機関に対し、システム構築をSIerに任せきりにするのではなく、顧客との接点を活かした経営判断を自ら行うべきであると結論付けた。