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アリックスパートナーズ プレミアインタビュー

アリックスパートナーズ プレミアインタビュー

1981年にデトロイトで生まれ、世界的な企業再生のプロフェッショナルファームとして知られる「アリックスパートナーズ」を特集します。 アリックスパートナーズ日本共同代表の深沢様と野田様にお話を伺いました。 サービスの特徴、プロジェクト事例、採用基準など、平素じっくり聞けないような情報を記事にまとめ、お送りいたします。

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アリックスパートナーズの企業情報はこちらをご覧ください。 アリックスパートナーズプレミアインタビュー

#1 “特別な局面”で登場する経営改革のプロフェッショナル

渡辺:
コンサルティング業界、PE業界で輝かしいご実績をお持ちのお二人が、さまざまなプロフェッショナルファームが存在する中で、なぜアリックスパートナーズへジョインされたのか、多くのご相談者が興味をお持ちだと思います。
まずは、深沢様、野田様が、アリックスパートナーズに入社されたきっかけをお聞かせいただけますでしょうか?

深沢:
私は、経営コンサルティング会社からアリックスパートナーズに来ました。
経営コンサルティングは、私が仕事に携わった20年前はまだ社会に受け入れられていなくて、それを多くの企業の皆様に受け入れていただけるように力を磨いてきました。

幸いにも、経営コンサルティングがある程度メジャーな存在になり、メジャーな存在=コモディティ化してきたというのは事実だと思います。
特別なときに特別な役割を背負って特別なチームとして存在するコンサルティングから、もう少し日常で使われるコンサルティングに移っていくなかで、自分自身は、「もともと持っていたエキサイトメントというのは、やはり特別な場面に立ち会うことなんだな」ということを強く感じるようになりました。
そういうときにお声かけいただいたのが、アリックスパートナーズでした。
アリックスパートナーズは、まさに企業が特別な状況に直面しているときに登場する会社ですので、そこで自分の力を更に磨いてみたいと思った次第です。

野田:
私は最初に入社した会社が日本長期信用銀行(現新生銀行)で、その銀行は1998年に破綻してしまいました。
破綻企業にいる従業員は、多くの困難に直面せざるを得ません。今考えると、その経験から漠然と「企業破綻を防げるようなお手伝いをライフワークとしたい」と思っていたのかな、と思います。

ただ、直接の動機は、戦略ファームにいて、提案した戦略を実行の深いところまで携わりたいという思いを強く持ったということがあります。
そのような思いを抱える中で、私が漠然ともっていた問題意識「破綻を防ぐ」という局面で、ハンズオンで支援しているアリックスパートナーズという会社があるということを知りました。
話を聞いてみると、私の抱えていた問題意識と非常に合っていたので入社しました。

大野:
アリックスパートナーズがクライアント企業に提供するサービスの特徴とは何でしょうか?

深沢:
まず1つ目は、我々が登場する場面が、ある特定の場面であるということです。
それは、企業全体もしくは企業の一部が、何らかの時間を急ぐ問題に直面していて、解決しなければいけないという局面です。

そして、2つ目は改革を行う時間が限られている場合がほとんどですから、クライアント企業の人材をフルに活用して、我々と一緒に働いていただくというところです。

3つ目は、そのときに打ち出していく打開策が、多くの場合は、プラン(計画)をアウトプットとするのではなくて、ビジネスリザルツ(業績改善)をアウトプットしていくということです。
プロジェクトの活動自体も、分析に多くの時間を割くことはしません。
分析の正しさの精度を80%から100%にあげるということは捨象して、Day-1からなるべくアクションにこぎつけて、アクションをしながら修正をかけていくというアプローチをとっていきます。

4つ目は、さらに、その活動を続けていこうとすると、やはりクライアント企業側にリーダーシップを一部補強しなければいけないという局面がありまして、我々は人材をインタリム・マネジメント(Interim Management:暫定経営陣)という形で提供します。

