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#4 起業するリスクを冒してでも、手に入れたかったもの

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#4 起業するリスクを冒してでも、手に入れたかったもの

小沼:
人材紹介の世界に入ったのは、いつ位なんですか?

渡辺:
30歳のとき、ある人材紹介会社にジョインさせてもらったのが、この業界でのキャリアのスタートだね。
それまでは経営に関する経験を積んできたけど、ここでようやくやりたかった個人向けの相談業に就けた。
そこで、戦略コンサルファーム向けの人材紹介を7年ほど担当していた。
やりたかった仕事で楽しかったので、朝から晩までどっぷり仕事に没頭していたよ。

小沼:
その人材紹介会社で、人生相談業をすることはできなかったんですか?
起業に至ったのはどうしてなんですか?

渡辺:
それはもの凄く考えたね。
そのまま、その人材紹介会社で頑張っていくというキャリアもあったと思う。
当時は部下や同僚にも恵まれて、会社も楽しかったし、キャリアコンサルタントとしては申し分のない環境だった。
研修も何もないし、何かを丁寧に教えてくれるという会社ではなかったけど(笑)、自分で創意工夫して、イメージしていた人生相談業に近いこともやっていたしね。
ただ、それはあくまで自分個人として。オーナーでも社長でもない自分が、会社全体をそういう方向に持っていける訳ではなかったからね。
人材紹介会社としては全国屈指のしっかりした会社だったけど、キャリア設計や生きる知恵を通じて日本を真に豊かにする…といった僕の想いを自由に実現できる環境ではなかった。
僕の場合は、そういうものを実現するための手段は、人材紹介だけでは足りないと思っていたんだ。
人材紹介以外のこともできる自由が欲しかったんだよね。

小沼:
そうだったのですね。

渡辺:
一般的に人材紹介業界は、自社を「営業会社」だと定義づけているし、目先の売上を重視する企業が少なくない。仕方がないことだけどね。
ただ、僕としては、広く世の中にキャリア設計法を知ってもらうとか、影響を与える仕掛けをつくるとか、目先のキャッシュをうまないとしても、本質的な活動をしたかったんだ。
例えば今回の本も、僕がものすごい時間を割いて書いているんだけど、正直ビジネス的には非効率なんだよね(笑)。しかもノウハウをオープンにしちゃうし。
「勿体なくないんですか?」と仰って下さる人材紹介会社の社長さんもいらっしゃった。
ただ、僕としてはキャリア設計を通じて、日本人一人ひとりの人生を豊かにしていければいいというのがあってね。
普段、ご支援できない学生や遠隔地にいらっしゃる方にもお伝えしたいなというのもあるしね。

小沼:
「目先の売上ではなくて、本質的な価値があることを」というお話が印象的ですね。
実は杉浦さん(コンコード 取締役)と最初にお話したときにも、まさに今の話やコンコードが目指す世界観について熱く語って頂きました。
それがあって何か一緒にやりたいなと思って、杉浦さんに理事をお願いしたんですよね。

ところで「リーダーとなるべき人の道を切り拓く」というミッションと、この渡辺さんの想いはどのようにつながるんですか?

渡辺:
キャリア設計や生きる知恵といったものを伝えることで、一人ひとりを豊かにしていく、結果的に日本全体を豊かにしていくということをやりたかった。
ただ、はじめから広く出来る訳ではないし、まずはリーダー層に広めて行くのが効果的だと考えたんだ。
コンコードは、もともと社会を変えるっていう目的で作られた器なんだよね。

小沼:
我々の組織の目指す方向性もその話とかなり近いです。
僕らのビジョンは「すべての人が“働くこと”を通じて、想い・情熱を実現させることができる世界」。
まさに英知を伝えて、日本全体を結果的によくしていこうと。
パートナー達と次々と社会の課題を解決していく世界を、まさしく自分たちとしても実現していきたいと思っています。

渡辺さんが出版に至った想いがよく分かりました。日本全体に向けてということなんですね。
でも、怖くはなかったんですか?
他の経営者に指摘されたそうですが、商売道具としての英知なわけじゃないですか。
それをオープンにすると言うことについて、悩んだりしなかったんですか?

