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#5 政治とは理想と現実をつなぐ技術

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#5 政治とは理想と現実をつなぐ技術

渡辺:
社会変革を主体的に行なうためにも、党内で権限を持ったり、高いポジションについたりすることは大切だよね。
どのようにすると、そういうポジションにつけるの?

津村議員:
そうだね。そこは営業成績みたいに、数字で決まるものではないから、何をやると良いのかが分かりにくい。マニュアルがない世界だね。

政治家には、本当にいろいろなモデルケースがあるんだよね。
この分野ならあの人だというスペシャリストタイプを目指すのも一つ。
一方で、得意分野ははっきりしないけれど、何でも幅広くこなす安心感あるタイプもいる。
例えば後者のタイプで僕がよく尊敬する政治家として名前を出すのは与謝野さんだし、谷垣さんもそうだよね。経済も得意だし、外交安全保障とか、科学技術とか、それぞれ得意な分野を持っているけれど、何でも幅広く対応できる。
一方、安倍さんや石破さんは外交や憲法といったテーマがすごくお得意なスペシャリストとして、そこで成功している。

渡辺:
それぞれにあり得ると。

津村議員:
あと、党内で認められていく方法としては、「あの人はみんなのコンセンサスをつくるのがうまい」というのもあるよね。
みんなの意見をちゃんと聞くとか、人を怒らせないとかね。

渡辺:
分かるなあ。僕自身も自社の重要なポジションに、誰を抜擢するかを考える際に、「この領域は彼が詳しいから」という時もあるけれど、「みんなを上手くまとめてくれるだろう」ということで任せることもよくある。
こういう安心感は実はとても大切だよね。

渡辺:
政治家になってみて、予想外に苦労したのはどんなこと?

津村議員:
一つは先ほどのマネージメントかな。
そこがおそらく世間の人にはあまり知られていないけど、やってみると苦労する部分ですね。
先ほどの心身の健康、周囲のチームのメンテナンス、ガバナンスなど、予想外に時間とパワーがかかるよね。

あとは、やはり選挙区は土地で結びついているということ。
これは政治家の中でも小選挙区制度になった最近の衆議院議員のより強い特性だと思う。
どこも40万人位の人口の選挙区なんだよね。その40万人の人達と僕は切っても切れない関係にある。
そこで51%の人に応援してもらわないと勝てないからね。
そうなると「そんなこと言うなら君とは付き合わないよ」という選択は政治家にはない。
土地でつながっているから、人間関係を切ったり貼ったりできない。
ビジネスであれば、この分野は切ってこの分野で行きますって言うことがあると思うけれど。

渡辺:
なるほど。確かに。

津村議員:
ある意味で、逃げられないという感じがある。
もちろん、40万人の声を全部足して40万で割るようなことが政治ではないので、ある程度何かを捨てることは実はあるのだけれども、できるだけ自分の政策的なキャパとか、心のキャパを広げていかないといけないのは確か。
自分の引き出しの数をどんどん増やし続けて行かなきゃいけない仕事だと思う。
一方で、引き出しが増えた分ちゃんと整理整頓しないと、はっちゃけてしまうので、自分の軸もしっかりと持っていなければならない。
そこのバランスは難しいね。

渡辺:
そうだよね。全員の意見を満たすことは不可能だし、それでは矛盾もたくさん出てしまう。
そうなると、みんなの気持ちやニーズを理解した上で、自分の信念やポリシーをつくって、そこにみんなを巻き込んで、ファンになってもらうという感覚なのかな。

津村議員:
僕が政治家を目指すときに、江田五月さんから、「政治とは理想と現実をつなぐ技術だ」と言われたのをよく覚えている。
技術というとちょっと狭い印象に聞こえるかも知れないけど。

政治家にとって、自分の中に理想を持っていることはとても大切なことだと思う。
単に次の選挙で受かるために、消費税を下げると言っておこうとかじゃなくてね。
僕は自分が政治家であるうちに消費税は15%にしたいとか、年金の受給開始年齢を平均して70歳まで引き上げて、60代も70代も生きがいを持って働ける社会にしていきたい。
これだけ平均寿命は伸びているんだからね。
その分旧来型の社会保障よりも柔軟にして、基本的にはより長く働いて、それが生きがいにつながっていくという未来像をサポートしたいと考えている。
でも、都度都度の場面で言えば、別の判断もある。
例えば、いま景気が悪くなっているので来年の消費税増税はしない方が良いかも知れないなど。

理想を持つということと、現実に根ざすということのバランスが凄く重要だと思う。
理想ばかり言っている人はやっぱりコンセンサスメイキングに失敗する。
現実ばかり言っている人は短期的なコンセンサスメイキングには成功するかもしれないけれど、やはり持続して実力を維持することは出来ない。
この二つを併せ持つということが苦労でもあり、政治家に求められているものかなと。

渡辺:
そこが苦労でもあり、難しいからこそ面白いところだよね。

津村議員:
うん。面白いね。

渡辺:
今の話は、社会変革というテーマ全体にとってとても大切なことだと思う。
社会起業やNPOをつくる際にも、結局この話がかかわってくる。
理想論だけ言っていて、経済面が回らないと、持続可能な変革は起こせない。
一方で目先の業績に追われて、理想をあきらめる企業も少なくない。
理想と現実を両立させることをあきらめないのが、政治にしても、社会起業家にしても、あるいは官僚にしても、社会を本気で変革しようとしている人に共通するところなのかもしれないね。

#6 政治家を目指すあなたが、はじめにすべきこととは?

津村啓介【衆議院議員(当選5回、岡山2区)】

津村啓介【衆議院議員(当選5回、岡山2区)】

1971年、岡山県生まれ。東京大学法学部(政治コース)卒。1994年、日本銀行入行。在職中にオックスフォード大学経営学修士(MBA)取得。2003年、初当選。2007年、世界経済フォーラムより「世界の若手リーダー250人」に選出。民主党政権時代には、内閣府大臣政務官として、新設の国家戦略室を担当。現在、国会では衆議院国土交通委員会、科学技術・イノベーション推進特別委員会に所属。


渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

渡辺 秀和【コンコードエグゼクティブグループ 代表取締役社長 CEO】

一橋大学卒。三和総合研究所(現:MURC)戦略コンサル部門にて最年少マネージャーとして活躍。ムービン・ストラテジック・キャリアで5年連続No.1キャリアコンサルタントとして活躍後、2008年に当社を設立。2014年著書「ビジネスエリートへのキャリア戦略」を出版。コンサル業界・ファンド・事業会社幹部・起業家などへ1000人を越える相談者の転身を支援。