このあたりが、我々のサービスが、通常、みなさんがコンサルティングでイメージするものと大きく違う点かなと思います。

野田:
我々の出自は事業再生です。
では、事業再生の要諦は何かというと、複数のステークホルダーとの合意形成なのです。
事業再生に着手する局面では、株主、銀行、サプライヤー、カスタマー、従業員、などさまざまなステークホルダーがいます。
事業再生を成功させるためには、再建計画を迅速に作り、必要なステークホルダーと合意をして、企業価値が毀損する前に一刻も早く再建計画の実行に着手する必要があります。

我々は、アメリカで、チャプター11(チャプターイレブン:アメリカ合衆国連邦倒産法第11章を指す略語)による経営破綻をした企業に対して、企業再生の支援を行っています。
その過程の中で、株主や債権者などのさまざまなステークホルダーと再建計画についての合意形成を行い、いち早くその実行を開始していきます。
この手法は、事業再生に限らず、企業が直面するさまざまな課題を解決する上で大変有効なのです。

例えば、日本企業が更なる成長を目指して海外の企業を買収する場合です。
この2年間で我々の支援案件として増えてきたのが、海外の買収における管理や事業統合の支援です。
海外の企業の買収における背景は、日本企業が更なる成長の機会を海外の市場に求めることや、低コスト製造拠点及び地産地消として東南アジアに出ていくということもあります。
その目的のために一番手っ取り早い手段の一つが買収ですが、まったく違う会社を自分の事業ポートフォリオに入れるというのは非常に難しい。
そこで、さまざまな買収先の経営陣や実務レベルで様々な合意形成が必要となります。
例えば、買収する前であれば、「買収したらこんな絵姿になります」「インフラがこんな形になってこういうメリットがあります」といったメリットの売り込みや、買収直後であれば、速やかな事業統合計画やアクションプランの立案がそれにあたります。

我々は、そういう局面に入っていって、まずは現実的な事業計画あるいは統合計画をいち早く作り、きちんと合意形成をして、それをひたすら実行していく。
ですから、プロセスとしては、事業再生に非常に似ています。
我々は、このような何らかの合意形成を求められる局面で、価値を発揮しやすい。
それをメインの業務の一つにしています。

渡辺:
実際にリアルな結果を出していくところまで踏み込まれている御社としては、組織に関係するステークホルダーを動かさなければならない。
そのため、合意形成へと導けるノウハウが非常に活きているということでしょうか。

野田:
まさに、そうですね。
実は、我々のチームメンバーの平均年齢は40代半ばです。
各メンバーが豊富な実務経験を持っています。
合意形成を行う際は、ロジックだけはなく、経験に裏打ちされた説得やコミュニケーション力によってステークホルダーを巻き込んでいくことも大切なのです。

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#2 DAY-1から価値を出すため、世界中のオフィスから人材を集める

渡辺:
最近、戦略ファームにいる皆さんから、「戦略コンサルのサービスの将来に不安を感じる」という話をよく聞くようになりました。
戦略ファームでは、問題解決能力を武器にして、様々な業界のクライアント企業を支援するという形になっています。
しかし、このスタイルではいくらコンサルタントがめちゃくちゃ優秀であってもDay-1から付加価値を出すのは難しい。
短期間で高い付加価値を出すためには、ある程度、業界知識や経験が当然必要で、日本の戦略ファームはあまりにもそのあたりを軽視しているのではないかと。

一方、同じ戦略ファームでも、海外オフィスでは、コンサルタントが若いうちから専門性を磨き、特定業界の知識や経験を武器にコンサルティングをしているケースが多いようですね。

特に、6−7年ぐらい経験し、戦略コンサルティングをよく理解されている方の中に、「従来のやり方では、クライアントに十分な付加価値を出すことが徐々に難しくなってきている。」という問題意識をお持ちの方が増えています。

野田:
そうですね。個人として、全部の業界に対して同じように答えられるかというと、そういうスーパーマンはいませんので、我々はチームアプローチを重視しています。エキスパートが強みをもって、それを組み合わせてバリューを出すということですね。

例えば、ブルネイで航空会社の再建プロジェクトがあるというときに、日本も含めた世界中のオフィスから航空業界に詳しいコンサルタントを集めてきて、チームを編成するという体制をとっています。

