EY調査、2022年第3四半期も世界のIPOは減速が続く
2022年10月、EYが2022年第3四半期(以下、3Q)のIPOに関する調査結果を発表した。
2022年9月までの段階で世界のIPO件数は合計992件、調達額は合計1460憶米ドルで、それぞれ前年比44%減、57%減となった。マクロ経済における難題の増加や市場の不確実性、ボラティリティの上昇、世界的株安といった2022年のトレンドがIPOを目指す企業や投資家に影響したとされる。また、2022年3QはSPAC(特別目的買収会社)によるIPOが2016年3Qに出した最低記録を更新する第3四半期となった。
2022年9月段階ではテクノロジーセクターが引き続きIPO件数の首位を占めたが、ディールの平均規模は前年同期の2億6100万米ドルから1億2300万米ドルまで減少した。調達額ではエネルギーセクターが前年比176%の増加となり、テクノロジーセクターを抜き、首位に躍り出た。これは2022年9月段階で世界上位5件のディールのうち3件がエネルギーセクターであったことによる。一方、消費財セクターはディールの世界規模が前年比69%減と、最も減少したセクターとなった。
エリア別パフォーマンスの概要は様子見の姿勢
世界的にはAmericasの証券取引所が最大の減速を示し、わずか116件のIPOが合計75億米ドルを調達したのみであった。これは前年比で調達額94%、件数72%の減少である。最高記録となった2021年とは正反対に2022年9月の段階で、過去最低レベルだ。EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)の2022年9月段階のIPOは前年比で件数が50%、調達額が52%の減少となった。欧州における調達額は76%減となったが、中東ではディール件数は51%減となったものの調達額は209%増となっている。Asia-Pacificはインフレや地政学上の問題の影響をあまり受けなかったため比較的IPO活動は良好で、2022年9月時点の世界上位10件のIPOのうち、5件が行われ、件数の61%、調達額の69%を担っている。しかし前年比ではともに落ち込み、件数が25%減、調達額は22%減となった。