求人検索
Concord Executive Group コンサル&ポストコンサル転職

注目企業情報

#7 リスクが高いと言われる現代を、二人の起業家はどう捉えているのか?

Index

#7 リスクが高いと言われる現代を、二人の起業家はどう捉えているのか?

渡辺:
では、最後に読者へのメッセージをお願いします。

小沼:
こういう機会で時々言わせて頂いているのですが、「挑戦しないことがリスク」じゃないかと僕は思っています。

渡辺:
うん。うん。

小沼:
これは二つの意味で思っているのですが・・・。
一つは、多くの人が自分のやりたいことや想いを持っていると思いますが、それに蓋をして生きてそのまま死んでしまったら、とても後悔するという大きなリスクがあると思うわけです。

渡辺:
想いは封じ込められない。
自分を裏切ることはできないからね。

小沼:
それがいつの間にか、家族がいるからとか、会社でこのまま我慢していれば次はこうだからと、徐々に想いを封じ込めてしまう・・・。

渡辺:
それは辛いよね。

小沼:
転職活動など何らかの形でその想いに対して向き合ってみた方が、リスクが少ないと思います。
「なぜ、起業というリスクをとれたのですか?」とよく聞かれますが、単純に、後悔するという大きなリスクをとりたくなかったのです。

それと、もう1つ意味があります。
これだけ変化の激しい時代においては、常に新しい働き方が求められています。
今日の常識が3年後には非常識になり、今日の非常識が3年後には常識になる時代です。
だから、いま全員が「いいね!」という方向にいったら、危ないんです。
むしろ、「なんだその選択は」と驚かれるようなことをするべきだと思います。
NPOというキャリアも、そういう意味で、僕は面白いと思います。
「NPOって何だ?」というイメージが今まではあったと思いますが、本質的に考えて、面白いことに気付くアンテナを張ってもらいたいと読者の方にお伝えしたいですね。
今の常識に縛られている方がリスクが高いんじゃないかと。
この本が語っていることや、対談の中で語っていたことを考えると、選択肢はとても広いんじゃないかなと思います。
どんどん挑戦をしてもらいたいなって思いますね。

渡辺:
リスクということで言うと、ここ数年の日本を代表するメーカーのリストラの話は、とても象徴的な出来事だよね。
僕らの世代からすると、就活した際にはそんなことが全く想定できなかった会社だったんだよね。
あれだけ大きいメーカーだったら絶対にそういうことが起こりえないという「常識」を持って、僕らの世代は新卒のときに入社した。
しかもどちらかというと、手堅い人こそがメーカーを選んでいたぐらい。
そうしたらあんなことが起こっているわけで…。
あのような会社でさえそういうことがあるんだから、どんな会社にだって頼ることはできない。
一方で人材市場を見ると、今はとても発達していて、魅力的な機会やキャリアを積む機会が膨大にある。
だから一つの企業にキャリアや人生を懸けるんじゃなくて、人材市場をセーフティネットとして生きることこそがリスクが低い生き方と言える。
いくら新卒のときに一生懸命に大きな会社を選んでも、それで逃げ切れるわけじゃないんだよね。

小沼:
リスクが高い時代ということで、危機感を持っているんでしょうけど、結論が違う方向に行ってしまっていますよね。
残念ながら大部分の人は、リスクが高いから大企業にしがみつこうとしているように僕の目には映ります。

渡辺:
しがみつくものが頼れなくなっているんだから、危ないよね。

脳科学の研究成果をベースにつくられた、ある適性テストがあるんだ。
大手テスト会社がやっているものとは異なる、かなりマニアックなものなんだけどね。
僕も散々いろいろな適性テストを試してみたけれど、このテストが抜群に良いものだった。
そのテストを開発した人たちの話では、データをとっている20年前から比べて、若い人たちが持つ「不安」という気持ちが明らかに増大しているのだそう。
今の20代前半くらいの人たちがそのテストを受けると、「不安」という項目の点数がすごく高く出る。
どのぐらい高いかというと、今の20代前半の人たちのほとんどが、他の世代の人たちの上位16%の水準に入ってしまうらしい。
それくらい今の若い人たちは、不安を強く感じているということなんだろうね。

小沼:
僕もそこに入りそうな気がしますけど、今事業家として(一同笑)。
それはどんなことが要因なんですか?

渡辺:
はっきりとした理由は分からないけど、生まれた頃から「不況」とか「リストラ」とメディアで言われるような時代に育ってきて、明るい未来を描きにくいと言っていた学生がいたね。
直近もリーマンショックや東日本大震災などもあったしね。
それで、不安になって、公務員や大企業であれば、安心なんじゃないかということで流れているのだろうね。
適性テストの結果にまで、若い世代の人たちの不安が現われているとはね。

小沼:
とても興味深いですね。

渡辺:
不安が高まっている時代だからこそ、人材市場をセーフティネットとして安全に生きる方法や安全着実に自分の夢を実現するキャリア設計法を、若い人たちがしっかりと勉強することが大切だと思う。