DAY-1から価値を出すというスタイルを実現するためには、そのプロジェクトで求められる専門性を持つプロでチームをつくる必要があります。
だからと言って、東京オフィスだけで、あらゆる領域のプロを普段からスタンバイさせておくことは、稼働率の問題などもあって困難です。
必要なリソースを必要なタイミングで集めるためにも、グローバルなチームづくりを行える体制がとられています。

深沢:
まさに「グローバル」は、アリックスパートナーズの組織の一番の特徴だと思いますね。
多くの外資系のコンサルティングファームの東京オフィスは、単なる駐在員事務所という存在になっているか、日本の独自性に振った“日本の独立ユニット”をつくっています。
我々アリックスパートナーズは、どこにもコアがないという形で、「直面する問題に対してベストなチームをグローバルの中から組成する」という経営をしている。
そして、それを阻害する要因はなるべく省いていくという経営をしています。

阻害する要因のことで言うと、我々は、国ごとのP/Lをもちません。
国ごとのP/Lをもった途端に、その国のP/Lをマキシマイズするというモチベーションが働きますよね。
そうすると、なるべく日本で支払っているコストは、日本のレベニューに結びつけるように使いたいとなります。
それを排除するために、国のP/Lは管理していないどころか見せられてもいない。ですから、我々は、課題に対してベストなメンバーを集めるというところに100%の力を費やすことができるのです。

例えば、最近、日本のドメスティック企業でプロジェクトが立ち上がりましたが、そこでも外国人が3人、日本人が4人という構成です。
2人はアメリカから、1人はヨーロッパから。機能という点で判断して、世界中のオフィスからベストな人材を探してくるとこのような編成になりました。

渡辺:
国ごとのP/Lでマネジメントしていないというお話は、コンサルティング業界にいる皆さんにとっては、非常に興味深いと思います。
実際、どの国のオフィスの売上になるか、ということが問題になって、協調できないという話はよく聞きます。

野田:
先ほど我々のファームでは平均年齢が高いと言いましたが、大人の集団ですね。
必要に応じて自己主張は抑えながら、クライアント企業の課題を解決することを最優先で取り組んでいく。
また、必要であれば、海外のオフィスからベストな人材を引っ張ってきます。また、東京のチームメンバーが引き抜かれて海外に行くことも日常茶飯事です。
その際に、「その収益はどこのオフィスに帰属するのか?」というつまらない話は出ません。
「クライアント企業が良くなって、ファーム全体としてレベニューが上がればいい」という考え方です。

更に、我々のファームには、アップ・オア・アウトの考え方はありません。
マネージング・ディレクターにならなければ、ファームの中で残れないと言うことはありません。
むしろ、エグゼキューション/インプリメンテーションをずっとやっていきたいというシニアなプロフェッショナルがたくさんいます。
そういう選択も我々のファームでは普通です。

渡辺:
アップ・オア・アウトについて気にされているご相談者の方もいらっしゃいます。
また、プロモーションすることで、企業変革の現場から離れてしまうという悩みを持っている方も多いので、非常に興味深いお話です。
ずっと現場でクライアント企業の支援をすることに特化されている方もいらっしゃるのですね。

深沢:
皆さんが想像されている年齢からずいぶん離れた人で、そのような働き方をしているコンサルタントもいます。この道、何十年というような大ベテランです。
彼らにとっては、会社の中のポジションよりも、日々どんな課題に向き合えるかのほうがはるかに重要だったりするのです。

野田:
もちろん、彼らもビジネスマインドをもって、ファームの売上に貢献するということを意識しながら活躍しています。
実際にプロジェクトに入ると、ディレクターは現場に常駐してプロマネしていくわけですから、非常におもしろいのです。
通常の事業会社の経営陣ですと、日常の雑務に追われることも多く、本当におもしろいことは2割くらいじゃないでしょうか。
いろんな業界で、いろんな会社で、いろんな局面で、ずっとおもしろいことに関わり続けることができるという魅力が、そういう人たちを引き付けているのだと思います。

→#3 クライアント企業の人材を最大限に活用するには

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#3 クライアント企業の人材を最大限に活用するには

渡辺:
通常のファームの人員構成は、ピラミッド型になっています。しかし、アリックスパートナーズの人員構成は、中堅層がぶ厚くなっていますよね。
これも、早期に成果を出していくという御社のコンサルティングスタイルと関連しているように思いますが、いかがでしょうか?

