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#5 プロジェクト最前線(2)~実行力を見極める

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#5 プロジェクト最前線(2)~実行力を見極める

大野:
不良率を半減させた方は、通常の戦略ファームのご出身の方ですか?

野田:
いえ、違います。その方は、我々のアドバイザーで、自動車メーカーの生産担当役員を務めた経歴をお持ちで、その中には、ポーランドとイギリスで生産工場を一から立ち上げた経験も含まれています。
そういう方が工場を一目見ると、どこを改善しなければならないかが、たちどころに分かるわけです。

基本的には、「モノが不良になっている原因は何か?」ということを明確にしていきます。
今回のケースでは、ラインの中で、不良品を把握するチェックポイントが全くなかったわけです。
従って、いいのか悪いのか分からない製品を顧客へ出荷してしまっていて、そして、時間が経ってから、悪い製品が返品されてくるという状態でした。
そこで、ラインの中でチェックポイントをたくさん作って、不良品を即座にはじけるようにしました。
そうすると、何が悪いかということがクリアになって、後はそれをひたすら改善していくだけです。

深沢:
それともう一つは、それを本当に直すというときに、今いる人に直してもらわないとしょうがないわけです。
今いる社員の方のレベルを見極めて、何を指示するか。これも重要です。現場の実行力を前提に提言をしないと、動くものも動きません。
特に、工場の現場というのは、理想的なリーダーが何人かいて、その人が指導してくれればあっという間に90点くらいいくんですけど、そんな人がいないから問題が発生している場合がほとんどです。
現状の中で解を見つけることが一番ポイントなのです。

渡辺:
なるほど。本当は理想はここまでなんだけど、現状の制約条件の中でできることを見極めるということですね。

深沢:
はい、まさにそれを見極めるということです。
そして、中でも一番大きく効きそうな取組みに集中してもらうということがポイントですね。
私も、別の工場でこの方と一緒にプロジェクトをやったのですが、そこも不良率が高く赤字が続いていましたが、2ヶ月で単月黒字に転換できました。

この方が指導するポイントは、シンプル。と同時に、社内のプロジェクトチームをどうやって動かすか、社内のプロジェクトチームの人にどういう責任をもってもらうか、何をやらせるか、この仕掛けのほうも重要。マネジメントそのものですね。

野田:
どちらのケースでも、社内の取り組みだけではなく、サプライヤーとの取り組みも当然スコープに入ってきます。
不良率の主要な原因の一つに、そもそも外部から調達してきた部品そのものが悪いということがある。
そのような場合、サプライヤーにもっと品質をあげてもらうように交渉もします。
場合によっては自社工場のラインを売却して、そこを利用してつくってもらうことで品質を上げるということもあり得る。
そうするとコストは下がって、変動費化できて、品質自体がまた上がって、みんな幸せになる。
そういうソリューションも、頻繁に使います。
自分でつくるのか、外から買ってくるのか、という判断を、我々は「MAKE or BUY」と言っています。

渡辺:
やはりプロジェクトの話はおもしろいですね。
ご相談者の方は、御社に入社すると、経営者としての動き方が経験できるというのが何となく分かっていらっしゃいますが、具体的にどういうことなのかというのがなかなか分かりません。
このようなお話を聞かせていただけると非常にいいですね。

深沢:
多くのプロジェクトで、「その危機が、どのくらいの水準なのか」ということを客観的に認識することが非常に重要です。
それによって、必要な打ち手の大きさが変わってきます。
ですので、Week-1では、堅く見て絶対に達成できる売上見込み ―我々は“岩盤”という言葉をよく使いますけれども― これがいくらくらいなのかをまず見極めます。
そして、それに合わせてコスト構造を作り替えていく。
これをWeek-1で行って合意形成をしてしまいます。
そこがグラグラすると、打たなければならない打ち手の改善幅が、100億円なのか、500億円なのか、変わってきてしまう。
そうすると、「そこまでやらなくてもいいんじゃないか?」という柔らかい議論が、亡霊のように何回も復活してきてしまう。
だから、それを堅く行って、「改善幅をこれだけ死守しないとダメなんです」という合意を作り上げてしまう。
だいたい堅い売上というのは経営者には辛い事実で、多くの企業は直視したくないものになりますね。

渡辺:
私も社長業をやっていますので、一瞬ドキっとしてしまいましたね(一同笑)。

→#6 最終報告書ではなく、成果をわたす

深沢政彦 | Masahiko Fukazawa【マネージング ディレクター 日本共同代表】

深沢政彦 | Masahiko Fukazawa【マネージング ディレクター 日本共同代表】

一橋大学経済学部卒業。マサチューセッツ工科大学スローンスクールMBA。
住友銀行(現・三井住友銀行)を経てA.T.カーニーに入社。数多くのクライアント企業に対して事業戦略、再生、統合などに取り組み、米国本社取締役、日本支社代表、中国支社会長およびA.T. カーニー韓国の会長代理を歴任。2012年、アリックスパートナーズに参画。


野田努 | Tsutom Noda【マネージング ディレクター 日本共同代表】

野田努 | Tsutom Noda【マネージング ディレクター 日本共同代表】

慶応義塾大学経済学部卒業。ハーバード・ビジネス・スクールMBA。
日本長期信用銀行(現 新生銀行)を経てマッキンゼー・アンド・カンパニー、KPMGトランザクションサービス(米国)に参画。日本企業の海外事業展開や買収・事業統合を中心に、幅広いテーマのコンサルティングを行う。その後、ユニゾン・キャピタルにてCFOを務め、2007年よりアリックスパートナーズに参画。