渡辺:
コンコードの人材紹介事業に、どういう影響があるのかはすごく考えたよ。
考えたけど、やりたいことや実現したいことがその先にあるので、やるしかないよね(笑)。

小沼:
なるほど、起業家ですね(一同笑)。

渡辺:
それとノウハウをオープンにすると、また多くのものがかえってくるっていう感覚を持っているんだよね。
これは、戦略コンサル時代の体験で培った感覚だけど。
ほら、マッキンゼーの人たちだって、ノウハウを社内で次々にオープンにしているじゃない。わざわざ手間暇かけて。

小沼:
すごく気持ち良いくらいの性善説が働いているというか、オープンにする感じがありました。
ギブアンドテイクするっていうより、さらに言うとギブすることがどれだけいいことかっていうのをグローバルに全社員が共有している組織でした。

渡辺:
だよね。それが良いプロフェッショナルファームのカルチャーだよね。
それが組織外の社会でも本当に通用するのかどうか分からないし、怖い部分もあるけどやってみましたという感じだね(一同笑)。

お陰様で今のところ、すごくおもしろいことがたくさん起こっている感じかな。
「この本を読んで、自分の人生を取り戻したいと思いました」と感想を送って下さる方もいらっしゃって、とても嬉しいし、僕らの方が勇気を頂けるようなこともある。
いろいろなメディアから連載の話を頂くようになったりもした。
それと普段接点を持たない学生の人たちから、「人生や就活のことを考えるのに、とても役に立ちました」という反響をたくさんいただけているのもとても嬉しいよね。
そんなこともあって、来年は一橋のキャリア関係の授業に登壇することにもなった。
学生向けなので、人材紹介のビジネスには直接関係ないんだけどね(笑)。
でも、若い人たちにぜひ知って欲しいと思っていたことなので、良かったなあと思っているんだ。

確かに、今回の出版は事業的には思い切っているかも知れない。
ただ、コンコードは普通の営利目的の企業ではなくて、社会を変える側に立っている組織だからこその決断なんだよね。だからクロスフィールズととても近いと思うよ。

小沼:
そう仰って頂けると嬉しいです。ありがとうございます。

→#5 なぜ、NPOは“やりがい”と“成長機会”にあふれているのか?

小沼大地 | Daichi Konuma【共同創業者・代表理事】

小沼大地 | Daichi Konuma【共同創業者・代表理事】

一橋大学社会学部・同大学院社会学研究科修了。青年海外協力隊(中東シリア・環境教育)に参加後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。同社では人材育成領域を専門とし、国内外の小売・製薬業界を中心とした全社改革プロジェクトなどに携わる。2011年3月、NPO法人クロスフィールズ設立のため独立。世界経済フォーラム(ダボス会議)のGlobal Shapers Community(GSC)に2011年より選出。


照沼かおり | Kaori Terunuma【事務局(広報・バックオフィス)】

照沼かおり | Kaori Terunuma【事務局(広報・バックオフィス)】

慶應義塾大学総合政策学部卒業。三井物産株式会社に約7年間勤務し、南米(ペルー・チリ)での駐在を含め、経理や内部統制など管理業務、及び南米向け金属資源投資案件のプロジェクト推進に従事。2013年8月よりクロスフィールズに参画し、広報・バックオフィスを担当。


渡辺 秀和|Hidekazu Watanabe【代表取締役社長 CEO】

渡辺 秀和|Hidekazu Watanabe【代表取締役社長 CEO】

一橋大学商学部卒業。三和総合研究所 戦略コンサルティング部門を経て、2008年、コンコードエグゼクティブグループを設立。日本ヘッドハンター大賞MVP受賞。東京大学「未来をつくるキャリアの授業」コースディレクター。著書『ビジネスエリートへのキャリア戦略』(ダイヤモンド社)など。