深沢:
そうです。我々の組織はピラミッド型ではなくて菱形の人員構成になっています。
プロジェクトの進め方に関連して言いますと、「既にクライアント企業の中に存在するもの、及び、クライアント企業のみなさんを最大限に活用する」と申し上げました。
ジュニアなコンサルタントが何か大掛かりな分析をするというのも我々スタイルに合いませんし、そもそもその時間的余裕もありません。

大野:
御社へ応募したいという方の中には、ディレクターでチャレンジしたい方、VPでチャンレジしたい方、アソシエイトでチャレンジしたい方、それぞれいらっしゃると思いますが、ポジションごとに求める役割はどのように違うのでしょうか?

野田:
ラフな言い方をしますと、まず、ディレクターが、プロジェクトの中心です。プロジェクト全体を現場ハンズオンでマネージします。棟梁みたいなものです。
当然、難しいプロジェクト場合は、我々マネージング・ディレクターが入ることもありますが、基本的にはディレクターがプロジェクト全体をマネージする役割です。
次に、VP(ヴァイス・プレジデント)も、重要な役割を果たしています。
プロジェクトは必ず幾つかのチャンクに分かれていて、VPは、チャンクの一つをきちんとマネージする。ディレクターの役割とかなり似ていますが、そのスコープがもう少し明確になっています。
アソシエイトは、ディレクターやVPをサポートする形で分析作業やオペレーションを行います。
我々はレポート・ライティングにあまり重きを置いていません。
いいレポートを書いても、実行されなければ意味がないと考えています。
そういう意味で、分析は早く行い、実効性の高い計画に落としこんで、きちんと丁寧に実行を進めていきます。

大野:
アソシエイトの方にも、VPと同じような、VPの一部を担えるようなスキルや人間力が求められるということでしょうか?

深沢:
求められますね。アソシエイトは分析を担当すると言いましたが、その分析を一人で行うことはほとんどありません。
我々は「クライアント社内の人材を最大限に活用する」ということをしますから、多くの場合は、クライアント企業のみなさんに動いて頂きながら、分析を進めていくことになります。
そのため、アソシエイトにもリーダーシップが必要になってきますし、どの程度まで細かくデータを分析すべきかというジャッジメントが自分でできないといけない。

渡辺:
つまり、アソシエイトが、クライアント企業の社員をリードし、現実的な分析のゴールを自身で見極めつつ、分析作業をすすめていくということですね。
これは、通常のファームのアソシエイト・アナリストクラスの仕事とはだいぶ異なりますね。

野田:
そうなのです。我々のプロジェクトはさまざまで、期間としても、私が経験した最短は1週間。長ければ、当然1年や2年。
その期間はどのように決まっているかというと、意思決定までに残された時間です。
1週間後に何らかの重要な意思決定をしなければならいという切羽詰まった状態で、我々のところに依頼が来るケースもあります。
そういう場合に、悠長にデータリクエストして、読み込んで、しっかり分析してというやり方で、「2ヶ月かけてやりましょう」なんて言ったら、顧客のニーズに応えられなくなります。
我々は、残された時間で意思決定を行えるだけに十分な必要最小限の仕事をしなければならない。それを設計して行うということが求められます。
そうすると、あまり重箱の隅を突いていていても仕方ありませんので、どこまで掘り込めば時間内にできるのかという見極めが必要です。
そして、その情報がきちんと意思決定に必要なファクターにアドレスしていなければなりません。

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#4 プロジェクト最前線(1)~問題は複合的に起きる

渡辺:
御社の仕事を象徴するようなプロジェクトのお話をお聞かせ頂けますか?