小沼:
本当にその通りだと思いますね。

渡辺:
人生は一回しかないから、自分の夢にチャレンジしてみたい。
でも一回しかないからこそ、失敗もしたくない。
誰だって失敗したくないからね。本音で言えば。
ご相談者と10数年ずっと話をしていて、多くの方がこの狭間で悩んでいる。
これを両立させることは普通にやっていては当然無理で、工夫した戦略が必要となるんだよね。
一か八かでやることでもないし、あきらめることでもない。
そんなことを今回の本を通じて、特に若い世代の人につかんで欲しいなと思っているんだ。

小沼:
クロスフィールズも、今すぐではないですけど、5年後や10年後は新卒を採用するようになるかもしれません。
特にそのような人とは違う道を選ぶ場合は、ちゃんとした戦略を持っている必要があると思います。自分の経験からも実感します。
ちゃんとした戦略や人材市場での価値といったものを、正確にこういう本で学んだりしながら、その上でリスクを取るというのが大事だと思います。

それと、今は大変な時代だ・・・という若者が多いという件ですが、僕も「バブル」と聞けばイコール「崩壊」しか出てきません。
物心ついたらバブル崩壊、大学に入ったらライブドアショック、社会人になった瞬間リーマンショックでトリプルパンチを食らって、お金については何も良いことない感じで、課題だらけです(笑)。
ただ一方で、課題があるってことは、それを解決したらすごいことが起こるというその発想の逆転をするのがすごく大事だと思います。
大変だからこそ、それをやりきったら楽しいという思考になれば、こんなに楽しい時代はないんじゃないかって。

渡辺:
そうそう、まさにそう思うよ。課題は解決すればいい。
それと、インターネットが発達したことがすごく大きいんだよね。
いろいろな活動のためのコストが激的に下がったし、起業もしやすくなって、社会的な問題を自分達の手で解決できるようになった。
逆に30年前ではこうはいかない。

小沼:
本当に今ほど楽しい時代はないって思いますよね(笑)。

渡辺:
そう思うよ。自分達の手で解決できる可能性があるんだから、実に楽しい(笑)。

小沼:
以前であれば、NPOを起業してそれで失敗していたら、キャリア的に絶望的だったかも知れません。
ですが、今は徐々に、こういう経験を積んだ人が人材市場でも高い評価を得られるようになってきたように思います。
起業して失敗しても、その経験を評価してくれて、セカンドチャンスがあるというように。
それは、すごく安心できる。
そんな世の中があるんじゃないかなっていう。

渡辺:
実際に今の人材市場では、ちゃんと評価されるようになっているよ。
コンコードのご相談者でも起業経験がある方はたくさんいらっしゃる。
学生起業した後、事業を売却したというケースもあるし、残念ながら事業がたち行かなくなったというケースもある。
いろいろなケースで転職相談にいらっしゃるけれど、起業していた経験が評価されて、ほぼ何の問題もなく転職できる。
今はすごくそういう人が多い。

小沼:
そういう人たちの経験を評価できる「目利き」を渡辺さんたちの業界が作ってくださったから、採用されるようになってきているんだと思います。
こうやってセーフティネットができていて、本当の価値を見てもらえるとなると、挑戦しやすいですよね。

「やっぱり家族がいたら、起業できなかったんじゃないですか?」と言われることがあるんですけど、そんなことはありません。私も起業時に妻がいました。
仮に事業が上手くいかなくても次のキャリアのステップは大丈夫だということを妻にもしっかりと説明して、納得してもらってスタートしています。
今は、誰でも挑戦しやすい時代なんだと知ってもらいたいですね。

渡辺:
もっともっとセーフティネットを増やすように頑張るよ(笑)。
今は起業の経験が評価されるようになってきて、本当に良かった。
安心してチャレンジができる社会になってきたね。

今日は、キャリア観やNPOや起業に関することを深く話し合えて、とても楽しかったです。
特に、体験にもとづく生々しい話は「好きなことで、恵まれた収入を得ながら、社会に大きなインパクトをもたらす」というキャリアを目指す読者の方のお役に立つのではないかと思います。
小沼さん、どうもありがとうございました。

→編集後記

小沼大地 | Daichi Konuma【共同創業者・代表理事】

小沼大地 | Daichi Konuma【共同創業者・代表理事】

一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊(中東シリア・環境教育)に参加後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。同社では人材育成領域を専門とし、国内外の小売・製薬業界を中心とした全社改革プロジェクトなどに携わる。2011年3月、NPO法人クロスフィールズ設立のため独立。世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shapers Community(GSC)に2011年より選出。


照沼かおり | Kaori Terunuma【事務局(広報・バックオフィス)】

照沼かおり | Kaori Terunuma【事務局(広報・バックオフィス)】

慶應義塾大学総合政策学部卒業。三井物産株式会社に約7年間勤務し、南米(ペルー・チリ)での駐在を含め、経理や内部統制など管理業務、及び南米向け金属資源投資案件のプロジェクト推進に従事。2013年8月よりクロスフィールズに参画し、広報・バックオフィスを担当。


渡辺 秀和|Hidekazu Watanabe【代表取締役社長 CEO】

渡辺 秀和|Hidekazu Watanabe【代表取締役社長 CEO】

一橋大学商学部卒業。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年、コンコードエグゼクティブグループを設立。日本ヘッドハンター大賞MVP受賞。東京大学「未来をつくるキャリアの授業」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)など。