【EY/M&A調査レポート発表】世界のCEOの半数「最も困難な事態への備えとしてM&Aを検討」
EYは2022年11月、最新のM&Aに関する調査レポート「The EY CEO Outlook Pulse October 2022」を発表した。この調査によると、世界のCEOは現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの余波と地政学的な緊張の高まり、インフレという三重の脅威に対して対応する方法を積極的に模索している。
この調査はグローバルに活躍する企業、760名のCEOからの回答をもとに今後の見通し、課題、ビジネスチャンス等に関する意識を調査したものである。この結果43%のCEOがパンデミックに関連する混乱が自社のビジネスにとって最大のリスクであると認識していることが明らかになった。これはアジア太平洋地域で48%と、北・中・南米の43%、欧州の41%と比較し、最も強く表れている。また、35%が地政学的な緊張、34%がインフレを自社の業績と成長に悪影響を及ぼすものと回答した。
地政学的な緊張の高まりにより、回答者の95%が投資計画と事業の再構築を行っている。
この調査によると地政学的リスクの状況改善まで、計画されていた投資延期(43%)、自社のサプライチェーン再構成(40%)、事業資産移転(39%)などを実施。さらに、回答者の3分の1が特定市場での既存事業の撤退、計画されていた投資の完全中止。一方、日本企業においては過去12か月に予定していたM&A中止の直接的原因として地政学的情勢(20%)よりもパンデミックによる混乱(40%)の影響を上げている。
今後6か月間の困難な状況を乗り切る為の主な対応策として、顧客を引き付けるためにすべての製品とサービスのコアな部分としてサステナビリティを構築する(39%)こと、テクノロジーを駆使して顧客ロイヤルティーを向上させる(34%)ことが挙げられている。日本企業のみに絞った結果においては他事業への投資のための資本売却がサステナビリティ構築と同率(40%)という結果となり、次いで新たな成長のための隣接セクターの買収が続いた。日本企業は隣接セクターの買収を次のトランザクションの最重要ドライバーとして挙げている。
また、半数以上の52%が次年に買収実施を計画しており、さらに40%は投資を積極的・多面的にみており、買収、売却、新しい合弁事業(JV)の設立や戦略的提携のすべてについて検討している。投資の推進要因として世界的には既存のポートフォリオの強化と新たな人材へのアクセスが1番に挙げられている一方、日本企業においては新たなビジネスモデルと顧客基盤への移行が1番に挙げられている。