野田:
ある欧州の親会社が、中国の公営企業を買収しましたが、その生産工場が大幅な赤字になりました。
この工場の建て直しをしたいと、親会社から依頼がありました。そこで、東京オフィスと上海オフィスで、混成4名のチームを組むことになりました。

4名が何をやったかというと、まず1人は資金繰りの管理をしました。資金がいつショートするか分からないという状況だったのです。
その中で、資金繰り改善を行います。要は、銀行と交渉しながらのロールオーバーです。
加えて、支払いのサイトを延ばしたり、回収を早めたりして、日々の資金手当てを行っていきます。
調達部門と話をして、サプライヤーに支払いサイトを延ばす交渉してもらう、あるいは自ら交渉する。営業に早くお金を回収してもらってこいと指示する。そういう司令塔となる役割です。

もう一人が、工場の生産効率改善の担当ですね。
不良品率が異常に高くて、客先から返品された製品が山のようにありましたが、2ヶ月くらいで、その不良品率を半分にしたのです。

もう一人が、経営陣の建て直し。会社の利益よりも個人の利益を優先にしているというマネジメントが複数いたので、人を入れ替えることによって、経営チーム陣の建て直しをするという担当です。
旧正月の時期に不足する労働力の確保、という課題も含まれていました。

最後の1人は、新製品上市の担当です。
この会社では、新製品を出すということが3年くらい前に計画されていながら、ずっと出てこなかった。
この理由は、開発部門と生産部門の連携が非常に悪くて、問題解決が一向に進まなかったのです。
我々はその間に入って、問題点の特定と、その解決に向けた計画を立案・実行することで、新製品の投入がついに実現しました。

このように、企業が苦境に陥る時には、複数の要因が複合的に絡んでいるケースが多いのです。
我々は、その状況を解決することを「ホリスティック・ターンアラウンド」と言っています。
ホリスティックというのは、全体的なとか総括的なとかいう意味ですね。
表面的には、資金繰りがなくなって破綻というのが直接目に見えるところが問題ですが、その裏にはビジネスがうまくいかない理由が幾つかあり、それを短期間で包括的に解決することが我々の得意技でもあるんです。

渡辺:
やはり同時に問題が起こっているというケースが多いのですか?

野田:
単一の課題でやる場合もありますけど、企業が破綻に近づくにつれて、同時に複数の問題解決を同時に行っていくというケースが増えますね。

渡辺:
ちなみに、このプロジェクトは、どのくらいの期間でやったのですか?

野田:
4つの課題について道筋を立てるまでの最初の山が2ヶ月ですね。それから、実行で1年。
結局、その生産拠点は無事に立ち直って、業績不振の親会社を逆に助けるまでに回復しました。

その過程では、いろいろしびれる経験もしました。
例えば、支払いサイトを延ばすと、サプライヤーで困る人たちが出てくるわけです。
「オレの従業員に払う金がない」といって、一部のサプライヤーがヘルメットかぶって棒切れ持って、多数で押し掛けてきたことが有りました。
そういう場面でも、我々は対峙しなければならない。

渡辺:
コンサルティングファームで何年間か活躍されている方々は、卒業した後のキャリアとして、事業会社の経営陣や幹部候補を想定されていることが多いです。
そのような方々にとって、アリックスパートナーズのように「経営陣の抱える本当の苦悩や修羅場というのが経験できる」場があるということは、関心をもたれる方が非常に多いと思います。

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#5 プロジェクト最前線(2)~実行力を見極める

大野:
不良率を半減させた方は、通常の戦略ファームのご出身の方ですか?

野田:
いえ、違います。その方は、我々のアドバイザーで、自動車メーカーの生産担当役員を務めた経歴をお持ちで、その中には、ポーランドとイギリスで生産工場を一から立ち上げた経験も含まれています。
そういう方が工場を一目見ると、どこを改善しなければならないかが、たちどころに分かるわけです。

基本的には、「モノが不良になっている原因は何か?」ということを明確にしていきます。
今回のケースでは、ラインの中で、不良品を把握するチェックポイントが全くなかったわけです。
従って、いいのか悪いのか分からない製品を顧客へ出荷してしまっていて、そして、時間が経ってから、悪い製品が返品されてくるという状態でした。
そこで、ラインの中でチェックポイントをたくさん作って、不良品を即座にはじけるようにしました。
そうすると、何が悪いかということがクリアになって、後はそれをひたすら改善していくだけです。

