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#3 まちづくりイノベーターに求められるスキルとは?

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#3 まちづくりイノベーターに求められるスキルとは?

まちづくりイノベーターに求められるスキルとは

藤原:
それでは平野さん。ご自身のご経験を踏まえて、現在やっていらっしゃる小水力発電のプロデュースのお話をご紹介いただけますか?

平野

平野:
改めて、自己紹介をしたいと思います。
私は大学で都市計画やまちづくりを専攻していました。
それで、いずれまちづくりを地方でやっていきたいという想いを、大学を卒業するときから思っていました。
ところが、どこでやれば良いのかも分からないし、どうやってやれば良いかも決まらない状況でした。
それで、まずは就職しようと思いました。
自分の場合は将来やりたいまちづくりに役立ちそうな会社に行こうと思いまして、最初に入ったのは、商業施設をプロデュースする小さな会社でした。
どちらかというとクリエイティブな仕事で、広告も建築もやるデザイン会社のようなところに4年位勤めました。
仕事はとても面白かったのですが、それだけだと足りないという気がしました。
自分は何が足りなかったかというと、例えば、まちのことをやる上で、不動産や建築、デザインのことは分かるけど、もっと全体的なところ――経済がどう回っているのかということや、経営全般については全く考える機会がありませんでした。
そこで、経営コンサルティングのキャリアを積みたいと思い、渡辺さんのもとへ相談に行きました。
コンサルティングファームに入ることができて、その後、次のステップに進むことができました。

私は、18歳で東京に出てきて、大学院を出て4年間、最初の会社にいて、次の経営コンサルの会社に3年いて、32歳で会社を辞めました。
岐阜市の出身なのですが、今は岐阜の山奥の郡上市石徹白という集落で、傍らではNPO法人地域再生機構という名前で自然エネルギーの導入支援の仕事をしています。
250人の集落なのですが、そこで全員で出資して水力発電を導入する仕事をしています。

藤原:
ありがとうございます。ご自身の経験をもとにお話を伺いましたが、実際にこれからまちづくりイノベーターになりたいと思っていらっしゃる皆様のために、まちづくりイノベーターに求められるスキル又は経験というのは具体的にどういったものがあるのか、平野さんに伺ってもよろしいですか?

まちづくりイノベーターに求められるスキルとは

平野:
これも自分の経験でしか話せませんが(笑)。私の周りにも全国各地に様々なまちづくりイノベーターがいらっしゃいます。
共通して言えることとしては、例えば、ある地域で何か取り組みをしようとすると、ステークホルダーがたくさんいるわけです。
恐らく、ステークホルダーの数とか種類は、企業で働いていたときよりも多様であると思います。
地元のおじさんもいるし、行政の人もいるし、企業の人もいるし、地元出身の人もいるし、外から通っている人もいるし、すごく多様な世界があります。
そうすると、その人たちがどういう想いを持っているか知り、その人たちを仲間に巻き込んでいくことが必要になります。

自分の場合は、経営コンサルティングファームにいた際、クライアント企業に行って課題を把握するために、クライアントの社内の様々な層の人にヒアリングをすることがありました。
その際には、それぞれの人たちがどう思っているのかを捉えていく「課題を感じる」ということは重要だと思いました。

あと、まちづくりは、色々な人の想いを束ねて引っ張っていく力が必要になります。
企業の場合は、上司の命令があれば部下は動くと思いますが、まちづくりの世界には利害関係がない人がたくさんいます。
地元のおじさんに命令をしても動くわけではないので(笑)、その人たちを巻き込む力や、その人たちの思いを束ねる「ファシリテーション能力」が必要になってくると思います。

さらに、どの仕事もゼロから1を生み出すという面があるので、「全体観をもって物事を捉えられること」が大切ですね。
私は元々建築を学んでいたのでその傾向が強いのですが、建築は正解がないのです。
受験勉強をしていると必ず正解がありますが、新しくつくり出していく部分も重要なスキルだと思います。

藤原:
まさに、ゼロから1を生み出すのがまちづくりイノベーターだということで、スキルのお話を伺いましたけど、平野さんのお話を受けた上で渡辺さんはいかがでしょうか?

渡辺

渡辺:
ゼロから1をつくるというのは、まちづくりイノベーターの大変なところで、「起業」に非常に近い感覚だと思います。
かなり頑張らないと何かを生み出すことはできない(笑)。
当然、通常の企業以上に問題が山積みになっています。
例えば、人が足りないけどどうにかしてやらなければいけないとか、資金をどうやって引っ張ってくれば良いのかとか、低予算で自分たちのNPOをどうやってPRしていくかだとか、まさに問題が山積みです。
そこで、第一に求められるのは「問題解決力」ですね。
このあたりは通常の起業と同じようなことだと思います。

二つ目はまちづくりイノベーターに特徴的なところで、先ほど平野さんが仰られたように、「ファシリテーションする力」が必要になりますね。
通常の企業ではあり得ないような複雑な利害関係者がたくさんいます。
一般の住民のみなさんもそうですし、自治体の方、協賛してくれる企業、その企業も大体一社ではなくて何社も巻き込まなければいけなかったりしますので、いろいろな利害関係者がいます。
しかも、自分の会社の部下ではありませんので、指示命令で動くという関係でもない。
そういう人たちに対して、納得していただいて、熱をもっていただいて、協力していただく必要があるので、ファシリテーションしていく力というのがとても重要になってきます。

三つ目が、世間ではあまり語られていないと思いますが、「コンテンツを制作する力」。
実はこれが結構重要です。
大企業の社長だったら、自分が考えているメッセージをスタッフの方たちが書き起こしてくれます。
しかし、まちづくりイノベーターはこれを自分でやらなければいけない。
どういうコンセプトのNPOなのかというメッセージをつくる、組織内にコンテンツを残していって業務マニュアルにする、部下があげてきたコンテンツをチェックする。
そういう力がないと組織化することが難しいのです。
意外と、コンテンツ制作能力の有無で、NPOのスタートアップがうまくいくかどうかの差がついてきます。

まちづくりイノベーターに求められるスキル

#4 まちづくりイノベーターになるためのキャリア戦略とは?

平野 彰秀【石徹白農業用水農業協同組合参事】

平野 彰秀【石徹白農業用水農業協同組合参事】

岐阜市出身。東京大学工学部都市工学科卒、同大学院環境学修士。 北山創造研究所、ブーズ・アレン・ハミルトンを経て、2008年春、岐阜へUターン。 2011年秋、人口約250人の集落・岐阜県郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)に移住。 NPO法人地域再生機構副理事長、石徹白地区地域づくり協議会事務局。同年、人間力大賞(公益社団法人 日本青年会議所)受賞。


渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

一橋大学商学部卒業。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年、コンコードエグゼクティブグループを設立。日本ヘッドハンター大賞MVP受賞。東京大学「未来をつくるキャリアの授業」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)など。