深沢:
それともう一つは、それを本当に直すというときに、今いる人に直してもらわないとしょうがないわけです。
今いる社員の方のレベルを見極めて、何を指示するか。これも重要です。現場の実行力を前提に提言をしないと、動くものも動きません。
特に、工場の現場というのは、理想的なリーダーが何人かいて、その人が指導してくれればあっという間に90点くらいいくんですけど、そんな人がいないから問題が発生している場合がほとんどです。
現状の中で解を見つけることが一番ポイントなのです。

渡辺:
なるほど。本当は理想はここまでなんだけど、現状の制約条件の中でできることを見極めるということですね。

深沢:
はい、まさにそれを見極めるということです。
そして、中でも一番大きく効きそうな取組みに集中してもらうということがポイントですね。
私も、別の工場でこの方と一緒にプロジェクトをやったのですが、そこも不良率が高く赤字が続いていましたが、2ヶ月で単月黒字に転換できました。

この方が指導するポイントは、シンプル。と同時に、社内のプロジェクトチームをどうやって動かすか、社内のプロジェクトチームの人にどういう責任をもってもらうか、何をやらせるか、この仕掛けのほうも重要。マネジメントそのものですね。

野田:
どちらのケースでも、社内の取り組みだけではなく、サプライヤーとの取り組みも当然スコープに入ってきます。
不良率の主要な原因の一つに、そもそも外部から調達してきた部品そのものが悪いということがある。
そのような場合、サプライヤーにもっと品質をあげてもらうように交渉もします。
場合によっては自社工場のラインを売却して、そこを利用してつくってもらうことで品質を上げるということもあり得る。
そうするとコストは下がって、変動費化できて、品質自体がまた上がって、みんな幸せになる。
そういうソリューションも、頻繁に使います。
自分でつくるのか、外から買ってくるのか、という判断を、我々は「MAKE or BUY」と言っています。

渡辺:
やはりプロジェクトの話はおもしろいですね。
ご相談者の方は、御社に入社すると、経営者としての動き方が経験できるというのが何となく分かっていらっしゃいますが、具体的にどういうことなのかというのがなかなか分かりません。
このようなお話を聞かせていただけると非常にいいですね。

深沢:
多くのプロジェクトで、「その危機が、どのくらいの水準なのか」ということを客観的に認識することが非常に重要です。
それによって、必要な打ち手の大きさが変わってきます。
ですので、Week-1では、堅く見て絶対に達成できる売上見込み ―我々は“岩盤”という言葉をよく使いますけれども― これがいくらくらいなのかをまず見極めます。
そして、それに合わせてコスト構造を作り替えていく。
これをWeek-1で行って合意形成をしてしまいます。
そこがグラグラすると、打たなければならない打ち手の改善幅が、100億円なのか、500億円なのか、変わってきてしまう。
そうすると、「そこまでやらなくてもいいんじゃないか?」という柔らかい議論が、亡霊のように何回も復活してきてしまう。
だから、それを堅く行って、「改善幅をこれだけ死守しないとダメなんです」という合意を作り上げてしまう。
だいたい堅い売上というのは経営者には辛い事実で、多くの企業は直視したくないものになりますね。

渡辺:
私も社長業をやっていますので、一瞬ドキっとしてしまいましたね(一同笑)。

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#6 最終報告書ではなく、成果をわたす

野田:
候補者の方で、将来は事業会社の経営陣を目指されている方が多いということですけれども、我々にジョインしていただくと、プロジェクトを遂行する中で日々経営の判断を迫られますので、非常にいい訓練になると思います。
アウトサイダーとして報告書を書くのではなく、クライアントのチームメンバーと一緒にプロジェクトを進めますから、何よりおもしろいと思いますね。
「まずは何をどのくらいやらなければならないのか?」「誰がどのようにやっていくのか?」「できなかった場合、どうすればよいのか?」ということをひらすら考えます。しかも、それを考えるだけではなく、きちんと現場で実行します。

深沢
実現しないものは、全部、成果ではない。

野田:
このファームに入って初日に、社内のイントラで、「君の仕事はレポートを書くことではない。君が参加したことによって会社がどう変わったのかということが、君の成果である」というメッセージを読んだのをよく覚えていますね。

深沢:
最終報告書がないプロジェクトだらけですよ(笑)。
終わりに近づくしたがって、報告書が要らなくなるんですよね。
さっき野田が話したケースも報告書はありません。

野田:
紙に残すものは、例えば、モニタリングの表などです。
それが会社の中に残って、日々、活かされ続けています。

大野:
報告書がないプロジェクトもあるのですね。
と言うことは、御社にはそのような報告書を蓄積しておく、いわばナレッジデータベースのようなものはないのでしょうか?

深沢:
通常のコンサルティング会社で想像するようなものはありません。
もちろん、最低限のものはありまして、共有する努力はしています。
ただ、一番の肝はそこに存在していない。それは、個人に存在している。
だから、逆に、個人にリーチする仕組みや、個人にリーチしたときにみんなが反応することを促す仕組みについては、非常に強い。
どこのコンサルティング会社でも、グローバルに「こういうことを知っている人いませんか?」とリーチする仕組みというのは、多くの場合、ダメもとでメールを送るというやり方をされているのですが、我々はダメもとではなくて本当に見事に返事がきます。

渡辺:
とても興味深いお話ですね。
大手グローバルファームの方とお話していると、膨大にあるはずのグローバルのナレッジが活用されてないという話をよく聞きます。
コンサルタント数も多く、プロジェクトの数も多いファームで、情報量が膨大にも関わらず、そのナレッジが全然活用できていない。
結局、半径5メートルくらいの人しか協力してくれないと(一同笑)。
御社の場合、どうやってその仕組みが回っているのですか?

深沢:
既に動いているので、「のっからないと変な奴」という要素が大きいですね(笑)。
私は反応の薄いところから来ましたので、最初は自分のチームがそういうことをやろうとするとき、「まあ、やるならやっといたら」という感じで見ていました。
でも、実際に情報が入ってきますし、プロジェクトに関わってない人も含めて “ああだ、こうだ”と口出してくれるんですよ。
そうすると、自然とその仕組みを使うようになります。
これは、もうカルチャーとして根付いています。

野田:
アリックスではクロスボーダーのプロジェクトも多くやりますので、海外のオフィスのメンバーとも頻繁に一緒に働きます。
プロジェクトの中で、一旦つらいことを一緒に経験すると、たちまち同志になるわけですよ。
そうすると、その後にそのメンバーに「こういうこと知っている人知らない?」と聞くだけでも、ワーっと世界中の情報が集まってきます。
我々のファームのサイズは、プロフェッショナルが1000人くらいです。
その中でエンタープライズ・インプルーブメント(業績改善、予防的再生)、ターンアラウンド&リストラクチャリング、フィナンシャル・アドバイザリーサービス(訴訟関連の支援や移転価格など)、インフォメーション・マネジメント・サービス(ビッグデータ関連)の4つのサービスラインに分かれています。
従って、エンタープライズ・インプルーブメントをとってみてもたかだか300人程度なので、誰が何をやっていて、どういうことが得意なのか、といったことは、だいたいバイ・ネームで分かっていますね。

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#7 アリックスパートナーズの採用基準とは

大野:
御社の採用では、非常に多くの方に面接頂いて、アセスメントも詳細に行って頂いていますよね。
改めて、採用で特に気をつけて見ていらっしゃる部分を教えていただけますか?

深沢:
見ているところは、第1にエキスパティーズ。
第2にクライアントと一緒に働けるマチュリティ。
第3にビジネスドリブン。クライアント企業を開拓し、ビジネスをひろげていこうというスタンスですね。
この3つは不可欠ですね。

大野:
3つ目のところが、すごく特徴的ですよね。
他のファームさんですと、それを声高に謳っていらっしゃるところはあまりないもので…

深沢:
なるほど。多分、本音しか言わない会社だっていう、それだけのことなんじゃないかなと(一同笑)。
すごくシンプルな会社で、裏表がない感じなのです。

野田:
大人の集団で、それぞれいろんな経験、いろんなスキルを持っている。
「だったら、自分でやりたいようなプロジェクトをどんどん取ってきて、自分でやってもいいですよ」という感じですね。

ただ、繰り返しになりますが、一人でやるのではなく、チームでいろいろなことをやっていこうというスタイルなので、例えば、営業に行くときも、2−3人で知恵を出し合って「どんなことがクライアント企業にささるのか」「我々のスコープをどう定義するとクライアント企業にとって一番バリューが出るか」などを十分に考えて用意しています。

採用で見ているところは、先の3つがベーシックなところ。
あともう一つが、コミュニケーション能力ですね。これは、対クライアントということが一番です。
クライアント企業を実行に向けて動かすのであれば、それなりのコミュニケーション力が求められます。更に、クロスボーダーの案件ですと、英語力は大事です。
これはネイティブ並みということではなく、ビジネス的にコミュニケーションが図れれば十分です。

深沢:
お互いのメールも、これが海外に向けて転送するかもしれないというときには、英語で書いている。単純に手間を省くためですね。

野田:
日本企業がこの数年、海外で多くの企業を買収しましたが、うまくいっているケースは少ないです。
様々な問題が、これからどんどん明るみに出てくると思います。

先ほどホリスティックと言いましたけど、包括的な形での企業の建て直しが、今後、日本企業が海外で買った会社について求められてくるでしょう。
そこで必要なのは、やっぱり日本の経営陣の意図を汲んで、きちんと日本と現地で改善・実行することをチームとして助けていくというスタンスだと思います。

渡辺:
今後、ますますアリックスパートナーズが求められる局面が増えてきそうですよね。
きっと多くのご相談者の方が興味をもたれると思います。
今日は、貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。

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編集後記

最近、「クライアントに、もっと早く、リアルな成果を出したい」というお話をコンサルタントの方からよく伺います。
同社の「DAY-1から成果を出す」という思想。
これを実現するためのユニークな運営方法には、“ヒント”がたくさん詰まっているように思います。

・豊富な経験と見識を武器に問題解決
・そのテーマに強いプロを世界中のオフィスから集める
・データ分析は必要最低限。クライアント企業の社員に分析してもらう
・クライアント企業の人材レベルを見極め、シンプルで実行可能な解決策を
・最終報告書なし
・菱形の人員構成。コンサルタントの平均年齢は40代

コンサルティング業界は、数年というスパンで卒業されていく方が多い業界です。
しかし、キャリア設計の専門家である我々は、プロフェッショナルファームでキャリアを積み重ねることも、大変ダイナミックで魅力的な選択であると考えています。
今回のインタビューで明らかになった、経験や知見、年齢を活かす同社のスタイルは、コンサルタントとして、経験を積み重ねることに大きな価値があることを伝えてくれていると思います。
我々は、このような観点からも、同社の運営に関心を寄せています。

<応募について>

同社のコンサルタントには、いわゆる外資戦略コンサルティングファーム出身以外の方もいらっしゃいます。
例えば、日系のコンサルティングファームにいる方の中には、若いうちからクライアント企業の中に入り込んで変革をリードするという経験を積んでいる方も珍しくありません。
そのような方であれば、同社のスタイルに大変フィットします。

同社への応募についてご関心がある方はお気軽にご相談下さい。

深沢政彦 | Masahiko Fukazawa【マネージング ディレクター 日本共同代表】

深沢政彦 | Masahiko Fukazawa【マネージング ディレクター 日本共同代表】

一橋大学経済学部卒業。マサチューセッツ工科大学スローンスクールMBA。
住友銀行(現・三井住友銀行)を経てA.T.カーニーに入社。数多くのクライアント企業に対して事業戦略、再生、統合などに取り組み、米国本社取締役、日本支社代表、中国支社会長およびA.T. カーニー韓国の会長代理を歴任。2012年、アリックスパートナーズに参画。


野田努 | Tsutom Noda【マネージング ディレクター 日本共同代表】

野田努 | Tsutom Noda【マネージング ディレクター 日本共同代表】

慶応義塾大学経済学部卒業。ハーバード・ビジネス・スクールMBA。
日本長期信用銀行(現 新生銀行)を経てマッキンゼー・アンド・カンパニー、KPMGトランザクションサービス(米国)に参画。日本企業の海外事業展開や買収・事業統合を中心に、幅広いテーマのコンサルティングを行う。その後、ユニゾン・キャピタルにてCFOを務め、2007年よりアリックスパートナーズに参画。